紹介してくれた人

Minimal -Bean to Bar Chocolate- 取締役
田淵 康佑さん


IT企業勤務を経て、2014年に大学時代の同級生である代表の山下さんとともに「ビーントゥバー」スタイルのチョコレート専門店「Minimal(ミニマル)」を設立。自社工房でカカオ豆から板チョコレートができるまでの全工程(選別・焙煎・摩砕・調合・成形)を行い、ときには中南米、アフリカ、アジアの産地に出向き、現地の農園の人たちと一緒になって、よりよいカカオ豆をつくるために協働することも。カカオの生産者、チョコレートをつくって売る人、そして買う人、いずれもが幸せになれる「三方(さんぽう)よし」の仕事を目指しています。

おすすめの組み合わせ

毎日のパンがもっと楽しくなるチョコレートと白あんのハーモニー
チョコレート スプレッド - コロンビア - +食パン

「ビーントゥバー」の定義は、広い意味では「1つの場所でカカオ豆からチョコレートをつくる」ということですが、私たちはもう少し踏み込んで、「素材の多様性を生かしたチョコレートづくり」だと考えています。チョコレートの原材料であるカカオ豆は、南国の果実、カカオの実の中にある種です。農産物ですから、品種の違いはもちろんのこと、産地や農園によって香りも味わいも違います。つくり手のキャラクターが反映される、ワインやコーヒーとも共通する世界。ですから、私たちもそれぞれの豆の持ち味を最大に生かすレシピを追求しています。焙煎後の豆は摩擦熱で香りを逃さないよう粗挽きにして、少し粒々感を残してあるのも当店の「ビーントゥバーチョコレート」の特徴です。

チョコレートの香りや味わい、個性を実感できるのが「ビーントゥバー」の楽しみ方の1つ。一方でもっと気軽に、日常的に楽しんでいただくためにつくったのが「チョコレート スプレッド - コロンビア -」です。チョコレートと白あんを合わせた新食感で、パンとのマリアージュのために考え抜いたスプレッドです。
チョコレートは、レーズンのようなフルーティさが特徴の「コロンビア」をセレクト。通常、チョコレートスプレッドにはナッツペーストを混ぜてありますが、それではナッツの芳ばしさが立ちすぎてしまいます。そこで試行錯誤の末にたどり着いた素材が、白いんげん豆と砂糖だけで炊きあげた「白あん」。あんとチョコレートはどちらも「豆と砂糖」でつくられる好相性の素材ですが、中でも白あんは、強い香りやクセ、ナッツのように重たいオイリーさのない上品な風味で、カカオ豆本来の味と香りをひき出してくれます。あんが醸し出すしっとりやさしい食感と、チョコレートのやや酸味のあるフルーティな香り、まずはシンプルな食パンにたっぷりつけて召し上がってみてください。

パンのおいしさが発酵によって引き出されることはご承知のとおりですが、実はカカオ豆を収穫する際にも、発酵というプロセスによりカカオ豆の味や香りに強さが生まれます。私たちは、東京農大で日本酒の醸造科学科の先生から発酵についてアドバイスいただき、現地で生産者の人たちと一緒にカカオの発酵に取り組んできました。よい発酵がよりおいしいカカオ豆を育てる…パンとチョコレートがよく合うのは、「発酵」という共通点があることにも関連するのかもしれません。

私のお店のおすすめ

カカオと砂糖のみが原料の板チョコレート
ベトナム産のカカオ豆でつくるビーントゥバー「フルーティ・ベリーライク」は、ベリーのような爽やかな風味。

当店の「ビーントゥバー(板チョコ)」の原材料はカカオ豆とてんさい糖のみ。カカオ豆の細かい粒を残した、ザクザクした食感も特徴です。今までのチョコレートが、味や香りを「足し算」で加えていくのに対し、Minimalは、余分なものを全部「引き算」して、素材そのものが放つ味わいや香りを生かす、素材に寄り添ったレシピを追求しています。ナッツのように芳ばしくコクがある「ナッティ」、フルーツやベリーのような爽やかな味わいの「フルーティ」、ハーブやスパイスのようなテイストの「セイバリー」と、味わい・フレーバーによって、3つの系統に大きく分類し、常時6~8種類ほどをラインアップ。豆の個性に合わせて、ローストする温度や時間、砂糖の割合、カカオの粒の大きさなどを変えています。
例えばガーナ産はナッツのような香りが特徴ですから、芳ばしさをひき出すために比較的高温で焙煎してメイラード反応を起こす。ベトナム産はカシスのような、酸味と渋味のあるフルーティ系なので、酸味が飛んでしまわないよう焙煎温度は少し抑えめにします。そうすることで、それぞれ「ナッツのような」「フルーツのような」特徴のあるチョコレートができるのです。

おすすめは「フルーティ」系の中でもベリーのような香りと風味の「ベリー・ライク」。カカオは、ポリフェノールを多く含むため、渋みもありますが、カカオ比率を68%にして、てんさい糖で酸味と渋みのバランスをとり、複雑で爽やかな風味にまとめています。
これと対照的なのがガーナ産の「NUTTY ROASTY」。カカオ85%で、「ナッティ」系の中でもパンチの効いたチョコレートらしい風味を楽しめます。それぞれパッケージにはカカオ豆の産地、農園や収穫時期などプロフィールを詳しく記載した「レシピカード」を添えています。また、店内には試食をご用意し、スタッフがチョコレートのソムリエ役となって、お好みのテイストを探すお手伝いもしています。まずは味わっていただき、カカオ豆の産地のことなどにも思いを巡らせて、チョコレートとの新しい出会いを楽しんでみてください。

店舗情報

店舗内写真
店名
Minimal -Bean to Bar Chocolate-
(ミニマル-ビーントゥバーチョコレート)
住所
東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9
TEL
03-6322-9998
営業時間
11:30~19:00
定休日
なし
URL
https://mini-mal.tokyo/

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