パンのテーブル

毎日食べたい!こだわりの食パン 2

  • パン工房ボワドオル
  • 美味しいパンの研究工房 つむぎ
  • レンガ窯パン工房 エピドール
  • パン デ モモ(pan de momo)

パン工房ボワドオル

JR外房線土気駅から南方へバスで10分、閑静な住宅街・あすみが丘に店をかまえるのが「ボワドオル」。オーナーシェフの金林達郎さんは、恵比寿ジョエル・ロブションの初代シェフブーランジェリーを務めた後、帝国ホテル・ベーカリー課に定年まで勤め上げ、2012年春に店を開きました。
ボワドオルの看板商品は、ホップス種を使用した『あすみ食パン』とルヴァン種を使い吸水の多い生地から仕上げる『ロデヴ』です。この2つは仕込みと焼成の段取りが組み込みにくい、手間がかかるパン。「『あすみ食パン』と『ロデヴ』が作りたくて始めたのが、この店です」(金林さん)
指導者として多忙だった帝国ホテル時代を経て、パンとじっくり向き合える今だからできるパン作りをこの店で実践されています。

パン工房ボワドオル
住所:千葉県千葉市緑区あすみが丘7-35-12
電話:043-420-8541
営業時間:9:00~13:00/15:00~18:30
定休日:月曜、火曜

7時間かけて焼き上げる、ホップス種の自家製酵母食パン

「私が自家製酵母に出会ったのは、30年くらい前。パン業界仲間との勉強会で、初めて酵母の扱い方を学びました。それまでの私は普通のパン職人だったと思います。しかし、真摯にパンに向き合い探求し合う仲間たちに刺激を受け、本気で取り組んだのが自家製酵母パン作りでした。いろいろな酵母を試しましたが、食パン生地に合う酵母として選択して残ったのがホップス種。以来、ジョエル・ロブションでも帝国ホテルでも作っていた、私にとって思い入れ深いパンがホップス種の食パンです」(金林さん)。

帝国ホテル定年退職後、念願の自分の店を持つことになり、このあすみが丘という地域に根付きたい、この地域の多くの人に食べてもらいたいという思いを込めて、ホップス種の食パンを「あすみ食パン」と名付けたとか。

食パンのラインナップは4種類

1日に作る食パンは4種類。「あすみ食パンを10斤、食パンを10斤、イギリスパン10斤、ぶどうパン8斤を毎日作っています」(金林さん)。

朝から作業を始めて、お昼前に焼けるのが毎日食べても飽きないシンプルな味わいの「食パン」。ホップス種を使った「あすみ食パン」は、イーストを使った「食パン」とは作業工程が異なります。発酵に時間がかかるので焼き上がりは夕方5時、合計7時間かけて作ります。

「高タンパクの小麦粉を配合して、ざっくりとした食感を出しています」(金林さん)。1枚目は生で、2枚目はトーストして食べるのがおすすめです。

「イギリスパン」「ぶどうパン」は、いわゆるホテルブレッドです。油脂や乳製品を効かせ、しっとりと口どけよく仕上げているのが特徴です。

大きな気泡ともちもちクラムが特徴のロデヴ

「あすみ食パン」と共に看板商品の「ロデヴ」は、フランス・ラングドック地方のパン。ルヴァン種を使い吸水の多い生地を成形せずに焼き、生地へのストレスをできるだけ抑えることで、粉の風味を最大限に生かしています。表面はかっちり、中はしっとりもちもちの食感で、見た目のボリュームに反して、あっさり軽く食べられるのが魅力。この「ロデヴ」を目当てに遠方から訪れるお客様も多いとか。

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美味しいパンの研究工房 つむぎ

「つむぎ」は、本サイトの人気連載シリーズ「竹谷さんだから聞けるパン職人の理想と挑戦」の竹谷さんが経営するお店。
竹谷さんのご実家は、北海道で豆腐屋さんを営んでいたそう。しかし、同じ商いでも「これからの時代はパンだ」とパン屋を志し、パンのことを知るには「小麦を知ることから」と日清製粉株式会社へ入社。40年もの間、小麦とパンの研究・開発に明け暮れながら、ベーカリー業界のシンクタンクを作ろうと考え、製パン業界の核となる人物を集めた勉強会「ベーカリーフォーラム」を発足。その中心として牽引してきた第一人者が竹谷さんなのです。
千葉県佐倉市に「美味しいパンの研究工房 つむぎ」をオープンしたのは2010年。大きな公園に面しているため、お昼時は子ども連れでにぎわうアットホームなパン屋さんですが、製パンのプロや熱心なパン愛好者が遠方からはるばる訪れる注目のお店でもあります。

美味しいパンの研究工房 つむぎ
住所:千葉県佐倉市ユーカリが丘2-2-7
電話:043-377-3752
営業時間:10:00~17:00
(終了後も店に明かりが灯っていればお立ち寄りください)
定休日:月曜・火曜・水曜

“幻の製法”フルフレーバー法で焼く食パン


「つむぎ」は竹谷さんと息子さんの健吾さんがパンの製造を担当し、毎日店頭に並ぶ「食パン」、木曜・土曜・日曜限定の「レーズン」、金曜限定の「胚芽入り」の3種類を焼いています。そのすべてを“幻の製法”と言われているフルフレーバー法で作っているそう。

「食パンの製法は大きく分けて、ストレート法と中種法の2種類です。『つむぎ』の食パンはフルフレーバー法と言って、100%中種法の変型です。通常の中種法は70%くらいですが、100%にすることでソフトな食感でキメの細かいパンが焼き上がります。老化も遅いので、食パン向きの製法ですが、温度管理が難しいのが欠点。今はフルフレーバー法を用いるパン屋はほとんどないと思います」(竹谷さん)。

材料にもこだわり、小麦粉はカナダ産の最高級品、バターは風味の濃い低水分バター、塩は天日塩を使用。「レーズン」と「胚芽入り」は「プレーン」をベースに副原材料を加えているそう。

「胚芽入りの食パンは珍しいため、固定客がついています。『プレーン』に熱処理した胚芽を7%加えて、胚芽の香りを最大限に生かしています。健康を意識する人はもちろん、『この風味が好き』とリピートいただいている商品です」(竹谷さん)。

国内産小麦で作った日本人のためのパンを作りたい

竹谷さんは、国内産小麦を使ったパンを積極的に作っています。
「アメリカやイギリスには食パンが、フランスにはフランスパンがあるように、パンは本来、その土地でできた小麦を有効活用して作るものだと思います。そういう意味では、日本はまだ過渡期です。国内産小麦を使って、日本人の味覚に合う、日本人のためのパンを作りたいのです」(竹谷さん)。

また、小麦の栄養を100%摂取できる全粒粉のパンのラインナップが多いのも特徴のひとつ。「全粒粉」と表示のあるパンは、厨房で独自に製粉したきめの細かい全粒粉を50%加えて作っているそうです。美味しいパンであることはもちろん、日本のパンの未来を見据えた竹谷さんならではのラインナップがこのお店の魅力なのです。

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レンガ窯パン工房 エピドール

「エピドール」のオーナーシェフ千葉吉胤さんは、ドイツ、フランス、スイスで修業を重ね、都市部のパンから地方の田舎パンまで、多くの製法を習得。35年前に千葉県柏市にエピドールを開業以来、地域に愛され続けています。ヨーロッパ伝統の技術を再現する確かな腕は、プロの間でも評判で、一流フレンチやホテルベーカリーの技術コンサルタントも務めておられます。
千葉さんは無添加天然素材のパン作りにこだわり、3種類の酵母を使い分けて、さまざまなパンを作り出しています。「長年の経験によって、酵母の動きが手にとるようにわかるようになりました。発酵と熟成には酵母を働きやすくするための温度管理が重要です。エピドールでは低温長時間発酵法により、熟成をじっくりと待って、素材の持ち味を最大限に生かしたパンを作っています」(千葉さん)。

レンガ窯パン工房 エピドール
住所:千葉県柏市増尾台4-1-4
電話:04-7175-0741
営業時間:9:00~18:30
定休日:火曜

クラストとクラムの対比が素晴らしい人気NO.1の「フランス食パン」

「エピドール」の人気NO.1商品が「フランス食パン」。「最上級の国産小麦粉に自家培養の酵母、天然あら塩とフランス岩塩を使い、低温長時間熟成させています」(千葉さん)。

レンガ窯の遠赤外線効果でクラストはパリパリ、クラムは引きの強い歯ごたえがあります。手で裂くときに感じるコシ、口いっぱいに広がる小麦本来の香ばしい甘さはやみつきになる美味しさです。

ビタミンEの栄養価が高く、健康志向のお客様に人気なのが「胚芽ブレッド」。胚芽はふすまと混同されやすいのですが、ふすまは小麦粒の一番外側の皮、胚芽は2枚目の皮のこと。
「胚芽の自然な香りを出すようにこだわって作っています」(千葉さん)

リッチな味わいの「食パン」にも定評あり!


「食パン」も国産小麦を自家培養酵母で低温長時間熟成させた生地をふっくらと焼き上げています。バターを効かせたリッチな味わいのパンで、この食パンを用いたサンドイッチは、午前中に売り切れるほどの人気です。

丸いハムに合わせ、円筒形に焼いた「ドイツ食パン」はマスタードを塗り、ロースハムを挟んで食べるのがおすすめです。

また、ハード系のパンにも根強いファンを持つ「エピドール」。小麦全粒粉やライ麦粉、小麦胚芽をブレンドしたスイスローザンヌ地方の「田舎パン」や「ラントブロート」が人気です。「フランスパン」は有名フレンチレストランやホテルからオーダーを受けているほどで、軽やかで崩れるような食感が自慢の逸品です。

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パン デ モモ(pan de momo)

「パン デ モモ」は大倉山駅前から続く商店街の外れに位置しながら、口コミで評判が拡がったという人気ベーカリー。
オーナーシェフの飯田哲さんは子どもの頃から食パンとあんパンが大好きで、好みの味を探して食べ歩いては、工夫を凝らして独自にパンを焼いていたそう。パン好きが高じて、サラリーマン生活を経てから、数軒のリテイルベーカリーで働いて製パンの基礎を身につけ、2011年に「パン デ モモ」をオープン。当時生まれたばかりだった娘さんの名前を模して店名に。飯田さんは売り場と隣り合わせの厨房でパンを焼き、作業の手があけば、お客様からの質問にも気さくに対応します。そんなアットホームな街のパン屋さんが「パン デ モモ」なのです。

パン デ モモ(pan de momo)
住所:神奈川県横浜市港北区大倉山5-40-3
電話:045-546-6293
営業時間:[平日]9:00~18:00、[土曜・日曜・祝日]8:00~18:00
定休日:月曜、火曜

お客様の声から生まれた9種類の食パン

「パン デ モモ」の食パンは全部で9種類。卵不使用の「角型食パン」「山型食パン」、卵・乳不使用の「ハードトースト」、卵・乳不使用ではちみつ入りの「イギリスパン」、卵・乳不使用で副材料が入る「十穀食パン」「全粒粉パン」「シリアルブラウンブレッド」、国産の有機小麦で作る「オーガニック食パン」「国産小麦の食パン」。
オープン当初は「角型食パン」「山型食パン」だけでしたが、アレルギー対応のパンやヘルシー志向のパンなど、お客様のニーズを取り入れたところ、それぞれのパンにファンがつき、今のラインナップに落ち着いたそうです。

食パンはストレート法を用いているため、早朝2時30分から作業を始め、3斤型10本と2斤型11本を使い回して、すべて午前中に仕込んで、焼き上げるとか。午後はハード系のパン、ブリオッシュやクロワッサンなど卵や乳を使うパンの仕込みに専念。「アレルギーのあるお子さんにも安心して食べていただけるよう、卵を使う作業を午前と午後に分けるようにしています」(飯田さん)。

クラストはサクッ、クラムはしっとりやわらかい食パンを目指して試作を重ね、水分多めの配合にしているそう。「吸水率が一般的な食パン生地が70とすれば、うちの生地は82~83%と高いため、生地がゆるくて扱いにくい。でも、ふんわりとやわらかくておいしいパンが焼き上がるんですよ」(飯田さん)


小さな子どもが安心して食べられる安全なパンを提供したい


「周辺は住宅街なので、小さなお子さん連れのお客様が多いんです。うちにも5才の子どもがいるので、安全・安心なものを提供したいと思っています」(飯田さん)。

パンの品揃えにもその思いは表れています。2014年春に新登場した北海道産の有機小麦で作った「オーガニック食パン」はアレルギー対応のパン。 「卵・乳は不使用なので、アレルギーのあるお子さんでも安心して食べていただけます」(飯田さん)。

オーガニック食材を使ったパンに対して、「食感がモソモソして、今までおいしいと感じたことがなかった」とマイナスイメージを抱いていたそうですが、質の良い国産小麦と出会い、納得できる味、食感のパンを作れるようなったため、商品化に踏み切ったそうです。

また、子どもに人気のキャラクターパンには、あえて中身を入れていません。
「小さなお子さんの場合、親御さんがあえて甘いものを与えていない場合も多いと思います。そんなお子さんにも安心して食べていただけるように、あんこやジャムは入れていません。お家で好きなものを挟んで食べていただきたいです」(飯田さん)。

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食パンはシンプルだからこそ、店のこだわりが感じやすいパン。店によって食材、発酵、焼き方など、すべて違うので同じ味は二つとありません。ぜひ、各店のこだわりの食パンを食べ比べて、自分好みの逸品を見つけてみてください。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2015年2月)のものです

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