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2018.11.08【兵庫】

神戸経済新聞

神戸で「HYOGOシュトレンの会」始動 「兵庫・神戸のパン食文化」を国内外へ発信

 「HYOGOシュトレンの会」と神戸観光局が主催する初のイベント「HYOGOシュトレン・フェスト2018」が10月30日に始まった。

 近年「シュトレン」の人気が高まる中、兵庫県でのシュトレン文化のさらなる発展と熟成を目的として「HYOGOシュトレンの会」が今年6月1日に発足した。構成メンバーは、「イスズベーカリー」常務の井筒大輔さん、「市島製パン研究所」所長の三澤孝夫さん、「ケルン」社長の壷井豪さん、「コンセントマーケット」オーナーシェフの岩井直人さん、「サ・マーシュ」オーナーシェフの西川功晃さん、「ジャーマン・ホーム・ベーカリー」専務の上原嘉恒ハインリッヒさん、「原田パン」専務の原田稔久さん、「ブーランジェリーレコルト」オーナーシェフの松尾裕生さん、「ベッカライ・ビオ・ブロート」マイスターの松崎太さん、「兵庫精米」常務の満保善英さん。ロゴマークは、同会の理念に賛同した女流書家の金澤翔子さんが手掛けた。

 クリスマス前に一つの大きなパンを皆で少しずつ切り分けながら食べるドイツの伝統的な菓子パン、シュトレンが神戸で初めて作られたのは約90年前。ドイツパン・洋菓子店「フロインドリーブ」が1924(大正13)年の創業当時から作り続け、「クリスマス前にはシュトレンを食べる」という神戸に根付く文化をけん引してきた。神戸ではクリスマス前にシュトレンを作るパン店や菓子店が増え、今では多くの店で作られている。

 同会代表でフロインドリーブの上原さんはシュトレンをめぐるエピソードについて「第2次大戦直後、初代ハインリッヒフロインドリーブが神戸の孤児院の施設長にお願いして当時ドイツを占領していた国の一つであるアメリカの大統領に送ってもらった手紙がきっかけとなって日本に帰るビザが下り、終戦後の混乱でドイツから戻れずにいたフロインドリーブ2世夫婦の帰国がかなった。これに感謝して12月24日にシュトレン(当時は軽シュトレン)を神戸の孤児院に贈り、67年変わらず今も毎年の恒例行事となっている」と明かす。

 発祥の地とされるドイツでは、配合比率など最低基準が法律で定められているが、日本では明確な基準がなかったため、シュトレン文化を大切に守り育てていくために日本で初めて同会がドイツの伝統的なシュトレンの配合を参考に指針を策定。HYOGOシュトレンは小麦粉に対し、バター30%以上、ドライフルーツ60%以上を練り込んでいることが条件となる。

 第1アドベント(クリスマスを祝う準備開始日)として12月2日にドイツと関わりの深い「風見鶏の館」で同イベントのオープニングセレモニーを開催。神戸ならではの体験ができる「おとな旅・神戸」とコラボしたプログラムなども展開し、開港以来、多様な文化が融合し生まれた「兵庫・神戸のパン食文化」と新たなシュトレン文化を発信していく。

 上原さんは「パン店だけで完結させるのでなく、街のカフェや喫茶店などと協力してシュトレンを使ったメニュー開発をしてもらいたい。街を挙げて盛り上げ、HYOGOシュトレン・フェストがいつか本場ドレスデンのシュトレンフェストのように、文化として発展していってほしい」と話す。

 12月24日まで。
(神戸経済新聞)