

「ドーナツ」は、昔から愛されてきた定番スイーツ。揚げる、焼く、蒸すなどの製法やアイシングやフィリングの違いで、さまざまなバリエーションが生まれています。今、注目が集まる「ドーナツ専門店」をご紹介します。
ホーカス・ポーカス(HOCUS POCUS)
永田町のオフィスビル1階にあるドーナツカフェ。売り場奥の厨房にてつくられた、できたてのドーナツが、ジュエリーのようにショーケースにディスプレイされています。明るく開放感のある店内には、ゆったりとしたカフェスペースを併設。各種展示や、営業終了後にはジャズをメインに、クラシックギターやDJなどのライブが行われることもあります。
ホーカス・ポーカス(HOCUS POCUS)
- 住所
- 東京都千代田区平河町2-5-3
- 電話
- 03-6261-6816
- 営業時間
- 月曜~金曜11:00~19:00、土曜、日曜、祝日12:00~18:00
- 定休日
- なし

手土産にも最適、ケーキのようなドーナツ


緑に囲まれたボードウォークを通って店内に入ると、ショーケースに色とりどりのドーナツが並んでいます。国会議事堂のある街・永田町とドーナツの組み合わせは意外、という印象も。店長の富岡弥生さんにお話を伺いました。
「当店の周辺は、官公庁や企業のオフィスのほか、一般の住宅も意外に多く、ビジネスやプライベートで使い勝手のいい、気のきいた手土産のニーズがあります。パッケージを開けたときにパッと華やかで気持ちが上がる、送る方も受け取る方も、さほど肩ひじ張らず、皆に配るのも簡単、お皿やフォークが必要なく、片手に持って気軽に召し上がっていただける、という点で、手土産にぴったりなスイーツがドーナツなのです」(冨岡さん)。
丸いドーナツに自然な色合いのグレイズやトッピングが施されて、ショーケースの木のプレートに並べられたドーナツは、照明を浴びて宝石のように美しく見えます。「ケーキのようなドーナツ」をジュエリーショップのようにディスプレイするのが同店のコンセプトです。
ラインアップは定番を中心に15種ほどが揃い、季節のイベント時期には限定アイテムが加わります。
「見た目の華やかさだけでなく、食べたときにも他店にはないおいしさを感じていただけるように、さまざまな工夫を重ね、新しい試みにも取り組んでいます。その意味で、ここはドーナツのラボラトリー。従来の『ドーナツは揚げたお菓子』という概念に縛られず、『焼く』『蒸す』などの製法で、より美しく、おいしくつくりあげています」(冨岡さん)。
「フランボワーズ」は、生地にベルギーチョコレートのチップを練り込んでクリスピーな食感をプラスしたスチームドーナツに、パウダー状のフリーズドライフランボワーズを混ぜたホワイトチョコレートで表面にコーティング。トッピングはフランボワーズとパチパチキャンディ―です。パチパチキャンディ―とは、分子ガストロノミー※にも使用される食材で、スペインから輸入したものを使っています。通常はあまりお菓子に使うことのない、珍しい素材を使うことで五感を刺激し、おいしさとともに驚きを探求するのもラボラトリーたる所以でしょう。
また、「mochi(もち)」という名のドーナツが期間限定で登場することも。最中の中にチョコレートのクリーム、上に蒸しあげた餅(求肥)を重ねた3層構造の和菓子テイストで、桜シーズンには「桜の餅ドーナツ」が登場します。
※分子ガストロノミー・・・1990年代にイタリアから始まった新種の料理技法。液体窒素や特殊な泡だて器などを駆使して食材に分子レベルでの変化を与え、食べる人の五感を刺激し、驚きをもたらす、というもの。


素材の香りと食感を大切に引き立たせます

プライスカードには、フレンチのメニューのように、それぞれのドーナツを特徴づける素材が紹介され、そのまま商品名になっています。例えば「オレンジ/コアントロー」は、オレンジの香り豊かなフランス産のリキュール『コアントロー』とオレンジのカクテルをイメージしたもの。生地にはコアントローとオレンジピールを練り込み、アイシングにもアルコールをとばしたコアントローとオレンジピールを使用。シンプルな円形ではなく、クルーラーの型を使うことで表面積が増し、より香りがたち、表面のサクッとした食感を楽しめるようにつくられています。


「ドーナツづくりでいちばん大切にしているのが、香りと食感です。素材の持つ色合い、香り、食感を最大限に生かし、召しあがったときにしっかりと感じていただけるように、ベースの生地の配合を微調整したり、どの型を使うか、蒸すのか焼くのかなどを決めながら、レシピをつくっていきます」(富岡さん)。
「スチーム」は、生地を専用の型にしぼり出し、オーブンで蒸しあげます。素材の色や香りを保ちやすいので、ラインアップの7割程度を占めています。焼き色や芳ばしさ、表面のカリッとした食感を楽しめるのは「ベイクド」。蒸しと同様に型に生地をしぼり出して、オーブンで芳ばしく焼きあげます。ピスタチオやチョコレート生地などは、焼き、蒸しのどちらにも適しているアイテムです。
ピスタチオパウダーと生のピスタチオを贅沢に練り込んだ生地を使用して、ホワイトチョコレートをコーティングしたスチームタイプのアイテムが「ピスタチオ」。焼きあげた表面にミルクチョコレートをコーティングして、クレープの端っこのカリカリをトッピングしたのが「クレープチャンク」です。同じピスタチオの生地ですが、見た目にも食感にも変化のあるアイテムが生まれます。


さっくりしっとりのシンプルなベイクドドーナツに、オリジナルクリームチーズフィリングとラム酒漬けのドライカレンズをたっぷりサンドしたのは「ラムカレンズ」です。取材時は、ラム酒のかわりにクラフトジンに漬けこんだカレンズとクリームチーズのフィリングを、チョコレート生地のベイクドドーナツに合わせた新作も登場。素材同士の相性を考えて、生地と、コーティングやフィリング、トッピングのそれぞれがもたらす香りや食感が最適になるようにペアリングを決めているそう。
現在、同店では揚げたドーナツはお休みしています。
「揚げたドーナツは、どうしても時間がたつと酸化が起こりがちなので、現在は焼きとスチームを中心にしています。今後は、店内で揚げたてのドーナツを召しあがっていただくことにも取り組んでいきたいと思っています」(冨岡さん)。
そして、手土産の需要に合わせて、持ち帰り用のパッケージにも工夫があります。ドーナツの姿をそのまま見せてくれる1個用のプラスチックケースは、プチギフトにぴったり。また、4個入り紙箱のラッピングは、1枚の厚紙を書類ファイル用のクリップで留めただけのもの。持ち運び用のショップバッグを兼ねて、見た目はスタイリッシュ、開封や後片付けを簡単にする利便性があります。


ドーナツもり
神楽坂の老舗フランス菓子店で修業した店主の森敬之さんがつくるフランス式のドーナツ専門店。各地でのマルシェやイベントへの出店で人気が高まり、2020年2月に実店舗をオープン。現在は土曜、日曜限定の営業ですが、2021年6月からは平日(火曜〜金曜)も営業します。また定番のドーナツ6種類の通信販売を6月からスタートします。
ドーナツもり
- 住所
- 東京都新宿区赤城下町3-9
- 電話
- 非公開
- 営業時間
- 11:00~18:00 ※売切れ次第閉店
- 定休日
- 月曜、火曜、水曜~金曜の祝日

素材にこだわり、時間をかけてつくるフランス式ドーナツ


森さんとドーナツとの出会いは、1カ月間のアメリカ横断旅行でのこと。どこに行っても街にはドーナツ屋さんがあり、お店ごとにこだわったレシピで丁寧につくられたドーナツは、地元の人たちにこよなく愛されています。人々が片手にドーナツを持って街を歩く姿はカッコよく、ドーナツが1つの文化として根づいていることが印象的で、「ドーナツ屋、やってみたいな」とふんわりと思ったそう。
その後、森さんは会社員として働く傍ら、休日は神楽坂の老舗フランス菓子の店で修業。師匠が店を大分に移転するにあたり、店舗を引き継いで新たに開業したのが「ドーナツもり」です。師匠のもとで身に着けたフランス菓子の技術と、一流のパティスリーで使われる、ヨーロッパ産の最高品質の素材を使ったドーナツが森さんのつくるフランス式ドーナツです。
ラインアップの中心となっている発酵生地のドーナツは、フランスで「ベニエ」と呼ばれるものがもとになっています。ベニエは、パン生地を丸く成形して揚げ、中にカスタードやジャム、チョコレートクリームなどを詰め、表面に粉砂糖をかけたもの。
「醗酵生地は3日間かけて仕込んでいます。1日目は小麦粉と熱湯を混ぜて一晩寝かせ、2日目に本捏ねした後、低温オーバーナイト発酵、3日目にドーナツに仕上げます。じっくり時間をかけることで、もちもち、ふわふわ、小麦の風味を生かしたおいしさに育てています」と森さん。
また、オールドファッションは、バターと牛乳のかわりにサワークリームを使うことと、平飼い有精卵と3種類のスパイスがおいしさの決め手。ベーキングパウダーと重曹の使用により、モソモソしない、口どけのよさをつくっています。
「ドーナツでとても重要なのが揚げ油です。生地にどれだけ時間をかけておいしくつくっても、油次第で台無しになってしまいます。生地が余分な油を吸わないように小麦粉のブレンドを加減し、揚げ油にはオーガニックショートニングを使用。また、生地表面に水分が多いと、油を吸収しやすくなるので、揚げる直前に表面を乾燥させるのもポイントです。こうした工夫で、油っぽさやしつこさを押さえています」(森さん)。
ドーナツに分厚く切ったバターとたっぷりのあんこをはさんだ「あんバター」も、油によるくどさを感じさせないからこそのおいしさ。意外なくらいに食べやすく仕上がっています。北海道産ノンチルドバター(製造後に一切冷凍していないバター) は、フレッシュなミルキー感が際立って、贅沢な「あんバター」を楽しめます。


こだわり素材を使い、たっぷりのボリュームで十二分な満足感を
こだわりのドーナツに、さらにおいしさや彩りを加えるのが、さまざまなグレーズやカスタードクリームなどのフィリングです。
同店のオリジナルグレーズは、北海道産ノンチルドバターに粉糖とイタリア産有機はちみつを混ぜたもの。これをベースに、さまざまな素材をプラスしてグレーズをつくり、店頭には10〜14種類のドーナツが並んでいます。とくに、色合いも華やかなフランボワーズのグレーズは定番中の定番。
また、コンポートやカスタードクリーム、キャラメルなどはすべて自家製。カスタードには平飼いの有精卵を使い、卵黄を多く使う古典的なレシピで濃厚な味わいに。鞘のバニラをたっぷり加え、甘やかな香りを楽しめます。
フランス産のフランボワーズ、シチリア産のピスタチオなど、ヨーロッパの高級製菓用素材に加え、フレッシュフルーツは国内の農家から直送されたものを使い、瑞々しさと季節感を演出しています。


いちごの季節の限定は、「苺とフランボワーズソースのカスタードベニエ」。とちおとめとフランス産フランボワーズを赤ワイン、粗製糖でゆっくり煮詰めてコンフィにし、カスタードベニエにのせています。丸く成形した生地の表面に少しくぼみをつくって揚げ、その上には赤いベリーのコンフィをたっぷり。カスタードも外にまではみ出すくらい、はちきれんばかりに詰め込んでいます。
「<○○味>なのに、その味があまり感じられないのではお客様をがっかりさせてしまいます。ですから、満足していただけるようにカスタードは80g、ジャム類もたっぷり、入れ過ぎかな?と思うくらいにしています」(森さん)。
フィリング系のドーナツを手にしたときの重みにはびっくりされるお客様が多いとか。甘さはほどよく、甘酸っぱい果実感にカスタードとふわもちの生地がおいしいハーモニーを奏でます。

626円/イートイン 638円(各税込)

「当店のような、チェーンではないドーナツ専門の店は、日本ではまだまだ珍しい存在です。アメリカみたいに街のドーナツ屋さんがたくさんあって、お店ごとに違ういろいろなドーナツが楽しめる。そういう新しいドーナツ文化を日本でも流行らせたいな、と思いますし、よりおいしくてインパクトのあるものをつくって、ドーナツ全体を盛りあげていきたいと思っています」(森さん)。


Pretty Good Coffee & Donut
(プリティグッド コーヒーアンドドーナツ)
浅草やスカイツリーへのアクセスも便利な、隅田川沿いの柳橋エリアに2020年11月オープン。ミニマルなホテル、コワーキングスペースやランニングステーションなど、多目的に利用できる施設《OUR OUR(アウア)》1階にあるカフェ&ドーナツショップです。キッチンで手づくりしたオールドファッションとブリオッシュ生地をベースにド―ナツのバリエーションを揃えています。
Pretty Good Coffee & Donut (プリティグッド コーヒーアンドドーナツ)
- 住所
- 東京都台東区柳橋2-20-13
- 電話
- 03-5829-6470
- 営業時間
- 月曜~金曜9:00~20:00、土曜、日曜、祝日 10:00~20:00
- 定休日
- なし

5分待てば、熱々の揚げたてドーナツをいただけます


同店は、街に開かれた雰囲気のコーヒースタンド。通りに面したテラスから、窓越しにオーダーしてテイクアウトにしたり、店内でゆっくりとランチやカフェ利用もできる使い勝手のよさが人気のお店です。
「コーヒーのお供にぴったりで、しかもドーナツを専門にする店は都内でもまだ珍しいことから、おいしいドーナツのあるコーヒースタンド、というスタイルで展開しています」と語ってくれたのは、スタッフの小野寺遥奈さん。
同店のドーナツは、徹底して手づくりにこだわっています。サクッと歯切れよく、ほろほろと口どけるオールドファッションは、生地には上白糖ではなくきび砂糖を使用。小麦粉は全粒粉をブレンドすることで、色合いはナチュラルに、揚げたときのカリッとした食感もプラスしています。
「クッキー生地より少しやわらかいくらいの生地を1つ1つ型抜きしてつくっています。手作業ですから大量に数をこなすのは難しいですが、生地の水分量を最適にコントロールして、しっかりした食べ応えに仕上げることができます」(小野寺さん)。
また、フライヤーにも一工夫があり、油や食材内部の水分を高速振動させる電子調理器具を使っています。これにより、生地からの水分蒸発を抑え、しっとりとしたみずみずしさを残しつつ、余分な油は吸わずにカラリと揚がります。
「5分待っていただければ、揚げたての熱々をお出しすることもできます。ほかの店ではやっていない、何か新しいことはできないかと、いつも考えています」(小野寺さん)。


オールドファッションのラインアップは、きび砂糖をまぶしたプリティ・プレーンと、グレーズをかけた定番アイテムが3~4種類、さらに季節のドーナツが1種類加わります。
定番のグレーズがけは、レモンピールをたっぷり混ぜた「グレイズドレモン」、ビターなチョコレートベースのグレーズにカカオニブをトッピングした「カカオ」、ビーツパウダーを混ぜた赤いグレーズにフランボワーズとローストピスタチオをあしらった「ピスタチオベリー」。
季節のドーナツは、この冬は「抹茶」、春は「さくら」が登場しました。

(イートイン・テイクアウトともに税込)

ブリオッシュ生地のドーナツ“FLUFFY”はバーガーのバンズにも
オールドファッションのほか、イーストドーナツの“FLUFFY”もあります。“FLUFFY”とは、“ふわふわ”の意味で、自家製ブリオッシュ生地でつくるドーナツです。ふんわり軽い食感ながら、卵やバターを使ったリッチな味わいのブリオッシュ生地は、隠し味としてきなこを少し入れているそう。味わいに深みが生まれ、ワインで言うところの「ボディの強さ」が生まれます。
マスカルポーネ入りのホイップクリームをサンドした「クリーム」のほか、新しく「あんバター」が登場しています。ドーナツの切り口にたっぷりとはさまったクリームやあんこ&バターのインパクトは抜群、大満足のボリュームです。

(イートイン・テイクアウトともに税込)

同店では、ランチタイムにはサンドイッチやプレートランチを提供しています。“FLUFFY”をバンズに使ったサンドイッチメニューが「Pretty good plate」です。ケイジャン風味のフライドチキンのバーガーにフライドポテト、サラダを添えてあります。
スパイシーで肉のうま味も濃厚な、ボリューミーな具材をドーナツのバンズがしっかり受け止めて、バンズそのもののおいしさも味わうことができます。
「甘みのあるドーナツのバンズに、チキンやベーコンの塩味、キャベツマリネの酸味と、味のベクトルが異なるものを一緒にいただくことで、それぞれの持ち味が際立ち、よりおいしく感じられます。ブリオッシュのドーナツを使うことで、そんな効果もあるのです」(小野寺さん)。
ランチのサンドイッチに使う食パンも、前日仕込んでオーバーナイト発酵させた自家製です。日々おいしい食パンを研究し、食パンのほかにもベーグルや、ドーナツに使うブリオッシュ生地を小さなキューブ型に焼いたミニブリオッシュなどを販売しています。
「料理との相性を考えて、パンから自分たちでつくったほうが、メニューをつくりやすいですし、コストを下げることもできます。オリジナルの食パンは、そのまま食べてもおいしいですし、翌日でもおいしく召し上がっていただけます」(小野寺さん)。
カウンターの上には、スコーン、クッキーなど手づくりの焼き菓子が並んで、今日のコーヒーのお供はどれにしようかな?と、迷う楽しさもあるコーヒースタンドです。


はらドーナッツ吉祥寺店
神戸に本店のあるドーナッツ専門店。豆乳とおからを使った素朴なおやつドーナッツは、本店オープンの2008年から人気を博し、ドーナッツ専門店の先駆け的存在となっています。東京1号店の吉祥寺店をはじめ、関東以西に13店舗、通信販売も展開しています。
はらドーナッツ吉祥寺店
- 住所
- 東京都武蔵野市吉祥寺本町4-13-15
- 電話
- 0422-22-0821
- 営業時間
- 10:00~19時ごろ(売り切れ次第閉店)
- 定休日
- なし

豆乳とおから入りドーナッツはもちっとした食感


2008年に神戸で「はらドーナッツ」を立ち上げた岡井健さんがドーナッツ店をつくろうと思い立ったきかっけは、幼いころコロッケ屋を営んでいた祖母がつくってくれたドーナッツです。
「家庭で手づくりした“おやつ”のようなものがお店で買えたら、きっと喜ばれると思ったのです」と岡井さん。目指したのは、おいしくて、お年寄りから小さなお子さんにも安心して食べてもらえること。安心・安全と健康をいちばんに考えたとき、良質な豆乳とおからを使おうと、思い至ったそう。当時住んでいた神戸の街中を探して「原とうふ店」に巡り合いました。
「北海道産鶴の子大豆を使って、こだわりの豆腐づくりをされている昔ながらの豆腐屋さんです。同店の豆乳とおからでドーナッツをつくってみたら、もちっとした食感で、牛乳や卵でつくる普通のドーナッツよりも断然おいしくできたのです」(岡井さん)。
もともと、原料は国産のものを使っていきたいと考えていたので、その方針にもマッチ。原とうふ店の豆乳、おからを使った、「はらドーナッツ」が生まれました。

安心・安全と健康は、はらドーナッツがいちばん大切にしているテーマです。すべてのドーナッツに豆乳とおからを使い、小麦粉は国産の小麦粉や、食物繊維、ビタミン、ミネラル豊富な全粒粉をブレンド、甘みの強い三温糖を使うことで、糖分は控えめにしています。防腐剤や保存料は一切使わず、揚げ油は消泡剤のシリコン無添加のものを特注。ドーナッツは、すべて店舗で粉を合わせ、手づくり、できたてにこだわっています。
店名と同じ「はらドーナッツ」は、いちばんシンプルなドーナッツ。素材由来のナチュラルな色合いで、「素朴なおやつ」という、コンセプトそのままの親しみやすさを感じさせてくれます。国産大豆の豆乳とおからのやさしい甘みと風味、しっとりもちっとした食感で、飽きの来ないおいしさです。揚げたてをその場でお召し上がりになる方も多いそう。


基本の「はらドーナッツ」からさまざまなバリエーションを展開

「バリエーションは、今までにつくってきたレシピとしては250種類くらいはあるかと思います。その中から、常時10~15種類を揃えています。「はらドーナッツ」をベースに、きなこやシナモン、赤砂糖をまぶしたもの、チョコレートやアイシングをかけたものなど。各店舗のスタッフが心を込めて、毎日1つ1つ丁寧につくっています」(岡井さん)。
また、茶葉やコーヒー、季節の野菜などを生地に練り込んだドーナッツは日替わりで登場。このほか季節ごとの限定メニューが2種類程度加わります。
ほうれん草、にんじん、さつまいもなど、野菜嫌いのお子様でもドーナッツにすれば、喜んで食べてくれそうです。また、アールグレイの茶葉を混ぜて、香りを楽しむ「コウチャ」をベースに、レモンのアイシングをかけて「レモンティー」に。ホワイトチョコがけで「ミルクティー」にも展開できます。


「季節限定は、旬の野菜や果物などを使って、季節感を感じていただけるようにしています。あまり飾らない素朴なものがラインアップの中心ですが、季節イベントにちなんだキャラクターものや、春には、たんぽぽや桜をイメージした、見た目の華やかさも添えています。以前、ハロウィーンで登場した猫ちゃんのキャラクターなどは、お子様にも喜ばれました」(岡井さん)。
最近では、卵とバター不使用、豆乳とおからの量を増やした「こだわりのはらドーナッツ」も日替わりで登場。開店から10年以上たった今も進化を続けるドーナッツ専門店です。


食べておいしく、見た目もかわいいドーナツは、軽食やおやつに、コーヒーのお供に、お知り合いへの手土産にもぴったりです! 専門店それぞれのこだわりと魅力が詰め込まれたドーナツ。ぜひ、味わってみてはいかがでしょうか。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2021年04月)のものです