パンのテーブル

これぞ名古屋メシ 進化系!小倉トースト

  • KAKO 花車本店
  • 喫茶神戸館
  • KIHACHI CAFÉ名鉄百貨店本店
  • terre à terre(テーラ・テール)

KAKO 花車本店

名古屋で初めて自家焙煎コーヒーを始めた老舗の喫茶店。カウンターとテーブルが2つのこぢんまりとした店内では、美味しい珈琲とともにマスター特製のさまざまなメニューを楽しむことができます。

KAKO 花車本店
住所:愛知県名古屋市中村区名駅5-16-17花車ビル
電話番号:052-586-0239
営業時間:月曜~金曜7:00〜19:00、土曜・日曜7:00〜17:00
定休日:無休

特製ジャムが生む1皿4種の味わい

店内に入ると、初めて来た人でも思わず「懐かしい」と感じてしまうようなヨーロピアンアンティークな店構えが広がっています。そんな古き良き喫茶店が、「ここでしか味わえないオリジナリティ溢れるメニューをつくろう!」と、3年前に出したのが「シャンティールージュスペシャル」です。
こんがり焼いた厚切りトーストの上に有塩バターをひと塗りし、北海道産の小豆を使って炊いたあんこと、ふわふわの生クリームをたっぷり。さらに、その上から4種のジャムでおめかしした一皿です。一見、小倉トーストに見えないカラフルさで、4つの味が楽しめるのが魅力。乳脂肪分45%以上の良質な生クリームは弾力があり、濃厚なのにくどさがなく、小倉あんとジャムのキューピッド的存在になっています。

創業当初からの看板商品である「マーマレードジャム」以外は、その季節やタイミングでジャムが変わり、どんな味が楽しめるのかは行ってみてのお楽しみ。取材時は、「紅玉とアールグレイ」、「柿とバニラビーンズ」、「ブルーベリーとバナナ」のジャムで、それぞれフルーツの爽やかな甘みと、小倉あんとの相性が抜群。特製ジャムは、店内で販売もしています。

「マスターは、実はあまり甘いものが好きではないんです。」と教えてくれた木村さん。“甘いものが苦手な自分でも「美味しい」と思えるものをつくる”ために、試行錯誤しているそうです。

珈琲好きなマスター手づくりのフードメニュー

1972年のオープンから、大切にしていることは「良いものを使う」ことと、「ここでしか味わえないもの」を提供すること。珈琲好きのマスターが考える“珈琲に合うフードメニュー”は、ほとんどが手づくりです。「マスターのバイタリティーには、いつも驚かされます。“ひらめいちゃった!”と言って、今でも新しいメニューに挑戦しています。」(木村さん)
これだけ手間ひまをかけるのも、新しいメニューに挑戦するのも、すべては“珈琲をおいしく味わってほしい”という思いから。中でも、さまざまな産地の豆から厳選し、オリジナルで配合した自慢の「ブレンド珈琲」は、オープン当時から変わらず“おかわり自由”で、お客さんを喜ばせています。

アットホームな雰囲気を醸し出しているのは、常連客の方の存在も大きいかもしれません。初めて会ったはずの人たちがいつの間にか意気投合している光景はめずらしいことではなく、不思議と人と人との“壁”を感じない温かさがそこにはあります。会話を楽しみながら、小腹がすいたときに頼みたいミックスサンドは、マスター考案の“からしバター”が味を引き締めています。

今ではインスタグラムなどで話題となり、シャンティールージュスペシャルを求めて訪れる若い人も増えたのだとか。「幅広い年代の人に足を運んでいただいて、親子代々でたのしめるようなお店になったらいいな、と思っています。」(木村さん)

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喫茶神戸館

オフィス街である名古屋市伏見エリアにある喫茶神戸館は、通勤前やランチに立ち寄れる会社員たちのオアシス。古き良き喫茶店をイメージしたレトロな店内で、日常に寄り添う穏やかな時間を過ごせます。

喫茶神戸館
住所:愛知県名古屋市中区錦1-13-36
電話番号:052-222-2422
営業時間:月曜~金曜7:00~16:00、土曜7:00~14:00
定休日:日曜・祝日

五感でいただく“鉄板小倉トースト”

“喫茶店生まれ、喫茶店育ち”を公言する尾藤雅士さんが8年前に開業した「喫茶神戸館」。父親が営んでいた純喫茶にルーツを持ち、裏側を知っているからこそ見える理想の“喫茶店像”を形にしたのが、このお店です。
名古屋の文化である小倉トーストを喫茶神戸館オリジナルにできないだろうか…と約3年前に誕生したのが「鉄板小倉トースト」。食べる前に写真を撮りたくなるような、アトラクション感覚で楽しめるメニューを、と名古屋の喫茶店に縁のある鉄板を使うアイデアが出たのだそう。

焼くと香ばしい黒ごま食パンがバターをひいたアツアツの鉄板に置かれ、その上に甘さ控えめの小倉あんとバニラアイスをトッピング。そのままでも十分美味しそうですが、ちょっと待って!自家焙煎の豆でつくったコーヒーシロップをかければ、「ジューッ」という音ともに湯気が上がり、たちまち五感を刺激する一品に。シロップが鉄板の上でバターと混ざり、黒ごま食パンに“おこげ”のような焦げ目がついたら食べ頃。
「ぜひ写真も撮って楽しんでほしいけれど、アツアツのうちに食べてほしい!」と語る尾藤さん。コーヒーシロップが染みて少し焦げ目のついたアツアツの黒ごま食パンと共に小倉あんと冷たいバニラアイスを頬張れば、「冷や×アツ」の絶妙バランスに感動すること間違いなし。最近は、SNSなどの影響で「鉄板小倉トースト」を求めて来店する人も多く、一躍看板商品となっています。

1日のはじまりは直火式焙煎の珈琲から

煌びやかなシャンデリアが店内を灯す和洋折衷な内観は、珈琲が日本に伝わった江戸時代〜明治時代の雰囲気を再現しています。鉄板小倉トーストなど、新しい試みでお客様を楽しませていますが、“美味しい珈琲を味わう場所”という喫茶店の軸は決してブレません。
尾藤さんは、未開拓な国へと足を伸ばして豆を買い付け、自分の手で豆を煎る焙煎のプロでもあります。直火式焙煎で“外は深入り”“中は浅入り”というように、豆の中でグラデーションをつけるイメージで焙煎した豆で淹れる珈琲は、ここでしか味わえない一杯です。

ビルが建ち並ぶオフィス街ということもあり、朝は出勤前に珈琲で一服する会社員の方も多いのだそう。決まった時間に決まった席に座り、珈琲を飲む…。喫茶店は習慣の一つであり、その人の“日常”であるからこそ、「ここの珈琲を飲まないと1日が始まらない」と思ってもらえることが喜びだと語ってくれました。「喫茶店は、決して洗練されているものではないと思っています。大衆的であり、独特な雰囲気がある場所。それを現代の人にも受け入れられるように“今昔折衷”していき、喫茶神戸館の魅力にしていきたいです。」(尾藤さん)

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KIHACHI CAFÉ 名鉄百貨店本店

素材にこだわり、「オリジナリティ」を大切にしている「KIHACHI CAFÉ」の名鉄百貨店本店では、変わらぬ美味しさを提供する定番メニューのほか“名古屋限定メニュー”を展開し、観光客の注目も集めています。

KIHACHI CAFÉ 名鉄百貨店本店
住所:愛知県名古屋市中村区名駅1-2-1 名鉄百貨店本店 本館4階
電話番号:052-585-7748
営業時間:10:00~20:00
定休日:名鉄百貨店に準ずる

マスカルポーネが決め手の“小倉あんトースト”

「ローテーションが早いので、常連のお客様にも楽しんでいただけるのではないかなと思います。」と語るほど、期間限定メニューに力を入れているKIHACHI CAFÉ。半月〜1カ月のペースで新しいメニューに出会えるのが特徴の一つで、何度訪れても楽しめる工夫がなされています。
また、“期間”ではなく“地域”を限定したメニューも。独特な食文化が根付く名古屋だからこそ生まれた“名古屋店限定メニュー”の一つが「小倉あんトースト」です。

もっちり食感が特徴の食パンを使用し、食べたときに重さを感じないように、上にたっぷり乗せる小倉あんとのバランスを考慮した約1.5cmの厚さにスライス。もっちり感を残したまま周りをカリッと焼きあげたトーストの上にマスカルポーネを塗り、その上に小倉あんを乗せ、仕上げに抹茶をふりかけて完成です。お菓子づくりに用いられることの多いクセの少ないマスカルポーネチーズを使うことで、少し高級感のある味に…。4等分にカットされて、食べやすいのも嬉しいポイントです。彩りを添える抹茶も、見た目だけではなくしっかりとした苦みで味を引き締める名脇役。ボリュームがありながらも上品な甘さのため、女性でもデザート感覚で一皿ペロリといけちゃいます。
「甘い小倉あんとクリーミーなチーズ、そして抹茶の苦みがアクセントになり、あんこ好きにはたまらない一品。個人的には、苦めの中国茶といただくのがオススメです。」(小林さん)

お買い物の途中にひと休み

百貨店内にあるため、ショッピングを楽しんでひと休みしたいときに最適な憩いの場となっています。上品かつ落ち着いた雰囲気の空間であるが故、尻込みしてしまう人もいるかもしれませんが、店内に一歩足を踏み入れるとスタッフの方が笑顔で迎えてくれ、時間がゆったりと流れるような居心地のいい空間が広がっています。

「百貨店という場所柄やはり女性のお客様が多いですが、ボリュームのあるフードメニューも充実しているので、男性や若い方にも来ていただければ嬉しいです。」という小林さんの言葉どおり、人気の定番メニューである「海老、アボカド、トマト、ルッコラのサンド」は、カリッと表面を焼いたトーストに、溢れんばかりの具材が入ったボリューム満点のサンドイッチです。カットされた断面も色鮮やかで、目にも美味しい一品。女性にはサラダが添えられたハーフサイズがおすすめです。

“名古屋駅直結”という立地から、小倉あんトーストを求めて来店する観光客も増えているそうです。「新幹線を待つ時間に、キハチ カフェで小倉あんトースト」という新定番ができる日も、そう遠くはないかもしれません。

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terre à terre(テーラ・テール)

安心して食べてもらえるパンをつくるため、厳選した食材のみを使用。小振りでかわいいパンが揃い、ときめく人が続出している隠れ家的なベーカリーの、イートインでしか味わえないメニューも必見です。

terre à terre(テーラ・テール)
住所:愛知県名古屋市東区泉3-28-3 B1F
電話番号:052-930-5445
営業時間:8:00〜19:00
定休日:無休

カリッ!じゅわっ!が新しい“あんトースト”

2013年にオープンし、「オシャレすぎるパン屋さん」として食に敏感な人やパン好きを中心にじわじわと人気を集めているのがテーラ・テールです。2階にイートインコーナーを設け、そこで“午前限定”で食べられるのが「あんトースト」。名古屋という地でパン屋をやっているなら、とおよそ1年前から始めたそうです。「テーラ・テールは周りにお店もなく、通行量が少ない静かな通りにあります。だからこそ、せっかく足を運んでいただいたからには“普通の小倉トースト”ではいけないと思ったんです。」(佐藤さん)

あんトーストに使用している食パンは、牛乳とバターをたっぷり使った、ふんわり食感で口溶けの良い「モコミルク」です。そのままトーストしても美味しい食パンを、バターとシロップに漬けて鉄板でキャラメリゼ。そうすることで、まるでフレンチトーストのように表面がパリッとして、じゅわっと染みたバターの香りが食欲をそそります。その上にかけるのは、北海道産の小豆をお店で炊き上げた程よい甘さのあんこ。“食材”を仕入れて調理はすべてお店のキッチンで行っているそうで、なんと添えられたアイスクリームまで自家製。一つずつがそのままで美味しいものをバランスよく組み合わせた、贅沢な一品です。一度食べたらクセになる美味しさで、リピーターの方も多いとのこと。

お客さんを驚かせる個性派ぞろいのパン

住宅が立ち並ぶ道沿いに突如現れる爽やかなグリーンの壁がテーラ・テールの目印。店内に入ると、あんトースト同様、“普通じゃない”個性的なパンたちがお出迎えしてくれます。食事パンもありますが、やっぱり目を引くのは小振りな甘い系のパンです。「並んでいるパンを見て、お客様に“かわいい!”と驚いてもらいたくてパンをつくっています。ケーキ屋さんでケーキを選ぶ感覚で、ワクワクしながらパンを選んでほしいんです。」と語ってくれた佐藤さん。人気商品の「紅茶のブリオッシュ」は、パフをチョコレートでコーティングしたパールクラッカンをあしらい、食べるのがもったいないくらいキュート。手みやげに購入していく人が多いというのも納得です。

テーラ・テールを直訳すると「大地から大地へ」。“すべてのものは土から生まれ、土へ還る”という自然な流れを大切に、産地や生産者の顔が見える食材にこだわったパンづくりをしています。国産小麦をオリジナルでブレンドし、パンの生地は約15種類もあるそう。パンの上に乗せるフィリングやクリームもすべて手づくり。「純粋にお客様に喜んでほしいという想いを形にしたら、このお店ができました。これからも足を運んでくれる方を、驚かせていきたいです。」(佐藤さん)

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意外な食材との組み合わせや調理方法で、小倉トーストの概念を超える一皿になっていました。名古屋を訪れた際はぜひ、お気に入りの小倉トーストを見つけてください。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2017年12月)のものです

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