パンのテーブル

健康志向のパン

  • Boulangerie K YOKOYAMA (ブーランジュリー・ケイ・ヨコヤマ)
  • みんなのパン
  • 一ツ木町倶楽部 フレンチグリル&ベーカリー
  • ヴァン ドゥ リュド 尾山台店

Boulangerie K YOKOYAMA (ブーランジュリー・ケイ・ヨコヤマ)

オープンは毎朝7時。自慢の食パン、菓子パン、惣菜パンなど、朝食のパンを求めるお客様で開店早々に店内は1回目のピークを迎えます。「地元密着型のベーカリー」として、約190種類のパンをそろえ、とくに毎日食べる主食のパンに力を入れて、地元の人たちの健康的な食生活の一端を担う人気店です。

Boulangerie K YOKOYAMA (ブーランジュリー・ケイ・ヨコヤマ)
住所:埼玉県川口市小谷場455-1
電話番号:048-263-0222
営業時間:7:00~19:00
定休日:無休

健康志向のパンは、食パンを中心にラインアップ

「当店は、茶色や黒い色をしたパンの種類が比較的多いと思います。これらは、いわゆる体によいとされる、全粒粉、ライ麦、大麦、シリアルやプルーンを使ったパンです。
一般的に日本では、白くてやわらかなものが皆さんに好まれるようですが、当店ではお客様の支持をいただいて、こうしたパンも毎日焼きあげています」とオーナーシェフの横山暁之介さん。
健康的なパンというと、リーンなハード系を連想しがちですが、同店では、食パンを基本にしています。角食「ル・マタン」のほかにも、全粒粉を40%使った「ナチュラルブレッド」、もち麦40%入りの生地に9種類の雑穀を混ぜた「雑穀パン」、レーズンやプルーン入りなど、バリエーションを多数展開。



「全粒粉や雑穀は、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含んだ健康志向の素材です。せっかく体にいい食材なのですから、どなたにも、毎日でも食べていただけるように、いちばん利用しやすい食パンに取り入れています。お好みに合ったものを選んでいただけるように、種類を揃えました」(横山さん)。
「ル・マタン」は、ほのかな甘みがありますが、砂糖の甘さが感じられる食パンはこれだけ。お米と一緒で、食事パンは甘い味があると飽きが来る、と考えて、砂糖はまったく使わないか、発酵のための1%未満。食事に合わせることを一番に考えたレシピでつくっているそう。
また、山型食パンの「ロシェルブレッド」をはじめとした多くのパンには、バター、マーガリン、ショートニングなどの油脂のかわりにサワークリーム(生クリームを乳酸菌で発酵させたもの)を使い、しっとりとしてやさしくソフトな食感を生み出しています。

店内を見渡すと、パンの種類の多さに驚かされます。忙しい日常の食事にもなる惣菜パン、またお楽しみとしての日本風の菓子パンから、クロワッサンやデニッシュなど、いずれもフィリングは自店のキッチンで自家製。カレーパンに使う野菜やデニッシュにあしらうフルーツなどをスタッフが買い出しに行き、パンづくりと並行して仕込みを行っているそう。自分たちで見極めた安心な旬の食材を使い、手間暇かけてつくったパンが、どれもリーズナブルな価格で提供されています。

多彩なパンの基になるパン生地は、ルヴァン種、サワー種など5種類の自家製発酵種と、無発酵の種も5種類仕込み、どの生地にも2~3種類の種を使って、発酵にじっくり時間をかけてつくっています。つくるパンによって種の組み合わせと割合を変えることで、生地の種類は無限に、「K・ヨコヤマ」ならではのおいしさにつくりあげています。

フランスパンは、クラストはパリッと硬めで内層に大きな気泡が生まれる「マエストロ」、自家製ホップス種の深い味わいと少しソフトな食感の「アンヴェルソワーズ」、サワークリームを使うことで、時間がたってもやわらかさが持続する「パン ド ドゥブル」の3種類の生地を仕込んでいます。形もバゲット、パリジャン、バタール、フリュートなどきめ細かくつくり分け、それぞれ1日に5~6回焼成。お好みの食感や形を選べて、焼きたてが十数回売り場に登場するのも人気の秘訣です。

お客様の健康な食生活をパン屋としてお手伝いしたい

「健康な食生活とは、主食とおかず(主菜と副菜)で栄養バランスのとれた食事を、楽しくおいしくいただくことに尽きると考えています。いくら体にいい材料を使ってパンをつくっても、それだけで健康になるかと言ったら、そんなことはありません。バランスのとれた食生活の一助になれば、と日々の食事に合わせやすい、主食にしていただけるレシピでつくっています」(横山さん)。

フレンチ料理のシェフとしてのキャリアも持つ横山さんは、店とは別の場所にキッチンスタジオを設け、自ら料理をつくってパンと一緒にスタッフに食べてもらう、という取り組みもされています。取材時にも腕を振るってくださいました。

秋鮭のムニエルは、焦がしバターのシンプルなソースにキャロットラペを添えて。低温調理で下ごしらえをしたサーロインステーキのソースは、白ワインとデミグラスソース、マスタードです。下ごしらえや火入れ、バターや調味料の使いこなしの技で、身近な材料から、あっという間に本格ビストロメニューが仕上がっていきます。

合わせるパンは、サワークリーム入りでやわらかな食感のパンドゥブルの生地や、大麦を配合した生地に、雑穀などを混ぜてバリエーションをつけた、ハード系のプチパンの数々。デザートは、自家製のコンポートをたっぷりあしらったヴィエノワズリーです。

「こうした料理には、ふわふわの食パンより、やはりハード系が合います。年配のお客様が増えていますから、歯があまり丈夫でない方でも無理なく食べやすいハード系のパンを提案していくことも大切。パンと食事をトータルで考え、よりおいしく楽しく召し上がっていただくことが、健康にもつながると思っています。職人はパンをつくることには一生懸命ですが、意外と日常の食には無頓着。それではいけませんから、スーパーで簡単に手に入る食材を使って、パンと一緒にこんなふうに食卓を演出できるよ、ということをスタッフ自身に体験してもらう。すると、お客様への提案にもつながっていきます。こうした活動を通して、お客様が日々の食卓でパンを楽しみ、健康になっていただけるように、少しでもお手伝いができれば、と思っています」(横山さん)。

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みんなのパン

「みんながパンを食べて笑顔になれるように」と、ベーカリーでおなじみのパンに加えて、小麦粉や砂糖を使わずに、ふすまや大豆粉と小麦グルテンで糖質量を抑えたパンが種類も豊富に揃っています。また、食物アレルギーに対応した卵や牛乳不使用のパンや、グルテンフリーの米粉のパンは、お客様から事前に相談を受けてつくっています。

みんなのパン
住所:東京都墨田区菊川3-17-2 アドン菊川ビル1F
電話番号:03-5600-3300
営業時間:9:00~19:00
定休日:日曜、水曜

ふすまと大豆粉でおいしい低糖質パンをつくる

小麦の表皮部分を粉にした「ふすま粉」や生の大豆をそのまま粉に挽いた「大豆粉」は、食物繊維が豊富なため、糖質量が少ないことが特徴です。※糖質量=炭水化物-食物繊維
「小麦粉、砂糖、バターと、材料をリッチに使えば、おいしいパンはいくらでもできます。でも、糖質制限をしているため、パンは大好きなのに食べるのを控えている、という方もたくさんいらっしゃいます。1人でも多くのお客様に安心してパンを食べていただけるように、低糖質でおいしいパンを開発してきました」とお話しくださったのは、店長の伊藤隆子さんです。


低糖質のパンに取り組むようになったのは、伊藤さんご自身が、40代のときに健康診断で「糖尿病一歩手前」と警告されたことがきっかけです。それ以前にもふすまパンをつくっていましたが、まったくと言っていいほど売れなかったそう。ご自身の体験から「低糖質のふすまパンを必要とする人はたくさんいるはず。もっとおいしくて、もっと売れるふすまパンをつくろう!」と、試行錯誤してできあがったのが、ふすまパンと大豆パンです。
「苦労してつくりあげた独自配合なので、レシピは公開していませんが、パンをふっくらさせるのに糖質は重要な役目をします。『ふすまパン』は、ふすまとグルテンの黄金比率を見出し、ふすま独特のにおいを和らげるために大豆粉と、隠し味にシナモンを加えて、ふんわりとやさしくふくらんだ、おいしいパンに仕上げました」(伊藤さん)。

ベースとなるふすまパンと大豆パンの生地は、食品検査機関で栄養成分を正確に計測してもらい、100g当たりの糖質量はそれぞれ8.3g、1.9gです。ふすまパン生地を使った食事パンは、食パン、コッペ、五穀コッペがあり、大豆パンは、食パンと丸パンをラインアップ。このほか、ふすまパンと大豆パンの生地で、さまざまな菓子パン、惣菜パンを低糖質シリーズとしてラインアップしています。それぞれ1個当たりの糖質量を算出して、各商品のプライスカードに明記しています。

看板商品の「ふすまコッペ」は小ぶりのコッペパンで、1個当たりの糖質は2.32g、カロリーは82kcalです。ちなみに、一般的なロールパン1個50gの糖質量は約22~23gくらい。砂糖の代わりに糖アルコールのエリスリトールを使っていますが、それを含めた糖質量を表示しています。
「『低糖質』『糖質を何割カット』『糖質ゼロ』など、あいまいな表現ですと、どれだけの糖質をとったのかわかりません。100gあたり0.5g未満なら糖質ゼロとうたっていいことになっていますから、たくさん食べればゼロではなくなり、それでは、お客様のメリットにはなりません」(伊藤さん)。


みんなが大好きなクリームパン、カレーパンも低糖質で

同店のふすまや大豆を使ったパンは、ふすまや大豆ならではの香りや食感はありますが、パンとして十分おいしく、「健康のために、少し糖質を控えようかな」というレベルの方にもおすすめです。切実に、低糖質のパンを求めている方も多く、遠くから買いに見える常連さんもいらっしゃるそう。

取材中に来店されたお客様の1人は、妊娠7カ月の妊婦さんで、健診で「妊娠糖尿病」と診断されたそう。2010年以降、診断基準が厳しくなったことで、妊娠糖尿病の診断を受ける妊婦さんは増えているようです。 お医者様からはおなかの赤ちゃんのために、食事をしっかり食べて栄養をとりつつ、毎食の糖質をコントロールするように言われ、同店を訪れてみたのだとか。
店内のイートインコーナーで早速ふすまのドーナッツを召しあがって、「思っていたより、しっかり甘くておいしい♪」と喜んでいらっしゃいました。

「あんぱんのあんこ、クリームパンのクリームなどには、後味を大切にしたいため、砂糖を使っています。糖質の少ない生地に、砂糖を使ったしっかり甘いフィリングを入れて、トータルで1個5~7gに抑えるようにつくっています。1回に半分しか食べられなくても、しっかり甘くておいしいクリームパンを楽しんでもらえます。メリハリをつけることも大事です」(伊藤さん)。
カレーパンは、カレーらしいスパイシーさのあるルーにひき肉をたっぷり入れて、油で揚げないタイプですが、食べごたえがあります。

「糖質コントロールは、続けていかないと意味がないですから、だれでも、どこに住んでいても、近所のパン屋さんで低糖質のパンを買えるようになるといいな、と思います。特長のあるパンを売るためには、お客様がどんなことに困って、どんなパンを求めているのか、コミュニケーションをとることがとても大事。自身がふすまパンを食べて、体調の変化などを肌身で感じ、糖質を制限する苦労や難しさを体験してみると、共感が生まれて、お客様との信頼関係も深まっていくと思います」(伊藤さん)。


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一ツ木町倶楽部 フレンチグリル&ベーカリー

フレンチグリル料理と、自家製パンが自慢のレストラン。料理研究家の三宅郁美さんが、金融ビジネスマンでジャズギタリストでもあるご主人とともに2017年にオープン。店内では、定期的に音楽のライブパフォーマンスが行われます。併設のベーカリーには、おいしさとともに、安全、健康、食べやすさを大切にしたパンの数々をラインアップ。テイクアウトのほか、カフェスペースで気軽にイートインもできます。

一ツ木町倶楽部 フレンチグリル&ベーカリー
住所:東京都港区赤坂4-3-15 FSK赤坂ビル1階
電話番号:03-6441-0908
営業時間:ベーカリー 8:00~19:00
フレンチグリルランチ 11:30~15:00(L.O. 14:00)
ディナー 18:00~22:30(L.O. 21:00)
定休日:日曜、第2月曜

適量をおいしく食べることで健康に

エントランスを入ってすぐ左手の一角がベーカリーの売り場です。同店開業前の7年間は、キッシュの専門店も手がけていた三宅さんは、パンが大好き。「レストランをやるなら自家製パンは絶対欠かせないと決めていました」とおっしゃる通り、ハード系の食事パンから、食パン、ヴィエノワズリー、惣菜パン、日本生まれの菓子パンまで30~40種類が揃います。おいしさとともに、安全、健康、食べやすさを大切にして、全粒粉、ライ麦、五穀、雑穀など、体によいとされる素材を積極的に取り入れたパンも数多くラインアップしています。


「忙しくて、つい朝食抜き、という方も多いようですが、健康を考えたら食べないより、食べたほうがいい。パンは簡単ですし、いろいろなバリエーションがありますから、体調や時間のあるなしに合わせて種類を選び、適量を食べることが大事だと思います。たとえば、雑穀を使ったパンは、ビタミンB1、B2をはじめとするビタミン・ミネラルや、食物繊維を豊富に含んでいます。おなかの調子も整いますから、ダイエット中の方にもおすすめ。そういったパンとオレンジジュースだけでもよいと思うのです。また、副材料のバターや、塩分のことを気にされる方もいらっしゃいます。小さなコーナーですが、常にスタッフがおりますので、わからないことはスタッフに何でも聞いていただけたらと思います」(三宅さん)。

2018年夏から、ベーカリーシェフを務めている宮西真幸さんは、パリ10区にある名店「デュ・パン・エ・デジデ」にて、店主クリストフ・ヴァスール氏の片腕として活躍していた方です。2~3kgの生地量でダイナミックに焼きあげるハード系など、そのままでもおいしく、グリル料理にもよく合うパンの数々を生み出しています。

スペシャリテは、直径27cmほどの「パンオセーグル」です。石臼挽きのライ麦全粒粉と同量の自家製ルヴァン種を配合。大きな円形に成形し、櫻島溶岩窯で一気に焼くことで、中に水分を閉じ込め、しっとりもちっとした食感になります。ライ麦粉の比率が大きいですが、酸味はごく穏やか。

「フランスで働いていた時からの、とても思い入れのあるパンです。ルヴァンをこまめに継いでフレッシュに保つなど、なるべく酸っぱさを出さないつくり方を学んできました。ライ麦パンは、酸味を出さないとふくらみは少なくなりますが、あえて中身がしっかり詰まった食べごたえのある食事パンに仕上げています」と宮西さん。
表面にたっぷりまぶしたケシの実が、ライ麦の香りにさらに芳ばしさをプラスして、かみしめるほどにうまみが出て、自然とゆっくり味わいながら食べたくなります。

「パンオセレアル」は、ルヴァン種を使ったカンパーニュ生地に、オーツ麦、ゴマ、アマニ、ヒマワリの種、カボチャの種と、レストランのデザート用につくっている栗渋皮煮のクラッシュとシロップを混ぜています。
「乾燥した雑穀類が生地から水分を奪わないように、雑穀に栗とシロップも合わせて3時間ほど吸水させてから、生地に練り込んでいます」(宮西さん)。
しっとりした生地に雑穀のプチプチした食感と自然な旨みが加わり、ほのかな甘みと栗のフレーバーも感じられます。
「自分たちが本当においしいと思うものだけをつくっています。レストランではさまざまなパンをお客様に心ゆくまで堪能していただきたくて、『わんこそば状態』でお出ししています」(三宅さん)。

トラディショナルなバゲットもおすすめです

セーグルの生地にいちじく、レーズン、クランベリー、オレンジピールとクルミの「セーグル・フリュイ」や、生地量3kgを大きく焼いて切り分ける「ノアレザン」などは、ワインのお伴にもぴったり。イートインスペースは、バーカウンターとしても利用でき、「シアターに行く前などのちょっとした隙間時間に、パン屋で軽く一杯楽しむ<パン飲み>にも、ぜひ! いろいろなシーンで気軽にパンを楽しんでいただきたいです」と三宅さん。

売り場にはあんぱんなど日本のパンもありますが、宮西さんが得意とするのはヴィエノワズリーやバゲットなどのフランス系です。
バゲットはイーストを0.05%まで抑え、水分量は76%、48時間発酵するので粉の甘みが強まります。
「長時間の熟成で、生地の張りを出すのは難しくなりますが、見た目よりは味を重視。最近は、フランスでもパンを白く焼きあげるのが流行りですが、クラシカルに、しっかり焼き色をつけて、やや厚めのクラストが中のもちもちの生地と小麦の香りをしっかり包んで閉じ込めています」(宮西さん)。

そして、発酵バターが香るクロワッサンは、折り込みは少なめにして、外側はパリパリ、中はしっとり、とてもやさしい食感です。
宮西さんのクロワッサンは仕込み方がちょっと変わっていて、仕込みのバターを焦がしバター寸前の澄ましバターにして生地に混ぜ込んでいます。それによって生地の伸びがよくなり、焼きあげたときにバターがより香りたつのだそう。

「余分な添加物は使わずに、ルヴァン種や少量のイーストを使って、じっくり時間をかけた発酵でおいしさをつくることは、こだわりというより当たり前と考えています。また、すべてビオにこだわって材料を選べば、より体によいものになるとは思いますが、パンが高価で非日常的な食べ物になってもいけません。そのあたりのバランスをとりながら、良質な素材を使い、おいしくて、どなたにも食べやすいパンをつくっていきたいと思っています」(宮西さん)。

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VENT DE LUDO(ヴァン ドゥ リュド)尾山台店

フランス・ブルターニュの出身で、MOF(フランス国家最優秀職人章)保有のリュドヴィック・リシャール氏が監修するベーカリー。そば粉、リンゴ、ゲランドの塩など、ブルターニュならではの素材を使った、素朴で地方色豊かなパンや焼き菓子が並びます。鮮やかなブルーの店舗外観はブルターニュの空と海をイメージ。店内のイートインスペースでは、ブルターニュ名物のそば粉のガレットやシードル(リンゴの発泡酒)なども提供しています。

VENT DE LUDO(ヴァン ドゥ リュド)尾山台店
住所:東京都世田谷区等々力2-19-15
電話番号:03-6809-7405
営業時間:10:00~20:00
定休日:不定休

そば粉を使ったパンはブルターニュ伝統の食文化


店名の「ヴァン ドゥ リュド」は「リュドの風」という意味で、お客様にブルターニュの風を感じていただけるような店づくりをコンセプトに掲げています。フランス北西部に位置し、3方を海に囲まれたブルターニュ地方では、古くから、厳しい環境にも強い「そば」が小麦の代わりとして栽培されていました。そばは、Blé Noir(黒い小麦)と呼ばれ、そば粉を使った独自の食文化が発展したのです。
バゲット、クロワッサン、カンパーニュなどの生地に、そば粉を使ってつくる様々な商品は、同店ならではの人気アイテムになっています。
「そば粉には、ほかの穀類にはないルチンなどの栄養素が含まれていますが、とくに健康を意識して、というよりも、そば粉を使ったアイテムは、当店スタート時からの主要なモチーフなのです」とお話しくださったのは、店長の廣石真之さん。
「『自然への感謝を忘れず、個性があり、シンプルなものを作っていく』というのがリュド氏のパンづくりに対する姿勢です。『日本人におなじみのそば粉は、ブルターニュ地方でも昔から食されていたのね!』と、同地の食文化を身近に感じ、雰囲気を楽しんでいただけたら、と考えています」(廣石さん)


例えば人気NO.1の「リンゴのそば粉パン」は、ブルターニュ名物の「ガレット」をモチーフにした同店オリジナルのレシピです。そば粉のバゲット生地に、シナモン風味を効かせて煮上げたリンゴの角切りがゴロゴロ。たっぷりと練り込んだ甘酸っぱい煮リンゴからの水分で、生地はしっとりやわらかく、もっちりした食感になり、どなたにも食べやすいと好評です。
そば粉の田舎パンは、そば粉、全粒粉、ライ麦粉を配合したクラムがもちもちのカンパーニュ。この生地にいろいろな具材を合わせて、たとえば「アンチョビオリーブ」といった商品もつくっています。
「健康を意識されてなのか、全粒粉の入っているパンを希望されるお客様は多いですね。現在は、小麦粉全粒粉とふすまを使った『全粒粉食パン』があります。今後商品数が増えていけば、雑穀やアマニ油など健康食材を使ったパン、塩分控えめのパンなども取り入れていけたらと思っています。ただ、健康食材には一過性のブームもあり、難しい部分があります」(廣石さん)。

パンにそば粉を使うメリット

「パン生地にそば粉を使うと、歯切れがよくなり、サンドイッチにも向いています。また、そばの香りや味わいは、日本人の舌になじみやすく、和、洋どちらの食材とも相性がよく、和食のイメージでもアレンジがしやすいです」と、そば粉を使うことでのメリットを教えてくださったのはベーカリーシェフの高澤まどかさん。
ルヴァン種を使った「そば粉のバゲット」は、多少の酸味も感じられ、窯入れ前に振ったそば粉で香りが一段と際立ちます。クラストはガリガリっとしたハードな食感。
同店では、パンに合う惣菜も販売しています。そば粉のバゲットにぴったり合うのが、「わさびのクリームディップ」。ナチュラルチーズとホワイトソースをベースに、むきえびやわさびなどを加えてあり、ほんのり和テイストなフレンチ惣菜です。
「そば粉バゲットは、『温めた麺つゆ』にディップして食べても、意外なくらいのおいしさなんです」と廣石さん。半信半疑で早速試してみましたが、そばの香りと麺つゆは安定のペアリング。たっぷり浸すとつゆを含んだクラムはしっとり、クラストはカリッと揚げたてのてんぷらを思わせるような食感です。そば粉のパンと和素材の組み合わせ、工夫次第でさまざまなバリエーションが広がりそうです。


パン生地にそば粉を配合することで、難しい点もあります。そば粉を混ぜるとグルテンが弱くなるため、過熟にならないよう生地管理が大切になるそう。また、そばは人によってはアレルゲンとなってアレルギー症状を起こす懸念もある食材です。
「製造では、コンタミネーション(ほかの食品に混入すること)を防ぐための細心・最大の注意が必要になってきます。試食販売が難しいこともネックですね」(廣石さん)。

そば粉を使ったクロワッサンは、通常のクロワッサンに比べると、ふくらみ方は控えめになりますが、よりバリバリっとした食感と素朴な風味を楽しめます。催事などで、通常のクロワッサンと並べて販売すると、そば粉のクロワッサンのほうが、断然よく売れるそう。
「有名店が多数出店する催事などでも、そば粉を使ったパンはうちだけ、ということがほとんどで、差別化が図れます。おいしさには絶対の自信があり、<リュド=そば粉のパンがおいしい。種類もいろいろあって選べる>と、お客様にも認知されてきたと思います」(廣石さん)。
また、店舗では10日ごとに1テーマでフェアを行っていますが、定期的に「そば粉フェア」を打ち出すそう。「季節に関係なく使えて、店の核となるものを持っているのは強みになり、お客様にも好評です」(廣石さん)。

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「日々の食事を、楽しくおいしくいただくことが健康への近道」ということを実感した取材でした。ご紹介したベーカリーのパンで、皆様の食卓を彩ってみてはいかがでしょう。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2019年02月)のものです

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