紹介してくれた人

ツナ専門店 おつな
代表 関根 仁さん


福島県出身。自店を持つことを目標に、都内の魚屋で働き、魚の目利きを極めた後、世田谷区池尻に小料理屋「仁」をオープン。以来10年間たくさんのお客様に愛され、賑わう繁盛店に育てあげるも、本当においしい「ツナ(マグロのオイル漬け)」をたくさんの方々に食べてほしいという一念から、ツナづくりに専念。2017年、ツナ専門店「おつな」を立ち上げると、製造が間に合わないほどの人気に。2019年夏には製造拠点を静岡県の焼津に移し、こだわりの「おつな」づくりに励んでいる。

おすすめの組み合わせ

和食のだし文化をベースにしたツナのやさしい食感は、ソフトなパンと好相性
おつな「オーガニック粒マスタード」+ホテルブレッド

「ツナ」というと、ほとんどの方がマグロやカツオをオイル漬けにした缶詰を思い浮かべるかと思います。ツナの歴史を紐解くと、1930年に現在の静岡市清水区にある食品会社が日本で初めてマグロのオイル漬け缶詰の製造を始めました。保存ができて、栄養価が高く、携行にも便利なため、当初は軍事用としてアメリカ向けの輸出がメインでした。国内で一般に販売されるようになったのは、1950年代後半から。もともと魚を好んで食べる日本人ですから、栄養があり、手軽でおいしく、長期間保存ができるツナの缶詰は大ヒット商品となりました。大手メーカー数社がこぞってツナ缶の製造を手がけるようになり、「ツナといえば缶詰」の認識が定着していったのです。

当店特製の瓶詰のツナ「おつな」シリーズは、「いつも食べているおなじみのツナだけど、たまにはちょっと贅沢したい」そんなニーズに応えた商品です。素材のおいしさを生かし、だしとオイル、調味料、合わせる副材料にとことんこだわり、丁寧に手づくりしたツナを中身の見えるガラス瓶に詰めました。食べ慣れたツナだからこそ、その違いをストレートに感じていただける、今までにありそうでなかったアイテムです。

一般に流通している缶詰のツナとのいちばん大きな違いは、加熱殺菌処理法の違いです。ツナ缶の製法は、丸ごとの魚を蒸したあと、骨や内臓などを取り除き、部位に分けて調味し、高圧高温での殺菌処理(レトルト加工)をします。
一方「おつな」は、75℃で1分間の低温殺菌を採用しています。高圧高温をかけないため、素材の風味はそのまま残り、体に有用なDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸や、ビタミン類などの栄養成分も壊れにくいのです。

ピンクペッパー入りの「プレーン」。「おつな」の素材は、ビンチョウマグロの中でも身色が白いものを厳選している

また、ツナの身色が白いのも「おつな」の特長です。ツナの原料になるマグロには、いろいろな種類があります。たとえば本マグロは、お刺身にすると赤身が美しいですが、赤身には鉄分が多く含まれるため、加熱すると酸が出やすくなります。
さまざまなマグロで試した結果、煮ても酸が出にくいビンチョウマグロ、その中でも身の白い個体を選んで使っています。おろした身肉に塩をして余分な水分や臭みを取り、さっと熱湯にくぐらせて霜降りしてから、スープ煮にします。このスープは、昆布、玉ねぎ、セロリ、椎茸でとっただしに臭み消しのニンニクを少々。スープに使う素材もいろいろ試行錯誤しましたが、余分なものをどんどん削っていき、このシンプルな配合にたどり着きました。異なるうま味成分を合わせると、相乗効果でうま味が増すという、和食のだし文化がベースになっています。一晩スープにつけて味を含ませてから身をほぐし、ハーブやスパイスなどを合わせて味つけ。オイルを加えて瓶詰し、低温殺菌後に急冷して1週間ほど寝かせ、ようやくお客様にお渡しできる商品ができあがります。
「おつな」は、どれもごはんだけでなく、パンやパスタともよく合います。中でもおすすめは「オーガニック粒マスタード」。丁寧にほぐしたツナのやさしい食感には、ふんわりやわらかなホテルブレッドなどが合うかと思います。ほんのりと甘みのあるパンにツナのうまみとコクが溶け合い、粒マスタードの香りと酸味は味わいに奥行きを与えます。パンのみみ部分の芳ばしさとほのかな苦みも加わって、基本の五味(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味)が1つにまとまった、絶妙なバランスをお楽しみください。

私のお店のおすすめ

どなたにも喜んでいただける「ドライトマト&バジル」
トマトのうまみが凝縮されたドライトマトとバジルペーストの黄金の組み合わせ「ドライトマト&バジル」

「おつな」は、私が以前営んでいた小料理屋で、たまたまその日に残ったマグロを使ってオイル漬けをつくってみたのが誕生のきっかけです。想像をはるかに超えたおいしさに、気がつけばツナづくりにすっかりのめり込んでいました。もっとおいしくする方法はないかと、世界中のツナの缶詰や瓶詰を取り寄せて研究し、素材や味つけ、製法を試行錯誤してつくりあげました。

フルーティな香りのピンクペッパーを合わせた「プレーン」、沖縄の唐辛子をピリリときかせた「島唐辛子」、甘みのある味噌味の「えごま大葉味噌」、「ガーリック&オレガノ」など現在は10種類をラインアップしています。いずれも素材それぞれがもたらす重層的な味わいで、ワインなどお酒のお伴や、パンにそのままのせるだけで、おいしく召し上がっていただけます。

10種類どれもイチオシですが、お子さまからご年配の方まで、お好みを問わずにどなたにも喜んでいただけるのが「ドライトマト&バジル」です。オーガニックのバジルペーストと刻んだセミドライトマトを混ぜています。もともとは、「バジル」「ドライトマト」別々の商品でしたが、両方を合わせてみたら相乗効果でさらにおいしくなり、ラインアップに加わりました。バジル&トマトのパンチの効いた味わいですので、バゲットなどにもよく合います。

「おつな」のもう1つのこだわりがオイルです。加熱しても体に有用な成分が壊れにくい高オレイン酸の「ハイオレイック種」サフラワー(紅花)油をメインに、3~4種類をバランスよくブレンドしました。さらりとして、素材を生かすくせのない味わい、酸化に強く、体にやさしいオイルです。魚やだしのうま味がしっかり含まれていますので、ぜひオイルを切らずにツナを召しあがっていただき、残ったオイルもバゲットにつけたり、パスタやサラダなどにかけたり、調味料として余さずお使いいただけたらと思います。
繊細で、素材のうま味が何重にも重なり合ったおいしさ、特別感のある乙なツナ「おつな」は、ギフトにもぴったりです。焼津にて、心を込めて丁寧につくり、全国への通販のほか、週末には池尻大橋の店舗にて販売しています。今までになかった、手づくりのおいしさをぜひ一度お試しください。

10種類をラインアップ。今後は新しいフレーバーも登場する予定 和のスパイスを使った「実山椒」。意外とパンにも合う
プチギフトや、自宅で ちょっと贅沢したいときにぴったり 海外でもツナは缶詰が主流

店舗情報

店舗内写真
店名
おつな
住所
東京都世田谷区池尻3-5-22
TEL
03-6426-8178
営業時間
毎週土曜、日曜の11:00~14:00 ※1名様5個まで販売
なくなり次第終了
交通
池尻大橋駅から徒歩5分
URL
http://otuna.tokyo/

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2019年09月)のものです

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