パン屋さんで活躍する女性たち パンとお店と“私”のストーリー

お店のコンセプトは “わざわざ買いに行きたくなる店!”

パンステージ プロローグ 店長 加藤 智子さん

1999年にオープンした「パンステージ プロローグ」のコンセプトは、「わざわざ買いに行きたくなる店」。最寄駅から車で10分ほどの「わざわざ行きたくなる」立地にあり、250種類以上のパンをそろえるリテールベーカリーです。

プロローグがオープンする前、私はちょうど製パン専門学校を卒業して、働き先を探していました。大手のベーカリーよりも製パン作業を一通り学べる個人店を希望していたのですが、たまたまプロローグの従業員募集の張り紙を見て、アルバイトとして入店し、オーナーシェフ山本敬三の元で働きだしました。まずはサンドイッチ作りからスタートして、3年ほどで製パン工程を学びました。それから売り場に出るようになり、店長になったのは2007年です。

お客さんと接していて、満足してもらえたとわかる瞬間がいちばんうれしく思います。店頭には250種類のパンが並び、焼く回数を増やして、常に焼き立てをご提供するようにしています。私を含む販売スタッフは、お客さんが何を欲しているかを常によく見るようにしていて、店頭にない商品でもお客さんが希望すれば、作れるかどうか厨房に聞きにいきますし、商品があるときはすぐに持ってきます。せっかく来ていただいたお客さんをがっかりさせたくない、というのはスタッフ共通の思いですから。

パンへのこだわり

すべてのパンに自家製発酵種を使用しています。愛工舎製作所の天然酵母発酵機「ルヴァン30」で、開店以来継ぎ続けて管理している自家製のパン種(ルヴァン)です。イーストの使用量を最小限に抑えて、手間ひまかけて長時間発酵させるので、小麦の味が最大限に生かされた生地になります。その生地を富士山溶岩窯で焼くことにより、遠赤外線効果で中はしっとり、外はパリッと香ばしい焼き上がり。焼き立てがもちろんおいしいですが、老化が遅いので、翌日でもおいしく食べられます。

富士山の溶岩を使用して、特別注文で作った窯で焼き上げています。遠赤外線効果により、火通りがよく、余分な水分を飛ばさずに、中はしっとり、外はパリッと焼き上がります。店頭には250種類ものパンが並びます。試作を重ねて、新作を次々と誕生。お客様からのアドバイスから生まれた商品も!
サンドイッチは、定番のクラブハウスサンドから鴨肉や牛舌のサンドイッチなど家庭では出せないプロの味まで、バラエティ豊か。プライスカードはすべて暖かみのある手書き文字。卵・牛乳不使用商品や、辛い商品はそれぞれプライスカードに表示しています。

女性ならではの苦労

オープン当初は、オーナーの山本シェフと厨房で肩を並べてパンを作りながら、パン製造のすべてを学びました。夢に向かってがむしゃらに突き進むシェフから、技術だけでなく、熱い想いも引き継ぎました。この手でパンを作りたくてこの道に入りましたが、今はパン製造の現場からは離れ、店長になって7年目です。店長としての仕事は、人をどう動かし、売り上げをどう上げるかなので、正直、プレッシャーは大きいです。

女性が多い職場ですので、人間関係に気を使うこともありますが、女性同士だからとなあなあにならず、必要なことは遠慮なく言うようにしています。そのあたりは男性的かもしれませんね。

つらくなるときもありますが、オープン当初、未来を信じて、熱く夢を語り合った日々が今の私を支えてくれています。

1日中、何度も売り場と厨房を行ったり来たりで大忙しの加藤店長。社員13人、パート30人の内、女性は7割を占めます。女性が働きやすい職場です。

パンステージ プロローグ オーナーシェフ山本敬三さんより

「パン屋はスタッフがいないと成り立たない仕事。みんなの気持ちがお店を作っているんだよね」(山本オーナーシェフ) 「『パンステージ プロローグ』をオープンしたのは1999年、2店舗目の『パンステージ エピソード』を出店したのは2007年。2009年には『エピソードカフェ』、2012年にはレストラン併設の『プロローグ プレジール』と、現在4店舗を経営しています。ここまでできたのは、本店である「プロローグ」をしっかり守ってくれている加藤がいてくれたから。本店は人材育成の場でもあります。ここで育った人間が第2第3の店で活躍してくれているんです。加藤をはじめとする、創業当時から力を合わせて働いてくれているスタッフがしっかり土台を固めてくれているからできることなんですよ」

どんなお店にしていきたいですか?

私は子どものころからパン屋に行くのが大好きでした。「今日は何を食べようかな」「このパン、どんな味がするんだろう」「パンってどうやって作るのかなぁ」…、ワクワクが止まりませんでした。パンステージ プロローグもそんなパン屋でありたいです。だから、パンを作るだけ、売るだけじゃなくて、お客様との対話を大切にしています。女性はもちろん、ファミリー層のお客様が多いので、みなさんにどんなパンが求められているのか、どんなサービスが心地よいのかを敏感に察知しながら、愛着を持っていただける店にしていきたいですね。

「お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい!

加藤智子さん お気に入りのpan

サンクカンパーニュ 237円(税込)サンクカンパーニュ 237円(税込)
シンプルな白パンが5つくっついた花形パン。プロローグのオープン当初からあるパンで、これが私は大好き! 卵や牛乳を使わず作った、ほんのり塩味の素朴なパンです。粉はもちもちとした食感になるように、強力粉とフランスパン用小麦をブレンドし、塩は沖縄のシママース、砂糖は口溶けがよい粒の細かいタイプのグラニュー糖、油脂分はラードを加えて軽い食感に仕上げています。そのままちぎって何もつけず食べても粉の風味が生きているのでおいしい! 切り込みを入れてサンドイッチにしても、しょっぱい具とも甘い具とも相性がいいですよ。

店舗情報

店名/パンステージ プロローグ
郵便番号/〒225-0001
所在地/神奈川県横浜市青葉区美しが丘西1-3-10
最寄駅/東急田園都市線たまプラーザ駅
アクセス/たまプラーザ駅より東急バス「保木入口」下車(約10分)
電話番号/045-902-7879
営業時間/6:00~20:00
定休日/無休(夏季、年末年始をのぞく)

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2014年11月)のものです

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