パンのテーブル

パンと共に人気のベーカリーのお菓子

  • 石窯パン工房ぴーぷる 春日部店
  • Petit Riche(プティ リッシュ)
  • BLUFF BAKERY(ブラフベーカリー)
  • BONNET DANE(ブーランジュリー ボネダンヌ)

石窯パン工房ぴーぷる 春日部店

春日部駅から徒歩11分ほど、市役所や市立病院に近接した人が集まるエリアにある「石窯パン工房ぴーぷる 春日部店」。広々した駐車場や、店内にはイートインコーナーを備え、途切れることなくお客様が訪れる人気店です。石窯で焼き上げるフランスパンなどハード系やピザ、牛肉と野菜の自家製ルーを包んだカレーパンなども好評です。

石窯パン工房ぴーぷる 春日部店
住所:埼玉県春日部市中央6-5-8
電話:048-812-4781
営業時間:7:00-19:00
定休日:無休(年末年始を除く)

シフォンケーキは毎日17個×5種類焼いています


都内、埼玉県内に5店舗を構えるぴーぷる全店で、人気No.1の焼き菓子がシフォンケーキです。「デパ地下の専門店などではもちろんおいしいものが手に入ると思いますが、もっと気軽に食べていただけるように、買いやすい価格でよりおいしく、という点を追求しました」と社長の大西経さん。種類は、定番のプレーン、紅茶、焦がしキャラメル、チョコチップに季節限定を加えて5種類。17cm型ホールでプレーンは556円、他は609円(各税込)という魅力的な価格です。

春日部店の広々した店内では、お客様がパンを選びながら一巡してレジまで来ると、向かいの棚がシフォンケーキの定位置。「おやつにシフォンも買っていこうかな」と購買意欲をそそるレイアウトになっています。14時ごろからは1種類ずつ順次焼き上がる様子が売り場からも伺えて、甘い香りが広がります。

しっかりしたメレンゲがシフォンケーキの要


シフォンケーキのふわふわの食感の要となる卵は、同店のレシピでは17個分あたり卵黄1125g、卵白2100gを使います。「商品化するにあたって、いろいろな材料を取り寄せて試作を繰り返し、卵は卵黄液、卵白液を選びました。とくに卵白に関しては、冷凍の卵白液だときっちり分卵されていますし、低温での泡立てができるため、しっかりと安定したメレンゲが立つのです」(大西さん)。

同店の職人は、全員がシフォンケーキ作りもこなすそうです。「最後に生地にメレンゲを混ぜるのは職人の手で行っています。メレンゲが生地に均一に混ざり合い、ほどよい高さに焼き上がるように、手で触れて気泡の状態を確かめ、調節していきます」と、シフォン製造歴3年の松澤さん。

きめ細やかな気泡を含んでシルクのように艶やかな生地を型に流し入れた後は、窯担当の青木さんにバトンタッチ。オーブンで40分ほど、美しい焼き色に仕上げていきます。

紅茶のシフォンケーキは、茶葉の種類によって仕上がりがまったく違ってくるそう。最も香りが引き立っておいしく焼き上がるアールグレイを使っています。きめ細かな気泡でふんわりとふくらんで、ほどよいしっとり感もあるシフォンの食感と、フレーバーが楽しめます。
「夏季にはスイカのシフォンも登場。さわやかな甘さと香りで、昨シーズンは大変好評でした」(松澤さん)。

お菓子はシフォンケーキのほか6~7種類

同店のお菓子は、シフォンケーキ以外にもクッキー、マドレーヌ、カヌレなど6~7種類をラインアップ。パティスリー経験のある職人がレシピを担当しています。バニラビーンズ入りのプリンは、甘さもほどよくなめらかな舌触り。

食パンやフランスパンを使ったラスクは、シュガーの他にしみチョコやガーリックなどのフレーバーが揃い、メロンパンもサクサクのラスクにしています。お客様がご自分でシュガーラスクを袋につめ放題にできる、お楽しみのコーナーも設けてあります。

そして、パンの種類は新商品が次々と加わって現在は110種ほどに。「バリエーションの豊富さは店の人気を支える要素の1つでもありますが、お客様の要望を満たしつつ、商品を絞り込むことも今後の課題です」(大西さん)。

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Petit Riche(プティ リッシュ)

南浦和駅から徒歩5分ほど。「Petit Riche」のビビッドな赤い看板が目に留まるより先に、パンが焼ける芳ばしい香りやバターの香りで目的地到着に気づくかもしれません。「ビゴの店」で13年間修業した島田シェフが2010年5月にオープン。フランス産や国産小麦粉も含めて12種類の小麦粉を使い分け、パンとお菓子で80種ほどをラインアップ。発酵をとらないお菓子類は開店時にはほぼ出そろっています。

Petit Riche(プティ リッシュ)
住所:埼玉県さいたま市南区文蔵2-1-4
電話番号:048-866-3500
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜、第1日曜

フランスの修道院で生まれた伝統菓子「カヌレ」


同店で人気のカヌレは、フランス・ボルドー地方で古くから作られているお菓子です。「カヌレ=溝のついた」という意味で、独特の小さな型に入れて焼きます。日本ではベーカリーを中心に1990年代初めに一大ブームが起こりました。「ビゴの店ではブームの後もずっと変わらずこの伝統菓子をつくっていました。うちのカヌレも同じレシピで焼いています」(島田さん)。

材料は卵、牛乳、砂糖、ラム酒、バニラビーンズがメイン。粉類も入っていますが、生地はサラサラの液状で、これを1晩冷蔵庫で寝かせます。翌日、均一に混ぜて型に入れ、270度の高温で1時間ほど焼き上げます。「表面に溶け出た砂糖がカラメル化して、独特の濃い焼き色になるのです」(島田さん)。外側はカリッとして、中はしっとりやわらかな食感で、カスタードの甘い香りとラム酒の香りが際立っています。

焼成の温度が香ばしさを左右します



「パン屋のお菓子は素朴で格好こそつけていないけれど、サイズは大きめにして満足感を味わってもらいたい、と思ってつくっています」(島田さん)。朝焼いたものをすぐに棚に並べて当日売り切りに。焼きたてで味わってもらうために包装もしていません。

パンもお菓子も基本的なことをしっかり丁寧に、という点をいちばん大切にしていらっしゃる島田シェフ。「焼き上がりが思っていたのとは違うときは、どこかに狂いがあります。とくに温度の変化は影響が大きく、夏でも冬でも生地を一定の状態に保つように気をつかっています。その意味では、お菓子は発酵がない分、やりやすいですね。つくりたいときに混ぜて焼けばできる。ただしその分、焼成が重要なポイントになります」

アップルパイは、イーストを使わない折り込みのパイ生地で、3つ折りを5回繰り返します。「大切なのは、しっかり焼き込むこと。ビゴの店での伝統でしたので、私もそれに倣っています。アップルパイは200度で40~50分。バターの香ばしさも焼き加減で左右されるのです」(島田さん)。工程のひとつひとつを丁寧に行うことで、焼き上がりには見事な層を織りなします。サクサクの生地と蜜煮りんごの甘酸っぱさに、バターの香りがハーモニーを奏でます。

スコーンは、クロテッドクリームやジャムをつけなくても、そのままでおいしく食べていただけるように、生クリームやバターの配合を少し多めにしてリッチな生地にしているそう。さっくりしてコクがあり、トースターで軽く温めると、いちだんとバターが香り立ちます。

カヌレやカスタードクリームなどに卵黄をたくさん使うため、余った卵白を活用してつくっているのがメレンゲの焼き菓子「ムラング」です。低い温度で焼成し、パールのような優しい白。深めの焼き色が並ぶ棚に、素敵なコントラストを生んでいます。

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BLUFF BAKERY ブラフベーカリー

横浜・元町のメインストリートから代官坂を上がりきる手前にブラフベーカリーがあります。オーナーの栄徳剛シェフは、ラ・ミ・デュパン、ラ・テールなどを経て2010年12月、この地にNYスタイルのベーカリーを構えました。スタイリッシュな店内に、いかにもアメリカらしいシナモンロールやベーグルなどを揃えつつ、多国籍なものを再構築する都市NYのイメージで、フランス、イタリア、イギリスのパンも自由な発想でつくっています。

BLUFF BAKERY(ブラフベーカリー)
住所:神奈川県横浜市中区元町2-80-9ヒルクレストオグラ1F
電話番号:045-651-4490
営業時間:8:00~18:30
定休日:無休

アメリカンスタイルの焼き菓子は友紀さんが担当


ブラフベーカリーの焼き菓子は、サンフランシスコに留学経験のある奥様の友紀さんが担当しています。「パンもお菓子も自分の中に味のイメージがないとつくれません。記憶の中にある、いちばんおいしい味を目指して、パンは僕が、お菓子は妻が中心になってつくっています」と栄徳シェフ。
お互いに試食しては意見を出し合うことで、自分では気づかなかったものが見えてくることも多々あるそう。本職はパン職人の友紀さんですが、5才を頭に4人のお子さんを子育て中の今は、仕事場にいる時間がどうしても限られてしまうこともあり、お菓子に集中して力を注いでいます。

大きく焼いて切り分けるアメリカンスタイル



NYチーズケーキは、台に2次発酵をとらないブリオッシュ生地を使っています。「当初はチーズケーキの生地だけにして、もう少し高さを出すことを考えていたのですが、パン生地を使うのもパン屋らしくていいかな、と。ブリオッシュ生地を型に敷き、チーズケーキの生地を流し入れてそのまま焼き上げています」(友紀さん)

まずはその大きさに驚かされますが、チーズのコク、甘さとほのかな酸味のバランスで、最後のひと口まで飽きずにいただけます。「スクエア型や小さい型を使って1ホールで売るよりも、直径34㎝を切り分けたときのサイズ感は、よりインパクトがあります。チーズケーキに合う、コクがあって酸味はさほど強くないチーズをシェフに選んでもらい、チーズの味を最優先して軽さも感じられる配合にしました」(友紀さん)。

キャロットケーキは、小麦粉の1.2倍量のすりおろしにんじんが入り、油脂はオリーブオイル、卵が多めのフワッとやわらかい食感です。生地に混ぜたシナモンとクルミ、焼き上がってから表面にたっぷり塗ったチーズクリームが好相性です。

こちらは四角い大きな型で焼いて切り分け、計り売りに。「スクエアに切った姿がホームメイドっぽくてかわいらしく、この形にこだわりました」(友紀さん)。

素朴な見た目、しっとりしてコクのあるジンジャーブレッド&バナナブレッド



ジンジャーブレッドは、ショウガ、ナツメグ、シナモンとモラセス(糖蜜) などが入ったパウンドケーキタイプです。「すりおろしたショウガをそのまま入れて、ざっくりとラフにつくることで素朴な味わいが生まれる反面、きめの粗さやパサつきが出てしまうと、おいしくはありません。そこで、生地自体をしっとりさせる配合にし、アクセントにママレードを混ぜています」(友紀さん)。ほろほろと口溶けるやわらかな食感、黒糖に似た糖蜜のコクと、強めなスパイスの香りで、これはくせになるおいしさです。

ジンジャーブレッドより、ひとまわり大きいパウンド型で焼くバナナブレッドは、細かく挽いた全粒粉を使用。バナナの香りとともに全粒粉が香りたつお菓子です。バナナはつぶさずに最後にミキサーでざっくりと混ぜ、クルミもたっぷり入れて焼き上げています。

来年には、店舗近くに焼き菓子専門のカフェをオープンする予定。「知っているようで実はまだあまりよく知られていない、アメリカの焼き菓子たちを紹介していきたいです」(友紀さん)
ベーカリーのお菓子の魅力を次はカフェで、どんなふうに伝えてくださるのか楽しみです。

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BONNET DANE(ブーランジュリー ボネダンヌ)

店主の荻原浩さんは、パリでパティシエの修業後、パン職人に。帰国後はパン・オ・フゥ勤務を経て2013年7月、世田谷区三宿に焼き菓子とパンの店「ボネダンヌ」をオープンしました。にぎやかな場所からちょっと離れた、パリ14区の住宅街にあるパン屋の雰囲気をそのままに、パンは25種、お菓子は15種ほど。訪れるお客様の多くがパンと一緒に焼き菓子を購入されていきます。

BONNET DANE(ブーランジュリー ボネダンヌ)
住所:東京都世田谷区三宿1-28-1
電話番号:03-6805-5848
営業時間:8:00~19:00
定休日:月曜、火曜

口溶けのいい「パン屋のマドレーヌ」


パティシエだった荻原さんは、パリで出会ったパンの魅力とともに、パン屋がつくるお菓子のおいしさに強く惹かれたそう。「小麦粉とオーブンの違いだと思います。パン屋はいい粉を使っているんです」

同店人気No.1のマドレーヌは、「シンプルな配合でベーシックな製法ですが、粉は100%フランス産を使用しています。お菓子は作る技術も必要ですが、やはり素材選び、とくに小麦粉が大切です。フランス産小麦粉を使うと、歯切れのよさ、口溶けがまるで違うんです」と荻原さん。

おへそがぷっくりとふくれたマドレーヌは、かじればサクッとやさしくほどけ、小麦の香り、バターの香り、バニラの香りが口の中いっぱいに広がっていきます。しっとりとして、でもベタつかずにスーッと心地よく溶けていく、これぞ「パン屋のマドレーヌ」。焼きたてのおいしさを味わってもらえるように、1日3回くらいに分けて焼いています。

素材の香りを大切にして焼き上げる



同店では、お菓子もパン用石窯で焼いています。遠赤外線効果により短時間で中まで火が通る、という石窯の特長は焼き菓子にも生きてきます。

「焼き菓子って乾燥したイメージがあるでしょ? パティスリーではコンベクションオーブンで風を送りながら乾かして焼くからです。石窯だと外側はサクッとした感じを出しやすく、中はしっとり。短時間で香りを逃さずに焼くことができます」(荻原さん)。

ガレットブルトンヌはフランスのブルターニュ地方のお菓子で、ごくゆるい生地をセルクル型に流して焼き上げます。直径8cmほどで厚みもあって大きめ、そしてサクサク。「パリで焼いていたときのレシピのまま、小麦粉もフランスのものを使っています。さすがにフランス産バターはコスト的に無理ですが、発酵バターを使っていい感じに仕上がっています。気取らずざっくりとつくって大きめに焼くのもパン屋ならではですね。しっかりと甘くつくって食べごたえもあり、大きく焼くことで香りも逃げにくい」と荻原さん。

丸くあいた3つの穴が顔のようにも見えてくるかわいらしいサブレは、南フランスのパン屋ではおなじみのお菓子で、ジャムやヌテラをはさんだりするそう。同店では自家製のチョコプラリネをはさんでいます。「キャラメリゼに1時間、冷まして1晩寝かせてから細かく砕いてペースト状にします。とても時間がかかる作業ですが、やはり香りを大切にしたいから、こまめにつくっては1カ月以内には使い切るようにしています」(荻原さん)。

素材の香りを大切にして焼き上げる


「焼き菓子とパンの店」と冠するところにパティシエ出身シェフのこだわりが?と思いきや、意外にも「三軒茶屋~三宿エリアは有名なベーカリーが密集していますから、他店との差別化、という戦略的な意味もあるんです」と荻原さん。

「粉の特徴を見極める、というところはパンも焼き菓子もまったく同じだと思います。粉の種類を変えると、食感も香りも全然違ってしまいます。また、その日の天候などでも粉のコンディションが変化するのは、パン屋なら粉を触ってイメージをつかんでいると思います。お菓子作りもその延長で、微妙に足したり引いたりの加減をして、常に変わらない、ベストな仕上がりにしていくことが大切だと思っています」(荻原さん)。

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華やかさや繊細さを追求するパティスリーのお菓子とはひと味違い、パン屋のお菓子の魅力は、「素朴な手作り感」がキーワードのようです。とはいえ、各ベーカリーとも小麦粉を始めとする素材選びや焼き加減など、それぞれのこだわりを持ってお菓子作りに取り組まれている様子が印象的でした。パン屋がつくるからこそおいしいお菓子……ぜひ各店にお出かけになって、お気に入りを見つけてください。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2015年8月)のものです

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