パンのテーブル

魅惑のフルーツサンド

  • イトキト(itokito)
  • シェ カザマ
  • フツウニフルウツ
  • Hattendo Cafe ラクーア店

イトキト(itokito)

東急目黒線と大井町線が乗り入れる「大岡山駅」の近くにあるベーカリー「イトキト」。フランス料理店でも学んだ店主が営むフレンチスタイルのお店です。フルーツサンドだけでなく、さまざまな種類のバゲットサンドなど、鮮度にこだわったパンが地域住民から愛されています。

イトキト(itokito)
住所:東京都大田区北千束1-54-10 佐野ビル1F
電話番号:03-3725-7115
営業時間:[火~金]10:00~20:00/[土曜・祝]10:00~19:00
定休日:日曜・月曜

平凡だけど飽きのこない味・どこにでもあるパンはつくらない

かつてはデザイナーだったという勝野真一さん。中目黒で人気のベーカリー「ラ・ブランジェ・ナイーフ」(※現在は世田谷で営業)でパンづくりを学び、その後、フランス料理店でも修業を重ねたのち、2007年に「イトキト」を開業しました。モットーは『平凡だけど飽きのこない味』だといいます。

「食パンは毎日食べるもの。奇をてらったものというのは、すぐに飽きられてしまいます。当店の食パンと他の食パンと食べ比べてみると、最初は違いがわからないかもしれません。でも、何回も食べていくうちに『あ、こっちの方が飽きないかも』と思ってもらえるパンを常に目指しています」

そしてもうひとつ、勝野さんが大切にしているのが『どこにでもあるパンはつくらない』こと。季節ごとに具材が変わる人気のフルーツサンドでも、基本である食パンにこだわるのはもちろんのこと、挟む果物にいたるまで、「どこにでもあるフルーツサンド」とは異なる、独特の工夫がなされています。

「一般的なフルーツサンドは、生クリームとフルーツをあわせただけだと思いますが、当店ではそこにもう一手間加えています。毎年、春につくっている「イチゴのフルーツサンド」であれば、フレッシュなイチゴと赤ワインで煮たイチゴ、2種類のイチゴを挟むなど、他にはないフルーツサンドを心がけています」

元デザイナーらしい、細やかな気配りが、パンづくりでも生かされています。

フルーツでも野菜でも、食材は旬のものが一番


フルーツサンドのリニューアルは季節ごと。5月から初夏にかけては「甘夏みかんとピールのフルーツサンド」が店頭に並びます。

「フルーツでも野菜でも、食材は旬のものが一番美味しくて、価格も抑えることができます。その旬の食材を使おうと思うと、フルーツサンドも年間を通して自然とパターンが生まれます。イチゴの次は柑橘系、その後はイチジク、柿……という流れです」

毎年、季節の変わり目になると、「柿はまだ?」「イチジクはいつからですか?」と尋ねてくる固定ファンも多いといいます。

「季節ごとに具材を変えるだけでなく、味付けも変えています。4月まで販売していた『2種のイチゴのフルーツサンド』ではイチゴに生クリームをあわせていましたが、5月から販売している『甘夏みかんとピールのフルーツサンド』はサワークリームを使用。隠し味にオレンジ系のリキュール・コアントローを使っています」

リピーターとなる年齢層は幅広く、お子様から年配の方にまで好評です。店名の「イトキト」の由来は、富山の方言である「きときと(新鮮な)」から。勝野さんのつくり出す、新鮮でアイデア溢れるフルーツサンドを求め、客足は途絶えません。

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シェ カザマ

東京メトロ「半蔵門駅」「麹町駅」近くに店を構えるベーカリー「シェ カザマ」。曜日限定販売にもかかわらず人気NO.1の「パン・ド・プルミエ」(山型食パン)、パーティーに喜ばれるオーダー限定の大型創作パン「パン・ド・リオレ」など、この店でしか味わえない商品が並びます。

シェ カザマ
住所:東京都千代田区一番町10 一番町ウエストビル1F
電話番号:03-3263-2426
営業時間:8:30~20:30
定休日:日曜

半世紀以上の経験が生み出す、唯一無二のフルーツサンド

パン職人になって50年以上、というシェ カザマのオーナー・風間豊次さん。聞けば、パンとの出会い・付き合いは、さらに長いものでした。

「大正2年に日本ではじめてパン酵母による製パン技術を開発したのが田辺玄平という人物なんですが、その人が私の叔父さんです。そのおかげというか、小学生の頃からオーブンの中でパンが膨らむ光景を見て『不思議だなぁ』と思って育ちました。中学生のときには、みんながお弁当を持ってくる中、私はコッペパン。パンとの付き合いも、パンへの想いも、誰にも負けていないと思います」

そんな風間さんが店を構えたのが1992年。その創業当時からお客様に愛され続けているのが、他では味わえないフルーツサンドイッチです。その特徴はふたつ。ブルーベリーの果汁と果肉を使って焼きあげた『ブルーベリーブレッド』を使っていること。そして、フルーツを挟むのに生クリームではなく、カスタードクリームを使っていることです。

「約30年前、アメリカ農務省の関係者から、『どうしたら日本でもっとアメリカのブルーベリーを使ってもらえるか』という相談を受ける機会がありました。でも、パンやケーキにのせるだけじゃ、使う量なんてたかが知れてます。どうすればもっと量を使うことができ、インパクトも出せるか……そこで考案したのが、パンにブルーベリーを練りこんだ、この『ブルーベリーブレッド』なんです」

一番美味しい状態を食べて欲しいから、つくりおきはしない


風間さんのパン職人としてのキャリアとアイデアで生みだした『ブルーベリーブレッド』。このパンに合わせるのが、旬の果物とカスタードクリームです。

「ブルーベリーブレッドには、生クリームよりもさっぱりと味わえるカスタードクリームの方が合うと思っています。また、もともと当店で提供しているクリームパンや、クロワッサンの生地でつくったマーブルで使っているカスタードクリームにも自信がありましたし、お客様にもご好評をいただいていました。ならば、このカスタードクリームを使わない手はないなと考えました」

取材時のフルーツサンドイッチに使われていた果物はメロン、イチゴ、ブルーベリー。春にはイチゴだけを挟んだフルーツサンドと、イチゴとメロンを交互に挟み込んだもの。夏にはスイカ、秋には柿、といったラインナップが続きます。そして、シェ カザマでは、これらのフルーツサンドイッチを一番いい状態でお客様に味わってもらうため、つくりおきはしないようにしている、と風間さんは言います。

「フルーツサンドは、つくりたてが一番美味しい商品です。フルーツは水分量が多く、時間が経てばパンがベタっとやわらかくなってしまいます。できるだけ新鮮な状態で召しあがっていただきたいですね」

シェ カザマが掲げる理念は「人を感動させるパン」。お客様のことを考えた細かな気配りとパン職人としての経験が、他には真似できない味わいを生み出しています。

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フツウニフルウツ

東急東横線「代官山駅」から徒歩5分の場所にある「フツウニフルウツ」。フルーツサンドのテイクアウト専門店です。店名には、「デザート感覚ではなく、日常的にフルーツを食べていただきたい」という願いがこめられています。

フツウニフルウツ
住所:東京都目黒区中目黒1-1-71
電話番号:03-6451-0178
営業時間:10:00~18:00
定休日:無休

果物の大きさにこだわったボリュームたっぷりのフルーツサンド

東京・代官山に店を構える「フツウニフルウツ」は、東京・表参道で“行列ができるベーカリー店”として人気を博す「パンとエスプレッソと」のセカンドブランド。「パンとエスプレッソと」でも店長を務めていた松田剛毅さんが、他店にはない「フルーツサンド」へのこだわりを教えてくれました。

「当店の食パンは『パンとエスプレッソと』のものではありますが、普通の食パンではなく、フルーツサンド専用。モチモチとした食感で、味はシンプルに。フルーツの味と食感を邪魔しないように開発したものです」

こだわりのパンとともに主役となるフルーツは、旬のもの・鮮度のいいものを使うのはもちろんのこと、果物の大きさ(切り方)も重視していると松田さんは言います。一般的なフルーツサンドと比べても、具材が大きいので食べ応えは抜群。見た目のインパクトも充分です。

たとえば、レギュラーメニューの「ダブルリンゴ」は、食パンのモチモチとした食感とリンゴのシャリシャリとした食感のアクセントが楽しめる一品。生クリームも甘すぎないから、リンゴそのものの甘味も楽しめます。

「当店ではFacebookやInstagramなどのSNSを活用していますが、やっぱり『インスタ映え』も大事な要素です。写真に撮られたときにどう見えるか。もしくは、写真に撮りたくなるかどうか。特に、女性のお客様はインスタ映えを意識している方が多い印象を受けます」

デザートではなく、普通のお食事感覚で楽しんでいただきたい


ダブルリンゴの他にも、「フツウニフルウツ」「ダブルバナナ」の通年販売のフルーツサンドに加え、季節限定のメニューも販売。春であればイチゴ。5月以降は旬の果実であるサクランボ。秋は「柿とアボカド」も人気です。

「大事にしているコンセプトは『普通のお食事のような感覚でフルーツサンドを食べていただくこと』。そのため、どの商品もあまり甘すぎず、デザートっぽくなり過ぎないような味付けにしています」

出来たてのフルーツサンドの販売は、毎日11時と15時の2回。おひとりさま2点までにもかかわらず、すぐに売り切れる人気ぶり。取材当日も開店前から複数の女性客が店の前に列をつくっていました。

さまざまな季節限定フルーツサンドや、パンとの相性も抜群の飲料「フルウツギュウニュウ」など、オリジナリティのある商品が展開される「フツウニフルウツ」。メニュー開発は従業員全員でアイデアを出し合っている、と松田さんは語ります。

「フルーツは、そのまま食べても美味しいし、味付けを加えることもできる、自由度の高い食材だと思っています。今後もいろいろな組み合わせを試していく中で、これまでになかった新しい味や組み合わせを見つけていきたいですね」

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Hattendo Cafe ラクーア店

2015年5月、東京ドームに併設されたアミューズメント施設「ラクーア」内にオープンしたのが「Hattendo Cafeラクーア店」。広島で創業し、くりーむパンで人気の老舗「八天堂」のセカンドブランドです。

Hattendo Cafe ラクーア店
住所:東京都文京区春日1-1-1(東京ドームシティ ラクーア内)
電話番号:03-5615-8025
営業時間:11:00~21:00(ラクーアイベント時のみ22:00まで)
定休日:無休

ケーキに近い感覚で味わって欲しい「スイーツバーガー」

「Hattendo cafeラクーア店」のメインメニューは「スイーツバーガー」。都内に7つある「八天堂」のなかでも、この店舗でしか食べられない商品です。「八天堂」といえば「くりーむパン」で有名ですが、よりデザート感覚で、しかも手軽に食べてもらいたいと生まれたのが「スイーツバーガー」。その開発経緯と人気の理由を、ラクーア店副店長の横溝花奈さんが教えてくれました。

「『八天堂』のくりーむパンのこだわりともいえる、とろける食感のパンに、フルーツと生クリームを挟んだものが『スイーツバーガー』です。果実の甘味と酸味、生クリームの濃厚な甘さがあわさって、ケーキに近い感覚を楽しんでいただけると思います」

ケーキは座ってフォークで食べるもの、という固定概念を覆す『スイーツバーガー』は、東京ドームが目の前にあるため、野球観戦をしながらでも手軽に食べられると人気を博しています。

取材時のレギュラーメニューは「フルーツミックス」と「チョコバナナ」。ここに、期間限定メニューとして、季節ごとの旬なフルーツを使った商品も加わります。春であれば人気のイチゴ・あまおうを使った『あまおうベリー』。5月からは『甘夏レモン』が店頭に並びます。

「『甘夏レモン』は、広島産のレモンを使った『ひろしま檸檬パン』をベースに、レモンジャムと甘夏ミカン、グレープフルーツを挟みこんだ商品です。冬は、粉糖のかかったイチゴとブルーベリー、イチゴクリームを使って、クリスマスケーキを意識したスイーツバーガーも販売しています」

このほか、フルーツこそ入っていませんが、注文が入ってから焼き上げる「フレンチバーガー」も人気です。

大切なのは見た目から感じられるインパクト


期間限定メニューも人気ですが、ラクーア店で定番の人気を誇るのが「フルーツミックス」です。カットされた黄桃、パイナップル、キウイ、イチゴの具材が彩り豊か。これらの具材は、生クリームを引き立てる果物として選び抜かれた食材です。

「販売をはじめた当初と比べて、現在はパンのサイズを少し小さく、フルーツの量は変えずに山型に盛り込む形に進化させています。大切なのは見た目から感じられるインパクト。価格も450円から320円まで値下げしたことで、おやつとしても、食事のあとのデザート感覚でもお求めやすくなったのではないかと思います」

今後は、より「スイーツバーガー」に特化した店舗へのリニューアルも計画中といいます。

「現在は、できあがった『フルーツバーガー』をショーケースに並べて販売していますが、夏前には店舗をリニューアルし、フルーツをお客様の目の前で盛り付けてお渡しする販売形式を予定しています。フルーツの種類も多くして、お客様のさまざまなご要望に対応できるお店を目指していきたいと思います」

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パン、クリーム、果物。それぞれの店で、それぞれの特徴とこだわりがあった「フルーツサンド」。同じ果物を使っていても、切り方やパンが変われば味わいもまったく違ってきます。そのなかでも共通していたのは、「他店にはない味を目指したい」というオリジナリティと、見た目でも楽しんで欲しい、という工夫です。見て、食べて楽しめるフルーツサンドは、食事やデザートとしてはもちろん、手土産にも最適。季節ごとに変わる味わいの変化も楽しんでみてはいかがでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2017年6月)のものです

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