ソトパン パンがおいしい店へでかけよう!

vol.05 朝に夕に、寄り道したくなるビストロ
PATH(パス)(東京都 渋谷区)

カフェのように軽快な空間で、開店から14時まではパン、焼き菓子やブランチメニューを。18時からはワイン&フランス料理で、軽く1杯からしっかりコース、ドリンクペアリングまで、自由に、気ままに味わうことができる店です。オーナーは、「トロワグロ」でパティシエとして腕を振るった後藤裕一さんとフレンチシェフの原太一さんのお2人。日々の暮らしの中で、ここに立ち寄ってお腹を満たし、ほっと息抜きできるように、そしてフレンチをまだ味わったことのない人にとっては気軽な入り口に……店名の 「PATH」にはそんな想いが込められています。

だからリピートしたくなる!

手仕事から生まれる、パンと焼き菓子と料理

店頭に木のベンチとテーブルがあるほかは、看板なども出ていませんが、朝8時の開店を待っていたかのように次々とお客様がお店に入っていきます。キッチン前のカウンターには焼きあがったばかりの焼き菓子たちが並べられ、マドレーヌはプックリふくらんだおへそに朝の光を浴びてスタンバイ。オーブンの中ではクロワッサンとパンオショコラが刻々と色づきながらバターの香りを放散させています。

「パンもお菓子も料理も、奇をてらったものはありません。食材の産地やオーガニックなどにも頑なにとらわれるのでなく、まっとうなものを使ってどのようにおいしさを表現するかが僕たちの仕事」と後藤さん。大切にしているのは、人の手がかかわっているからこそ生まれる、温かみ、心地よさ、おいしさです。朝8時半ごろ焼き上がり、昼前に売り切れてしまうことも多いクロワッサンは、小さな手動シーターで生地を仕込んでいます。スペースの制約ゆえに導入した機器でしたが、手動ならでは生じる、日々のクロワッサンのごくわずかな違い。そのかすかな揺らぎこそが、手づくりの温かみであり、料理的なおいしさにつながるのだと気づいたそう。つくれるものはなるべく自分たちの手でつくる。ハムは厨房で仕込んで、人の手で1枚1枚を切り出すことで、微妙に厚いところ、薄いところ、それぞれに味わいを生みます。
人が使い、時が育てたヴィンテージの家具や内装材、1つひとつに表情がある手づくりの器を選び、店内のBGMにレコードをかけるのも、それと同じ理由から。ペラリと平板ではない、心地よいノイズが紛れ込んだ空間は、穏やかな空気で満たされます。

ブランチのサンドイッチに使われているカンパーニュには、レーズンから起こした自家製酵母液を使っています。ガリガリと硬すぎず、歯切れのよいクラストに、ほどよい引きのあるクラムは、フルーツを感じさせる豊かな風味と香り! 料理と一緒に食べることを考えて、加水は多くしすぎず軽やかに、酸味も抑え、粉の甘みをひき出すようにつくっているそう。「<酸味こそが通好みの本格カンパーニュ>なんていうウンチクや先入観から自由になって、誰もが素直においしい!と感じられるように」と後藤さん。自家製ハムとカマンベールのサンドイッチをいただいて、「次はぜひ、このカンパーニュと一緒に夜のコース料理を味わってみたい!」なんて、幸せな小道の先を辿りたくなります。

おすすめのメニュー

  • クロワッサン
    313円(税込)

    4つ折り×2回の層が美しく重なり外側はパリパリ、かじるとジュワッと口の中いっぱいにバター感が広がる。バターの量が特別に多いわけではなく、生地に極力、乳製品を使わないことで、焼き上がりにバターの瑞々しさが生きてくる。

  • カヌレ
    324円(税込)

    カヌレ内部の、軽やかでありながら、しっとりした食感を目指したら、昔ながらの銅の型に蜜蝋を塗って焼き上げる方法にたどり着いたそう。やや多めに配合した小麦粉が、水分を保つ受け皿の役割をしている。パン、焼き菓子、サンドイッチはテイクアウトも可。

  • ダッチパンケーキ
    生ハムとブッラータ

    1620円(税込)

    ふくらんだ縁の部分はふわふわ、中心部はしっとりもちっとしたクレープ風の「ダッチベイビー」は、焼きあがるまでの30分間を待っても食べる価値あり。鮮度が命のフレッシュチーズ「ブッラータ」はご近所・渋谷産。メープルシロップをかけて食べるのがおすすめ。


店舗情報

店名
PATH(パス)
住所
東京都渋谷区富ヶ谷1-44-2 A-FLAT 1F
TEL
03-6407-0011
営業時間
8:00~15:00(L.O.14:00)、18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日
月曜、月1回日曜不定休

トップに戻る