パンのテーブル

焼きたて・本格派のピザを気軽に!ベーカリーと「専門店」のピザ

  • POURQUOI?(プルクワ)
  • ムッシュイワン
  • A-PIZZA(エーピッツア)池袋東通り本店

POURQUOI?(プルクワ)

東京・虎ノ門で店主神田さんのお父様が始めたパン店を2006年に湘南・辻堂に移転。上質の石挽小麦粉などから起こした自家製ルヴァンリキッドをほとんどのパンに使用し、ロデブとほぼ同じ製法のカンパーニュ、石挽ライ麦粉を使ったハード系、クロワッサンやブリオッシュ生地のスイート系など、約80種類に曜日限定のパンが加わります。
通常の1/10量のイーストで長時間熟成させ、小麦の甘みを残したレトロバゲットも店主こだわりの1品です。店内とテラス席では、ピザ専用石窯で焼きたてのピザや、パンに合うおかず&パン盛り合わせのプルクワプレート各種もイートインできます。

POURQUOI?(プルクワ)
住所:神奈川県藤沢市辻堂元町4-17-11
電話番号:0466-33-3676
営業時間:8:00~18:00
定休日:月曜(月2回平日不定休)
座席:店内3席・テラス8席(ラストオーダー18:00)
辻堂駅と海岸の中間にある「プルクワ」

高温の石窯で焼くピザ

マリナーラや湘南しらすなどピザの種類は14種。マルゲリータのソースはシンプルにイタリア産のホールトマト&シママース(原塩を沖縄の海水で溶かし平釜で炊いた塩)。モッツアレラはイタリアンレストラン仕様の上質なものを選んでいるとのこと。「クルミ&ゴルゴンゾーラには相性のいいハチミツを、お好みでかけていただけるように添えています」(神田さん)。

同じピザ生地を使って、具材を包み焼きにするのがカルッツォーネ。蒸し野菜のカルッツォーネは、伸ばした生地にバーニャカウダソースと季節の野菜を生のままスライスして包み、石窯へ。オーブンで熱々にした鋳物スキレットで提供します。

サクッと焼き上がったカルッツォーネにナイフを入れると、もっちりした生地の中にホクホクの野菜。「生地がちょうどスチームウォーマーの役目をするんです」(神田さん)。

ピザ用石窯

ナポリピッツァが日本ではまだほとんど認知されていなかった2000年代初め、神田さんはイタリア料理店で初めて食べた、そのおいしさに衝撃を受けたそう。「『至福のナポリピッツァ』(渡辺陽一著)も参考に独自の研究を重ね、まずはパン用オーブンの最高温度で焼いていました。よりおいしく、本場のナポリピザの焼き色に近づけるため、辻堂移転を機にピザ専用窯(ツジキカイ・クラシカナポリ)を導入しました」(神田さん)。

ピザ生地には日清製粉の小麦粉「スーパーカメリヤ」を使用し、ルヴァンリキッドと微量のイーストで3時間発酵。「種自体が熟成されていますし、発酵時間を長くすると酸味が出るのでこのタイミングがベストです」(神田さん)。

ピザだけでなく石窯を有効に活用

「ピザは、夕方、商品数が少なくなったときでも生地さえあればすぐに焼いて並べることができます。毎日30~40枚はコンスタントに、多いときは60枚くらい出ます。」(神田さん)。

ピザ用石窯では、ほかにもベーグルや石窯フーガスを焼き、具材をたっぷりはさんだチャバッタサンドは、イートインのお客様には石窯でサッと炙って提供しています。こちらは同店の人気NO.1です。

「実は料理はつくるより食べるのが大好き」という神田さんですが、ナポリピッツァと同様に外で出会ったおいしさを、自店のパンや石窯を活用したメニュー展開にどう活かせるか、常に考えていらっしゃるようです。

たっぷり具材と石窯で炙るスタイルが大人気のチャバッタサンド。

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ムッシュイワン

郊外のショッピングモール内にあり、休日は400人ほどのお客様が訪れる人気店。自然光がふんだんに差し込む店内はディスプレイも洗練され、好みのパンをゆったりと選ぶことができるレイアウトです。
オーナーシェフの小倉孝樹さんは、「ホテルパンの父」と称される福田元吉氏から伝統的なホテルパン製法を継承。自店にて石臼挽きした小麦粉を使うなどの粉へのこだわり、人の手をかけ、時間を贅沢に使った昔ながらのパンづくりと、その技術を後世に伝えることを自らの使命とされています。
看板商品のVバタールやイギリスパンを始め、石窯で焼き上げる同店のパンは、どれも小麦の香りと、かむほどに深い味わいが生まれ、デパートの催事や通信販売を通して遠方のお客様からも高い評価を得ています。

ムッシュイワン
住所:東京都立川市若葉町1-7-1 若葉ケヤキモール1F
電話:042-538-7233
営業時間:9:00~19:00
定休日:1/1
座席:20席(ピッツァは~16:00)
立川駅からバスで約10分「ムッシュイワン」 人気NO.1の食パン、ムッシュブレッド

ナポリピッツァ王道のマルゲリータとマリナーラ

オーナーシェフの小倉孝樹さん

ピザ専用石窯で焼くナポリピッツァは、本場ナポリのスタイルに倣って、いたってシンプルなマルゲリータとマリナーラ、これにそのときある素材を使った「気まぐれピッツァ」が加わることもあります。

「マルゲリータの具材は、スピガドーロのトマト缶と天日干しの塩だけでつくるトマトソース、モッツアレラ、バジルのみ。ナポリピッツアの原点ともいえるマリナーラは、トマトソース、薄切りニンニク、オレガノです。焼く前にかけるオリーブオイルも厳選したものを使っています」(小倉さん)。女性でもちょうど1人で食べ切れるサイズで、その分モッツアレラなどの存在感が際立っています。

「粉は日清製粉の「ルスティカ」を使っています。味わい、もち感、香りがイタリア産小麦粉に近く、ピッツァに向いています。パンよりもミキシングをしっかり行い、少ないイーストで17~18時間発酵させて、ガスの溜まりをよくしています。成形するときに縁の部分になるべく触れないようにすることで、ナポリピッツァの特長でもあるコルニチョーネ(縁)がうまくできるのです」(小倉さん)。

使用している石窯は、ツジキカイのピザ専用イーナポリ。「焼き上がりまでわずか90秒。高温・短時間焼成のため、生地のごく表層だけにナポリピッツァ特有の焦げ色がつき、香ばしさとともに、視覚にもおいしさを訴えてくれます」(小倉さん)。

美味しさをどうプレゼンテーションするか

「専門店のような派手なパフォーマンスはないですけれど、見せ方は大事。ピッツァには何と言っても炭酸系が合うので炭酸ドリンクとセットで販売しています。そして、コーラは敢えて瓶で出しています。僕のちょっとしたこだわり」(小倉さん)。

開放的なテラスの白いテーブルで、お客様がお召し上がりになっている美味しそうなピッツァとコーラ! たまたま店の前を通りがかった方にも、「え?ここパン屋さん?ちょっと覗いてみようかな」と思わせる、魅力的な演出です。

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A-PIZZA 池袋東通り本店(エーピッツア)

1人でも気軽に立ち寄れる、ニューヨークスタイルのピッツァ専門店として2012年7月オープン。15x20cmの長方形ピッツァを291円(税込)~という衝撃の価格で提供しています。
店名はカットしたピザのAの形と、ジャズスタンダード「A列車で行こう」の軽快なイメージから。メニューは色鉛筆のスケッチ画、ガラス窓にはマンハッタン地区のピザ屋さんMAPやスクエア・ピッツァのカットスタイルが描かれ、物語を感じさせるピッツァ店です。池袋西口・立教通りに2号店があります。

A-PIZZA(エーピッツア) 池袋東通り本店
住所:東京都豊島区南池袋3-18-30
電話:03-5953-2900
[平日・土曜]11:30~23:00/[日曜・祝日]11:30~22:00
(ラストオーダーは各30分前)
定休日:無休
席数:45席
9月にリニューアルオープンした「A-PIZZA池袋東通り店」

健康を意識したメニューで、リピーターを増やす

店長の平井孝夫さん

ピッツァは14種類あり、いちばん高い『プロシュート&ルッコラ』でも626円(税込)です。

『シンプルA』はNYで定番の、トマトソースとチーズだけのピッツァ。店オリジナルのミックスチーズにパルミジャーノで4種類のチーズを使用。パルミジャーノは粉末ですが、香りが効いています。

『シラスと大葉』は、チーズを使わずに豆乳・豆腐・味噌のソースにポン酢を合わせ、たっぷりの青ネギ、大葉をトッピング。「週に2度、3度でも食べていただけるよう、カロリー&脂肪控えめの健康志向ピッツァです。発酵食品である味噌は、ピザ生地との相性も抜群です」(店長の平井さん)。

ピッツァは1日に約200枚、休日は300枚以上出ることも。これを電気式石窯(ツジキカイ・イーナポリ500)1台でまかなっています。「長方形のピッツァは、図らずも庫内への収まりがよく、一度に3枚、焼きむらもほとんどなく約80秒で焼き上げています」(平井さん)。

スタイルはNY、ピッツァはナポリ風

ピザ専用石窯を置いたキッチン

飲食とは別分野のビジネスで訪れたニューヨークで、ファストフードのピザのおいしさ・カッコよさに出会ったことが出店のきっかけに。

「NYでは大きく焼いたピザをカットして温め直すのが一般的。いくら低価格でも、これでは日本では通用しないとも感じました。そこで、ナポリピッツァをお手本に、強力粉と薄力粉数種をブレンドし、酵母、イタリア産の塩とオリーブオイルを使って、低温・長時間(18~30時間)発酵させた生地を、注文を受けてから1枚ずつ成形し、500℃の石窯で焼きたてを出す、というライブ感・プレミアム感をプラスしました」(平井さん)。

お客様は、おいしさはもちろんのこと、雰囲気も楽しみにしていらっしゃいます。「店のイメージを決めたら、『合わないものは置かない』ことも大事です。イメージ通りのものがない、予算が折り合わないなら、自分でつくってしまうのも一つの方法」(平井さん)。

手描きのピッツァのメニューは、優しい手作り感をもたらし、写真よりも具材のイメージがしやすいと、とくに女性から大好評だそう。「ピッツァのサイズに合わせた木のトレイはパイン材をカットしてつくり、内装やテーブルの一部も製作・平井工務店(笑)です」(平井さん)。

9月の新装オープン後、ランチサービスを午後5時まで延長。ディナータイムにはピッツァのほか、アヒージョ、スペアリブなどワインが進みそうな料理も加わります。新メニューの『ズッパディペッシュ』は、魚介の旨みがスープに溶け出た『幸せの味』だそう。

「お昼ごはんを食べ損ねたとき、アフター5をゆっくり過ごしたいとき、いつでも気軽に利用できる店として近隣のお客様とのつながりを大切にし、その先に、<いずれは全国展開&スクエア・ピッツァを新しいスタンダードに>と、見据えています」(平井さん)。

各店とも、本場ナポリのピザにもひけを取らないおいしさを求めて、小麦粉を吟味し、生地づくりから丁寧に取り組んでいることが伺えました。トッピングや提供の仕方にも、各店のオリジナリティが発揮されています。石窯ならではの焼き色、食感、香ばしさ……「焼きたて」の魅力が凝縮したピザをぜひ五感で楽しんでみてください。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2014年10月)のものです

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