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フランスと日本を融合
「いつものパン屋」を究めたい
vol.40 ブーランジュリーコメット 小林 健二氏

都営地下鉄大江戸線赤羽橋駅から徒歩5分。麻布十番に向かう裏通りに可愛いパン屋さんがあると評判だ。さわやかなブルーの外観が印象的な「ブーランジュリーコメット」である。パリの超人気店で修業した小林健二シェフが、この地に店をオープンして5年、パリの香りがする本格的なパンは近隣の人々に愛されている。

ブーランジュリーコメット

パリの香りがする小粋なパン屋さん

病院やオフィスビル、高級マンションが立ち並ぶ東京・三田、赤羽橋界隈。麻布十番に向かう裏通りに、フランスの街角にあるような可愛らしいパン屋がある。小林健二、さやか夫妻が2016年7月にオープンしたブーランジュリーコメットである。
スカイブルーの外観が印象的だ。ドアを開けて中に足を踏み入れると「いらっしゃいませ」の明るい声と、さやかさんの笑顔が出迎えてくれる。青と白を基調にした可愛い店内はオシャレでブティックのようだ。

青と白を基調にしたおしゃれな店内
販売をする奥様のさやかさんが出迎えてくれる

対面販売の平台に並んだ美しいパンの数々、「今日は何を買おうか」とワクワクする。バゲットやクロワッサン、季節のタルトやサンドイッチまで約25アイテムが揃う。

選び抜いた約25アイテムが揃う
バゲットやデニッシュ類
アート作品のような美しいパンが並ぶ

パリの超人気店「デュ・パン・エ・デジデ」(以下「デジデ」)のクリストフ氏の元で、6年間修業した小林シェフが創り出すパンは、どれもクオリティが高く、その形、色彩、味、すべてがアート作品のようだ。
どれにしようか迷っていると「どんなものがお好きですか?」とさやかさん。まるでパリの街角にいるかのように洗練されている。小粋なパン屋さんだ。

パリと日本をマッチングした匠の味

この店の看板商品は、店の名前を冠した「コメット」1/2カット680円、1/4カット340円(税込)。北海道産の小麦粉に米糠を入れた四角い食事パンで、もっちりした味わいが日本の食卓にピッタリだ。 一番人気は本場仕込みのクロワッサン310円(税込)だ。フランス産の小麦と発酵バターを使っており、濃厚なバターの香りとサクサクの食感に圧倒される。

店の名前を冠した「コメット」
人気のクロワッサン

またパリの「デジデ」の人気商品エスカルゴも健在だ。季節によってさまざまなバリエーションを展開しているが、9月下旬のこの日は「ティラミスのエスカルゴ」390円(税込)を提案していた。バターたっぷりのザクザク食感の生地とココアの風味が溶け合った大人の味は、ファンを虜にする。またパリでも人気の具材が入った小型の食事パン「ミニパヴェ」260円(税込)は食べやすく重宝だ。この日は「ホウレンソウとベーコン」が並んでいた。

「ティラミスのエスカルゴ」
「ミニパヴェ」

季節のフルーツを使った「タルトレット」450円(税込)は、その美しい姿を見ただけで心が躍る。この日は「いちじくとピスタチオ」「りんごと塩バター」「ブルーベリーとチーズ」の3種を揃えていた。

タルトレット3種
心を込めて丁寧に仕上げる
フランス産のいちじくをふんだん使ったタルト

「日本のいちじくは水っぽい」と、わざわざフランス産を使っているというこだわりようだ。小粒で甘さが際立ついちじくとパイ生地がマッチ、その秀逸な味わいはクセになる。

クオリティの高いサンドイッチが並ぶ

具材を吟味したサンドイッチ類も得意だ。
「フォカッチャサンド」710円(税込)は、外側がカリカリ食感のフォカッチャと、具材のハム、チーズ、たっぷりのレタスの味わいが絶品。ボリュームたっぷりでこれ一つで満足だ。フィセルを使ったチキンサンド600円(税込)もシンプルだが具材とパンの食感のバランスが秀逸だ。

「フォカッチャサンド」
フィセルサンド2種

看板商品のコメットを使ったタルティーヌ420円(税込)にも心を奪われる。この日は「サーモン、カッテージチーズ、サワークリーム」と「ほうれん草のクスクス、えびときのこのオイルマリネ」と2種類が並んでいた。サーモンを買ってみる。パッケージを開けるとスモークサーモンの香りに驚く。とろける旨味とサワークリームがよく合う。本当に良い材料を厳選していると感心する。
並んでいるパンすべてを買いたくなるほど一つひとつが美しく、洗練された商品は小林シェフの技術の高さを物語る。

コメットを使ったタルティーヌ2種
上質なサーモンを使用

パリの「デュ・パン・エ・デジデ」で修業

本当は喫茶店経営を目指し勉強していたという小林シェフ。学生時代にカフェ巡りのために上京、ふと出会った「PAUL」のバゲットに感動し、パンもいいなと、コーヒー+αとしてパンを学ぶことに。
バゲットならフランスと、大学の留学制度を利用し、パリに渡った小林シェフ。パン屋巡りをし、一旦帰国。フランス語を学び再度渡仏、フランス北部の都市ルーアンのパン学校でパンの基礎を学んだ。そして最初は、当時人気ブーランジュリーの「プージョラン」で働き、その後パン学校の同級生の誘いで「デジデ」で働くことになる。
デザイナー出身の異色のパン職人として注目されたクリストフ氏の元、小林シェフはめきめきと腕を上げる。クリストフ氏に気に入られ、店の2階に住み込んで、パン作りに没頭した。
「クリストフさんに可愛がっていただき一緒に過ごすことが多かった」と小林シェフ。超人気店を支える原動力となっていった。 「クリストフさんにはシンプルイズベスト」ということを学びました。複雑なことをシンプルにして量産できるように・・・」ということである。

小林シェフが修業したパリの「デジデ」の外観
「デジデ」のオーナーシェフクリストフ氏

「デジデ」の看板の食事パン「デ・ザミ」は、成形しないまま焼いて、カット売りするが、それがかえって斬新で食べやすいと評判になった。オーガニックの食材など、良い材料にこだわるのはデジデの当たり前であった。
そして通訳の勉強にきていた奥様のさやかさんと出会い、結婚。自分たちのパン屋を開店する夢を膨らませていった。

いつの間にかいつものパン屋

そして2016年7月、麻布十番に「コメット」をオープンした。店名の「コメット」とはフランス語で彗星の意味、「彗星に図面を引く、できもしないことを企てる」という意味があるという。この店名は学生時代から決めていたというから凄い。2人で想い描いてきた理想のパン屋を実現していった。
コンセプトは「いつの間にかいつものパン屋」である。

アットホームな入口
街の人々に愛される店に

オシャレで可愛くてそれでいてアットホーム、何よりパン一つひとつに心と技が詰め込まれている。何度か通ううちに、いつの間にか常連に。そんな店になりたいということであろう。
「コメット」を出店するにあたり「パリの店のコピーはしない」と誓ったと小林シェフ。パリで修業はしたが、日本のパン屋なので、日本の食卓に合ったパンを提案したかったと語る。

コメットに賭ける想い

特に店名をつけた「コメット」にかける想いは熱い。「コメット」=「米と」という意味もクロスしているという。日本のコメのように日々の食卓で料理と一緒に食べて欲しいという想いである。四角くて十字にクープを入れた座布団のような形は、お店のロゴマークそのものなのだ。
国産小麦と有機米の米糠を入れているが、米糠の栄養と油分が生地をしっとりとさせるという。クラストはがっしりしすぎず、中のクラムはしっとり、もっちりしていて何にでも合いそうだ。
実は「デジデ」出身というので、かの店の看板商品で、鉄板いっぱいに成形せずに焼いた「パン・デ・ザミ」と似たものを想定していた。しかし、まったく異なる形、味わいのパンなので驚いた。小林シェフのオリジナリティにかける熱意を感じさせる。

日本の食卓にピッタリの「コメット」の断面
お店のロゴと同じ形

自分たちが食べたいパンをつくる

「食べるのが大好き」という小林夫妻、以前からよく食べ歩きをしていたという。メニュー開発のヒントを伺うと「自分たちが食べたい思うパンを作っています。従って自分たちが美味しいと思う商品しか出しません」とキッパリ。その確かな味のセンスとパン職人としての技術がクロスし、完成度の高い商品が出来上がっているのだ。

自分たちの食べたいパンをつくる
黙々とパンづくりに励む
「いちじくジンジャーメープルのカンパーニュ」

10月の土曜日限定の「いちじく ジンジャーメープルのカンパーニュ」1/2 540円(税込)は、自家製サワードウを使い、いちじくとクルミがたっぷり。その芳醇な香りと味わいはハード系好きを唸らせる。
客単価は1,200円と高い。「おかげで妥協することなく、目指すパンをつくるための材料をしっかり使えています」と小林シェフ。その確かな味に納得してお客様は足を運ぶ。

夫婦二人三脚で理想のパン屋を

小林夫妻

製造は小林シェフ、販売はさやかさん、二人三脚でここまできた。5周年の今、麻布十番の街にしっかり根付き、「いつものパン屋さん」として溶け込んでいる。技術力はもとより、二人の優しい人間性が人気店の秘訣といえよう。

まだ37歳と若い小林シェフに、将来の夢・抱負を伺ってみた。すると「不動産の持ち主が代わり、この先この場所で続けていけるかどうか。今は特別価格で借りていますから・・・」 そこがはっきりしないと将来は描けないという。

しかし、どこに行っても小林夫妻が創り出す「コメット」はファンに支えられ、人気店となることは間違いない。「コメット」ファンとしては今の場所での存続を願うばかりだ。しかし新天地で第二のスタートを切るのも悪くない。
クオリティの高さと行き届いたホスピタリティはどこにも負けることはない。いずれにしても小林夫妻の今後のチャレンジに期待したい。

小林健二シェフのチャレンジは続く

小林 健二氏

1984年群馬県生まれ。喫茶店経営を目指していたが、美味しいバゲットに出会い、そのおいしさに感動し、パン職人の道に。フランスルーアンのパン学校に学び、パリで人気のブーランジュリー「デュ・パン・エ・デジデ」で6年間修業。パリで奥様のさやかさんと出会い、結婚。2016年、「ブーランジュリーコメット」をオープン、オーナーシェフに。日本人の食卓に合わせた完成度の高いパンや焼き菓子が評判を呼んでいる。

ブーランジュリーコメット

郵便番号
108-0073
住所
東京都港区三田1丁目6-6
最寄駅
都営地下鉄赤羽橋駅
アクセス
都営地下鉄赤羽橋駅から徒歩5分
電話
03-6435-1534
営業時間
9:30~18:00 土・祝9:30~17:00
定休日
日・月曜(不定休あり)

ブーランジュリーコメットについて詳しくはこちら

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2021年10月)のものです

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2021年10月)のものです

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