パンのテーブル

ベーカリーのサンドイッチ

  • RÉFECTOIRE (レフェクトワール)
  • VIKING BAKERY F (南青山店)(バイキングベーカリー エフ)
  • Boulangerie Patisserie Traiteur ADACHI(ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチ)
  • パン工房 BOULANGERIE Ken (ブランジェリー ケン)

RÉFECTOIRE (レフェクトワール)

京都発の人気ベーカリーが手がけるベーカリーカフェ。店内で焼きあげるパンを主役に、朝はトーストセット、昼はデリプレートのランチセットなど、お客様がそのときどきの気分とおなかの空き具合に合わせて選べるように、終日さまざまなメニューを提供しています。自慢のパンを使ったサンドイッチは、バリエーションも豊富に揃います。

RÉFECTOIRE (レフェクトワール)
住所:東京都渋谷区神宮前6-25-10 タケオキクチビル3F
電話番号:03-3797-3722
営業時間:8:30~20:00(イートイン LO19:00)
定休日:年始のみ

自慢のパンを使ったサンドイッチの食堂

原宿・明治通りに面したファッションブランドのビル3階にある同店。目立つ看板もなく、ここにお店があることを知らなければ通り過ぎてしまいそうですが、1日を通してたくさんのお客様が訪れています。オーナーは、京都・今出川で1998年創業の「ル・プチメック」の西山逸成さん。フランス映画にあこがれてフレンチの料理人になり、フランスに渡って料理、お菓子、パンの修業を重ねた方です。
RÉFECTOIRE(レフェクトワール)は、フランス語で「食堂」の意味で、お店のコンセプトは「サンドイッチ食堂」。店内で焼きあげたパンにビストロの一皿を詰めたような、魅力的なサンドイッチの数々を提供しています。

エレベーターを3階で降りると、右手にキッチンカウンターがあり、ショーケースに並んだ色とりどりのサンドイッチが出迎えてくれます。イートインのお客様もカウンターで先に注文するシステムで、サンドイッチは常時14種類ほどが揃います。
「近隣で働いている方もたくさんご来店されます。毎日でも飽きないように、パンの種類、具材の組み合わせでバリエーションをつけ、手軽にテイクアウトできるようにラッピングして並べています」と店長の津田愛子さん。
サンドイッチに使うパンは、バゲット、セーグル、食パン、フォカッチャ、ビエノワ、ブリオッシュなど。西山オーナー直伝のレシピのほかに、店舗スタッフが考案したものも、随時加わっていきます。

お話を伺っている間も次々とオーダーが入り、イートインのクロックムッシュやプレートランチを調理する傍らで、サンドイッチの具材をはさむ作業を同時並行。なるべくつくりたて、しかもお客様をお待たせしないように、タイミングをはかりながら少しずつ、こまめにつくってはショーケースに補充していきます。
「パンには自信がありますから、うちのパンのよさを知ってもらえるように、パンと具材がお互いに引き立て合うバランスをいちばん大切にしています。たとえば野菜を和えるドレッシングも、メインの具材やパンと最もバランスよく合うように自家製にしています」(津田さん)。

ビストロの料理のようなサンドイッチたち


「ボンレスハムとブリーチーズ」のカスクルートは、オーナーのフランス修業時代の味をそのまま再現したもので、具材はバターとハム、ブリーチーズだけ。シンプルだからこそ、パンのおいしさがダイレクトに伝わるレシピです。ボンレスハムは九州産豚肉を使ったもので、やわらかさ、塩気などがパンにいちばん合うものを選び、オーナーこだわりのブリーチーズは、口どけのよさが特長です。
「サンドイッチには24時間発酵のバゲットリュスティックを使用しています。48時間発酵で噛み応えのあるバゲットに比べると、より歯切れがよいのが特長です」(津田さん)。
「ローストポークとクリームチーズ、プラムのワイン煮」は、フォカッチャにクリームチーズとレモン汁、黒胡椒を効かせたスプレッドを塗り、ローストポークと赤ワインでふっくらと煮あげたプラムをサンド。肉料理に果実の甘みと、クリームチーズの酸味をとり合わせた、フレンチビストロのテイストを楽しめます。
「料理なのだけど、パンにはさめば手軽に食べられる、というところも、サンドイッチの魅力だと思います」(津田さん)。
サンドイッチの具材にするローストポークやローストビーフなどは、キッチンで自家製しています。
「肉のローストは、料理用のスチームコンベクションオーブンを使っています。下味をつけてオーブンに入れたら後はおまかせで調理。スチームをかけることでしっとり仕上がりますし、パン窯とは別に料理用オーブンがあると作業がとてもラクになります」(津田さん)。

最近、新しくメニューに加わったのは、セミハードのセーグル生地のドッグパンに粗びきソーセージをはさんだホットドッグです。ピクルス液に漬けこんだ、自家製のキャベツピクルスを添え、お客様のご希望に応じて、温めた後にカシスマスタードをかけて提供します。カシスピュレを混ぜて甘酸っぱさをプラスしたマスタードが、ソーセージの上にカシス色のラインを描いて見た目もおしゃれ。
また、オーナーお気に入りのビエノワを使ったサンドイッチ3種類も新登場。ミルク入りのほんのり甘いビエノワは、甘いフィリングにもおかず系のフィリングにも合い、メニューのバリエーションが広がります。


「常連のお客様からの『シンプルなサンドイッチが食べたい』というリクエストに応えてつくったのが、タルタル風の卵サラダをはさんだビエノワのたまごサンドです。また、ツナ入りキャロットラペはオレンジ風味に仕上げています」(津田さん)。
キャラメルクリームとマロンをはさんだキャラメルマロンは、惣菜系サンドイッチとは別腹に、デザートとしてチョイスしていただけそうです。(※たまごサンドとツナ入りキャロットラペは現在終売)

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VIKING BAKERY F(南青山店)(バイキングベーカリー エフ)

2017年10月にオープンした食パン専門店。スタイリッシュな店内には、窓辺にベンチ席、奥に大きなテーブルがあり、自慢の食パンを使ったサンドイッチやトーストを店内で楽しめます。同店で焼きあげた食パンは、清澄白河にある姉妹店「バイキングベーカリー 0(ゼロ)」でも販売しています。

VIKING BAKERY F(南青山店)(バイキングベーカリー エフ)
住所:東京都港区南青山1‐23‐10 第2吉田ビル1F
電話番号:03-6455-5977
営業時間:8:00~20:00
定休日:なし

究極のサンドイッチをつくるために、食パンを極めました

店内に入ると、奥まで続くカウンターに並んだ食パンのフルラインアップが目に留まります。そして圧巻なのは、焼きあがった食パンたちの背後に見える厨房の景色です。パンを選びながら、イートインを楽しみながら、食パンができるまでのすべての工程を見ることができる「劇場型店舗」なのです。

同店のパンは、シンプルな角食「プレーン」をはじめとする1本売りの食パンと、「プレーン」をベースにさまざまなフレーバーをプラスしたプティサイズの食パン8種類があります。
「私たちの店は、『究極のサンドイッチをつくりたい!』という想いからスタートしました。サンドイッチを食べるとき、まず最初に口に触れるのはパンです。豪華な具材をあふれんばかりにはさんでも、パンがおいしくなければ台無しです。この店を立ち上げるにあたり、国内・国外のさまざまなサンドイッチを食べ歩き、真剣にパンと向き合い、サンドイッチにぴったりの理想の食パンづくりに取り組んできました」と語ってくれたのは、同店シェフの小池裕達さんです。



パンの研究開発ラボを清澄白河に構えて、材料を変え、製法を変えて何十種類もの試作を繰り返し、口あたり、食感、クラストの薄さ、味わい、香りなど、ディテールにこだわり抜いて完成させたのが、プレーン・21雑穀・サワーブレッドの3種類の食パンです。

「パンそのもののおいしさが100%のクオリティであること。それと同時に、主張しすぎず、サンドする具材のおいしさをひきたててくれる香り、味わいがあること、そのギリギリのところを攻める感じでつくりました」(小池さん)。
看板商品の「プレーン」には、小麦本来の香りや味わいが際立つように、石臼挽きの小麦粉をブレンドしています。数種類の銘柄の中から、食べた後に残る余韻が最もよいものを選んで使っているそう。

プレーンの生地にさまざまな素材を練り込み、一回り小さく焼きあげたのが「プティ」のシリーズです。フレーバーは、ガトーショコラ、ほうじ茶&ホワイトチョコレート、シャンパーニュ&ストロベリー、ハニー&レモン、黒糖&フルーツ、チーズ&ブラックペッパー、オリーブ&オリーブオイル、竹すみ&ドライトマトの8種類があり、練り込む素材によって食感もまったく異なる、個性的な食パンに仕上げています。
「いずれも、そのまま食べてもおいしいですが、サンドイッチにしたときの具材とのマリアージュを意識してつくりました」(小池さん)。

パンのおいしさを堪能できるサンドイッチの数々

こだわってつくりあげた、パンそのもののおいしさも存分に味わっていただけるサンドイッチにするには、どんな具材と合わせるかが、とても大切なポイントです。
「食パンと具材の絶妙なマリアージュ」という同店のコンセプトを実感するのにぴったりの、お試しセット的なアイテムが「VIKINGサンド」。3種類のフレーバー食パンを使ったミックスサンドです。
「チーズペッパー」の食パンには、シンプルに卵サラダをサンド。刻んだピクルスを入れて、一般的な卵サラダとタルタルソースの中間くらいのテイストに仕上げています。ピクルスの酸味が加わることで、パンにたっぷり練り込まれたフレッシュチーズの香りとコクがさらに深まります。

「オリーブ&オリーブオイル」には相性抜群の生ハムとルッコラ。グリーンと黒の2色のオリーブの実をふんだんに練り込み、仕上げにオリーブオイルを使用したオリーブが香るパンには、ルッコラの苦みとほのかなえぐみがとてもよく合います。
「『竹すみのパンとクリームチーズ』は、3種類の〆に食べるのがおすすめ」と小池さん。漆黒の竹すみのパンには、オリーブオイルに漬けたジューシーなセミドライトマトを練り込んであり、トマトの香りがしっかり感じられます。具材はシンプルにクリームチーズのみ。クリームチーズそのままでは少し重たくなりがちなので、ホイップしてふんわりさせて、いちだんと口どけよくなっています。



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「ほうじ茶とホワイトチョコ」の食パンには、あんバターのフィリングがすんなりと決まったそう。豆の味がしっかりする国産の小倉あんに、ミルクの香りがさわやかなフランス産の発酵バターを合わせ、ほうじ茶の香りがしっくりと寄り添います。パンに練り込むホワイトチョコレートは大粒のタブレットを使っているため、よりチョコ感の強い部分、穏やかな部分の変化が生まれます。食べ進むうちにアクセントとして効いてくる、スパイス的な役割を狙っているそう。

「食パンでつくるサンドイッチはとてもシンプルな料理なので、お客様に感動していただくにはなかなか難しいものがあります。封を開けたとき、口に入れたときに、わぁ~っという驚きが生まれるように、ディテールに徹底的にこだわってつくっています」(小池さん)。
「ガトーショコラ」を使ったいちごのサンドイッチは、パンそのものに甘みがあるので、クリームは無糖に。また、イチゴの品種によって酸味も異なりますから、それに合わせて生クリームとマスカルポーネのバランスを決めているそう。夏の間は、糖度の高い北海道産夏苺「なつみずき」が使われていました。

サンドイッチは、プティの食パンを使ったものが中心でしたが、同店シグニチャーの「プレーン」を使ったサンドイッチも、いよいよ11月末から発売されています。食パンに、とことんこだわった究極のサンドイッチとして、早くも注目を集めています。

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Boulangerie Patisserie Traiteur ADACHI(ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチ)

伊豆・天城湯ヶ島の人気ベーカリーが2018年3月、横浜市内に移転オープン。フランスでの経験を積んだ専門の職人がつくるパン、お菓子、惣菜を本格的に揃えています。「フランスで出会った美味をそのままに表現して、日本のお客様に『今まで見たことのない景色』を楽しんでもらえる店をめざしています」と店主の足立恵太さん。

Boulangerie Patisserie Traiteur ADACHI(ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチ)
住所:神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央22-15 ルーナレガーロ 1F
電話番号:045-298-4034
営業時間:9:00~18:00
定休日:月曜・火曜 ※祝日は営業、翌水曜休み

フランスで出会ったおいしさそのままに再現


朝9時のオープンまでに大半のパンを焼きあげて、店内は芳ばしい香りに満たされます。店内正面の陳列台には2段にわたってパンが並び、右手にトレトゥール(惣菜) 、左手にサンドイッチとお菓子のショーケースというレイアウト。ショーケースを眺めるうちにあれもこれもと目移りしそうなラインアップです。

パンもサンドイッチもほかではあまり見られないアイテムも数多いですが、すべて足立さんがフランス各地で出会ったものばかり。お子さんやお年寄りにも食べていただけるように、やわらかいものからハードな食感のものまで揃えています。
「サンドイッチはパンを使った惣菜として、トレトゥール(惣菜)部門に入る商品です。フランスでは、サンドイッチの種類の多さといったら半端なく、地方に行けば、その土地独特のサンドイッチもあります。日本ではまだ珍しいものもぜひ味わっていただきたくて、フランスで出会った100を超えるサンドイッチの中から、とびきりおいしいもの、『これってすごいアイデアだな!』と感銘を受けたものを、限りなくそのままに再現しています」と足立さん。

パンは、それぞれのサンドイッチ専用につくるものも多いため、仕込みの作業は一段と複雑になります。それでも、食材と合わせたときにいちばんおいしく仕上がるように、と考えると「パン生地からつくる」という結論に至るそう。

たとえば、パンケーキのような見た目の「スエドワサンド」は、フランスでは8割がたのスーパーにも置いてあるくらいポピュラーなアイテムです。
「このパンは日本人の好みにもぴったりなはずなのに、どうして誰もやらないのだろう?と不思議に思っていました。だったら誰かに先を越される前に自分がつくらなきゃ、と」(足立さん)。
「スエドワサンド エビのカクテル」は、薄く焼いたパンを3枚重ね、間にマヨネーズベースのエビのカクテル、ゆで卵と野菜のサラダをサンド。パンは、フランス産小麦粉と全粒粉、粗挽きのライ麦粉にルヴァンリキッドを使い、クレームエペス(乳酸発酵させた生クリーム)を練り込んでいます。

「このパンは、しっとりとしてやわらか。でも、パンケーキほどフワフワではなく、ほどよいひきがあります。パンとエビ、パンと野菜サラダが層になって、全部一緒にかんだときに、なるほど、これは合うな、と納得できる食感をめざしました。いちばん苦労したのはパンの焼き方です。オーブンで焼くとスチームをかけてもどうしてもかたくなってしまい、独特の虎の皮のような焼き目もつきません。いろいろ試した結果、フライパンを使い、さらにもう一工夫をして1枚1枚焼くことで、ようやくこの食感と焼き色が生まれました」(足立さん)。

「フランスの当たり前」をこの店で表現していきたい


「オムレツのサンドイッチ」もフランスではおなじみのレシピです。卵に生クリームを合わせ、ツナと玉ねぎ、エメンタールチーズを混ぜて焼きあげたオムレツと、スライスしたエメンタールチーズをサンド。噛み応えのあるバゲットに、ふんわりスフレのようなテイストのオムレツの対照的な食感、生クリームや玉ねぎの甘み、バゲットの塩気が絶妙なバランスです。サンドイッチはパンに料理をはさんだ惣菜、という意味が腑に落ちる一品です。
足立さんがリヨンで出会ってほれ込んだのが「鴨の生ハムと青りんご」のサンドイッチです。褐色のパンは、ライ麦と全粒粉を主体にし、少量のイーストで長時間発酵させた生地にはちみつ、雑穀とクルミを練り込んで焼きあげています。ほのかな甘みのあるパンに、生ハムの塩気とマヨネーズのまろやかな酸味、青リンゴの爽やかな酸味、フィリングにもクルミをふんだんに使って香ばしさをプラスしています。
「いろいろな要素を足して、足してつくっています。フランスの食文化って、こういうところがすごいな、と思うのです」(足立さん)。
このバランスが成り立つために欠かせないのが青りんご。赤く熟したものでは甘すぎてしまうため、1年を通して品種を変えながら常に青りんごを使います。

味とともに、大切にしているのが売り場に並べたときの美しさです。
「サンドイッチは、パンの切り方がとても重要です。バゲットを切るときに、まっすぐ切るのか、斜めに切るのか、具材をはさむ切り口を水平に切るか少し角度をつけるのか、などでできあがりの姿はまるで違ってきます」(足立さん)。
「オムレツのサンドイッチ」だったらパンをこう切って、オムレツはパンからこのくらいはみ出して……と、ディテールの積み重ねが美しいシルエットを生むのはパティスリーとも共通する部分。そして、全部のサンドイッチを並べたときに、ショーケース全体が美しく見えるように各アイテムをつくっているのだそう。
「フランスに行っていちばん感動したのは、職人が意識せずに、ごく当たり前にやっていることの一つひとつが美しいこと。それを私以上に追求しているのがトレトゥールを担当する別府功介シェフです。一緒に働く仲間たちとともに、フランスで見た『当たり前』の景色をここで表現していきたいと思っています」(足立さん)。

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パン工房 BOULANGERIE Ken (ブランジェリー ケン)

「ここのパンはおいしくて、ずっしり重い!」というお客様の声が多数寄せられるベーカリー。店内には、あんぱんやメロンパンなどの菓子パンも揃っていますが、ハード系やベーグルのバリエーションが豊富。サンドイッチもハード系のパンを使ったカスクルートなどが人気です。

パン工房 BOULANGERIE Ken (ブランジェリー ケン)
住所:東京都板橋区赤塚2-2-17 東永地産ビル1F
電話番号:03-5383-2216
営業時間:8:00~20:00 ※売切れ次第閉店
定休日:火曜

食べ応えのあるハード系のパンに具材もたっぷりのサンドイッチ


パンも具材もたっぷりボリュームがあり、大きくて重たいパン!は、オーナーシェフ田崎健一郎さんのこだわりです。また、多種類の粉を使い分け、バゲットを例にとっても、数種類の小麦粉をブレンドした定番のバゲットのほか、国産やフランス産の小麦粉を使ったもの、サンドイッチ専用のバゲットもつくっています。まずは、パン職人の下田鴻さんに同店いちおしのサンドイッチをご紹介していただきました。
「おすすめは『十勝バゲット』を使用した『ステーキサンド』と『ブリーチーズと自家製ハム』です。ステーキサンドは、牛肉と玉ねぎをソテーして自家製デミグラスソースで味付け。トマト、アボカド、ピクルス、ニンニクチップも添えて、たっぷりサンドしています。ソテーするときに出る肉汁やソースのうまみは玉ねぎに吸わせ、パンの切り口にはクリームチーズを塗って、パンに余分な水分がしみ込まないようにしています」(下田さん)。
「ブリーチーズと自家製のハム」の具材のハムは、低温のオイルで12時間ほどかけてじっくり火を通した豚肉のコンフィです。具材をはさんでから、ブリーチーズに軽く火が通るように2分間ほど焼いて完成です。
ちなみに、秋は旬のサンマをコンフィにしてカンパーニュ生地で包んだパンもつくっているそう。田崎オーナーオリジナルの斬新なアイデアで、チーズ、バジルペースト、ドライトマトと一緒にサンマの形に焼きあげた、イタリアンテイストのカンパーニュです。


「カレーサンド」は、チャパタのサンドイッチです。自家製の激辛カレーと少し甘めの2種類をブレンド。具材は、タイ料理でおなじみのシーズニングソースに漬けてカレー粉をまぶして焼いたチキン、玉ねぎ、トマト、アボカド、ゆでたまごにチーズ。具材をはさんでから4~5分間焼くことで、薄めのクラストはカリッと芳ばしく、とろけたチーズが具材にからみます。
「チャパタもサンドイッチ専用につくっています。カレーサンドのように、具材をはさんでからもう一度焼きこむものと、『ハニーマスタードチキン』など二度焼きしないタイプもあり、そのままでも焼いてもおいしく食べていただける、歯切れがよくて、香りもいいサンドイッチ向きのパンです」(下田さん)。

同店では、いろいろな味を楽しんでいただけるように、数十種類あるサンドイッチのレシピの中から毎日10種類ほどを揃え、焼きそばパンのように気軽に食べてほしいからと、価格も300~400円台に抑えています。

「9時ごろには当日分のサンドイッチがほぼ揃い、通勤途中にランチ用に買っていかれる常連さんも多いです」(下田さん)。

自由な発想でつくる、粉のうまみがギュッと凝縮したパン

田崎オーナーの「豪快で自由なパンづくりに魅了された」という下田鴻さんに、同店のずっしり重たいハード系の特長は、どんなところから生まれるのか伺ってみました。
「うちのパンの質感は、2次発酵で膨らませすぎないことから生まれています。1次発酵でじっくり時間をかけてしっかり粉のうまみを引き出し、最終醗酵はあまり時間を置かず、生地を張らせすぎないようにして窯入れ。それによって、うまみがギュッと凝縮したパンが焼きあがるんです。また、もっちりした食感のリュスティックやチャパタのほか、バゲットにも高加水でつくるものもあり、つくりたい生地によって製法を使い分けています」(下田さん)。
お米のごはんのように、シンプルですがしっかりと味わいがあり、一緒に食べるおかずのおいしさを引き立てて、腹持ちもいい! そんなハード系のパンでつくるサンドイッチは、まさにおかず山盛りの丼ごはんのよう。
そして、具材との相性を考えて、サンド専用のパンもつくっています。「かぼちゃサンド」に使うのは、丸ごと窯でローストしたかぼちゃの果肉を生地に練り込み、カボチャの種を表面に貼りつけて焼きあげたバゲット。秋は「味平」という、甘くてホクホクのかぼちゃの品種を使うため、かぼちゃのパンもとくに美味しくなる旬なのだそう。
野菜サンドの「リーフ」には、ほうれん草を生地に練り込み、オリーブの実を入れた淡い緑色のバゲットを使います。

人気のカンパーニュの生地には、自家製のホワイトサワー種(ライ麦を入れずに小麦粉だけを使ったルヴァン種)を使っています。
「パンの種類に合わせてライ麦粉、小麦粉、全粒粉の配合を変えて、4種類くらいの生地をつくっています」(下田さん)。
売り場に鎮座している「ワニガメ」もその一つ。石神井公園で外来種のワニガメが発見されたことからヒントを得て創作したそう。カンパーニュ生地にクルミやカシューナッツ、チーズをたっぷり混ぜて、ブラックペッパーを効かせています。ベーカリーの動物パンといえば「かわいい!」がお約束ですが、そのイメージを超えた、ずっしり重くてゴツゴツとハードなコワモテ系。でも、よく見るとブラックペッパーの眼が意外とキュートです。
大きくて、ボリューム満点、バリエーション豊富なベーグルも、同店の人気アイテムです。味噌ナッツなどの定番のほか、ハロウィンの季節には、ユニークな見た目の紫いものゴーストなど、旬の素材を使ったものや、季節のイベントにちなんだアイテムが登場します。自由な発想でパンづくりをする田崎オーナーのもと、若手スタッフたちも負けていません。
「定休日の火曜日には、10時開店で自分たちで考案した新作メニューを販売しています。『新作の火曜日』として、お客様にも好評です」(下田さん)。

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パンを知り尽くしたベーカリーが手がけるサンドイッチ。具材とパンが織りなす、絶妙なマリアージュに、各店のこだわりを実感できます。ぜひお店に出かけて味わってみてはいかがでしょう。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2018年11月)のものです

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