パンのテーブル パンのテーブル

デコレーションで魅せる、素朴系の焼き菓子、パン

スコーン、マフィン、ベーグル、シナモンロールといえば、定番ながら人気のアイテムです。具材やトッピングを工夫することで、素朴さにSNS映えもする華やかさが加わり、バリエーションが広がります。他にはない、個性的な商品づくりをしているスコーン、マフィン、ベーグル、シナモンロールの専門店をご紹介します。

BAKERS gonna BAKE
(ベイカーズ ゴナ ベイク)

東京駅構内の「東京ギフトパレット」内にある工房一体型のスコーン専門店。店先には小麦粉と砂糖の甘い香りが漂い、ガラス越しに見える工房で丁寧に焼き上げたスコーン14種類ほどが揃います。コーヒーや紅茶、季節限定のドリンクなども販売。オンラインストアでもスコーンを購入することができます。

BAKERS gonna BAKE(ベイカーズ ゴナ ベイク)

住所
東京都千代田区丸の内1-9-1
東京駅八重洲北口「東京ギフトパレット」内
電話
03-6551-2332
営業時間
9:30~20:30、土曜、日曜、祝日9:00~20:30
定休日
東京ギフトパレットに準じる
JR東京駅八重洲北口改札から徒歩2分ほど

見た目も楽しいケーキのようなスコーンもラインアップ

初夏限定「“レモンブラン”のスコーンサンド」380円(税込)※現在は販売終了
スタッフの小松さん

日本中から人が集まるターミナル駅・東京駅の中にある同店では、手土産にもぴったりの、見た目も華やかでバリエーションも多彩なスコーンを揃えています。同店スタッフの小松さんにお話を伺いました。
「日本でスコーンといえば、ホテルのアフタヌーンティーで楽しむような英国伝統の焼き菓子、というイメージが強いかと思います。スコーン専門店をオープンするにあたり、伝統的なものだけにとどまらず、自由な発想で個性的な、驚きのあるアイテムを提案して、皆様の日常がちょっと楽しくなるようにと、商品づくりをしています」(小松さん)。

右は、天面にイギリス伝統菓子ハニカムトフィーとチョコレートをデコレーショした「ハニカムトフィースコーン」360円(税込)

同店の看板商品は「バターミルクスコーン」「チョコレート&アーモンド」など5種類。チーズの風味が広がる、朝食やランチにぴったりのセイボリー(食事系)の「チーズスコーン」もあります。丸い形や三角形のシンプルなフォルムで、素材にこだわったスコーンです。
「国産小麦、牛乳、バターを使い、生地をよく練ることでやさしい甘さを最大限に引き出し、外はサクッと、中はしっとり&ふんわり。素材のおいしさを生かして焼き上げています」(小松さん)。
同店では、シンプルなスコーンに加えて、コーヒーにもよく合う甘いアメリカンタイプのスコーン、季節やトレンドを表現したかわいらしいスコーン、日本ならでは和の要素をプラスした個性的なスコーンと、お店にいつ来ても「楽しい!」と感じられるバリエーションを展開しています。

その1つがスコーンサンド。見た目の楽しさに加えて、サンドする具材によって季節感や意外性を盛り込むことができます。
バターミルクスコーンを使った「あんバタースコーンサンド」のほか、ひとまわり小ぶりの「ビスケットスコーンのバターサンド」。薄めに焼きあげたサクサクのビスケットスコーンの間にクリームや具材をたっぷりはさんで高さを出し、サイドをオーブンシートでくるっと巻いた姿はとてもキュートです。
「店舗の場所柄、ご購入後に遠方まで持ち運ばれるお客様も多いですから、クリームはバタークリームを使うなど、スコーンはすべて常温でおいしさも形も保てるようにつくっています。冷やしていただくとよりおいしい『ビスケットスコーンのバターサンド』などは、専用のスコーン生地をつくり、冷蔵ショーケースに陳列。販売時には保冷剤をつけてお渡ししています」(小松さん)。

「あんバタースコーンサンド フランス産発酵バター&北海道大納言」420円(税込)
手前はラッピングもかわいらしい「ビスケットスコーンのバターサンド」280円(税込)

華やかな季節限定や和の素材とのコラボも魅力

同店では、季節ごとに旬をテーマにした季節限定スコーンが登場します。春は、桜とイチゴをテーマにした桜色のスコーン。初夏のテーマはレモンです。「“レモンブラン”のスコーンサンド」は、まさにケーキのよう。レモンの砂糖漬けやシチリアレモンペーストなどを練りこんだオリジナルのレモンスコーン生地に瀬戸内レモンジャムをサンド。発酵バタークリームと、これにレモンジャムとオーガニックレモンバーベナを加えたレモンバーベナクリームを絞ってレモンをトッピング。初夏らしいさわやかな彩りと、立体的な造形で、売り場でも目を惹く華やかなビジュアルです。
このほか、レモン風味のスコーンにブルーベリーを合わせ、レモンアイシングにレモンスライスとピスタチオをトッピングした「レモン&ブルーベリー」やレモンを使った「ビスケットスコーンのバターサンド」も加わります。

初夏限定の「“レモンブラン”のスコーンサンド」380 円と「レモン&ブルーベリー」360円(各税込)※現在は販売終了
初夏限定の「ビスケットスコーンのバターサンド 瀬戸内レモンジャム&レモンバーベナ」280円(税込))※現在は販売終了

スコーンは和のスイーツとも好相性。春限定アイテムとして登場したのは、ミニサイズの桜餅をサンドした「桜餅とあまおう苺バタークリームのスコーンサンド」。つぶあんを包んだ桜餅のもちもちの食感は、ホロホロと口どけのよいスコーンとマッチ。お花見をイメージして桜の花の塩漬けもあしらい、まさに驚きのある組み合わせです。
「桜餅をスコーンのどの位置にどんな角度で配置するかにも細かくこだわって、見た目のかわいらしさや全体の調和を考えてつくっています」(小松さん)。

初夏限定の和を感じるスコーンは「抹茶&マカダミアスカッチ」。京都宇治抹茶を練り込んだ生地にサクサクとした食感のマカダミアスカッチを加えて焼きあげ、抹茶のグレーズを掛けています。

春限定の「桜餅とあまおう苺バタークリームのスコーンサンド」400円(税込)※現在は販売終了
初夏限定の「抹茶&マカダミアスカッチ」380円(税込)※現在は販売終了

桜餅や抹茶以外にも過去には焼き芋、苺大福、みたらし団子など和のスイーツがスコーンサンドの素材として使われました。それに合わせてスコーン生地の配合から変えることも多く、大学芋を生地に混ぜ込んで芋の甘みや食感を生かした生地、抹茶と黒糖かりんとうを混ぜた生地などをつくったそう。
「あんこも焼き芋も、素材本来の味わいがもたらす上品な甘さが特長で、スコーンのやさしい甘さ、発酵バターの塩味と、すべてが一体となって、皆さんが大好きな“甘じょっぱい”味わいに。また、サックリとしたスコーンの食感に、大福やみたらし団子のモチモチ食感、クリームやバターのなめらかなくちどけを合わせたことで、ひとくち頬張った時にハーモニーが感じられる食感に。見た目も味わいも1つのスコーンとして調和がとれていて、驚きやインパクトも感じていただけるように、常に工夫を重ねてつくっています」(小松さん)。
なお、初夏限定スコーンは終了し、7月6日より台湾土産で人気の”パイナップルケーキ”をイメージしたパイナップルづくしのスコーンサンドなど、夏らしいフルーティでトロピカルな新商品が登場しています。

Twinmam Bagel(ツインマムベーグル)

「手作り酵母と自然素材のご褒美ベーグル」をテーマに、生地に具材をたっぷり巻き込んだベーグルや、ベーグルサンド15~17種を揃えています。2022年4月オープンで、当面は週2~3日の営業。お客様の待ち時間を減らすため、SNSを通しての来店予約制を採用し、通販にて抽選販売も行っています。

Twinmam Bagel(ツインマムベーグル)

住所
東京都国立市西2-25-1ヴェスト国立1階
電話
非公開
営業時間
13:00~売り切れ次第終了
定休日
不定休 ※月ごとの営業日はSNSでお知らせ
JR国立駅から徒歩17分

SNSで注目を集め、工房に実店舗をオープン

ベーグルのラインアップは、営業日ごとに変わります
店主の佐々木ひとみさん

JR国立、西国立、矢川の各駅から十数分のロケーション。通りに面した明るいガラス張りの店内には、色とりどりのバリエーション豊富なベーグルが並びます。ベーグルをつくり、店を切り盛りする店主の佐々木ひとみさんにベーグルへのこだわりや多彩なバリエーションを生む秘訣など、お話を伺いました。

「私がベーグルをつくり始めたのは、ふたごの娘の離乳食がきっかけです。市販のパンは油脂や卵などを使ったものが多く、ならば自分でつくろう!と」(佐々木さん)。

自身がべーグル好きだったこともあり、自家製酵母を起こしたり、配合を変え、合わせる素材を試しながら毎日さまざまなベーグルをつくり、SNSに投稿。ベーグルを愛するたくさんのフォロワーからも「ぜひ食べてみたい!」との熱い支持を受け、工房を設けて通販からスタート。2022年4月に実店舗をオープンしました。

同店のベーグルは、ベースの生地には油脂、卵、乳製品は不使用。小麦粉に、佐々木さんの故郷・山形県産「つや姫」の米粉をブレンドし、3種類の自家製酵母をアイテムに合わせて使い分けています。
「炊いたごはんと麹でつくる酒種は、いちばん幅広く使える酵母で、プレーンから食事系、和風系に合います。レーズンから起こしたものはココアやコーヒー生地によく合います。このほか、リンゴをはじめ、季節のフルーツで起こした酵母は、ほんのりと素材の果物が香り、もっちり感とむぎゅっとした食感が生まれます。使用する酵母や生地に練り込む素材によって、生地そのものの色味や味わい、食感にも変化が生まれます。さらに、山形県産の食材をはじめ、複数の具材を組み合わせることでバリエーションが広がります」(佐々木さん)。

バリエーション豊富なベーグルが揃います
「しそ味噌クリームチーズ」345円(税込)は山形の郷土料理、シソ巻きをイメージ

チーズケーキやガトーショコラなど自家製のスイーツを生地に巻き込んだおやつ系、和洋中のおかずを巻き込んだ食事系も充実。オープン時のラインアップをご紹介すると、「プレーン」「甘酒プレーン」「黒ゴマおさつ」「もち姫ずんだクリームチーズ」「しそ味噌クリームチーズ」「抹茶白玉大納言」「ティラミス」「ほうじ茶ティラミス」「紅麹りんごカスタードダマンド」「明太大葉チーズ」「ミートソース」「桜チーズケーキ」「桜あんいちごクリームチーズ」「夏みかんショコラダマンド」の14種類に、「抹茶豆腐ガトーショコラサンド」「バナナオレオケーキサンド」などベーグルサンドが加わります。

目で見て楽しんでいただけるよう、生地の色はプレーンのほか、紅麹や紫芋、イチゴなどのピンク色、ブラックカカオの黒、コーヒーやチョコレートのブラウン、かぼちゃの黄色、抹茶の緑など、素材を生かした自然な色合いを出しています。また、生地に黒ゴマや紅茶リーフ、ホウレン草やしそ、きな粉を混ぜると、香りやテイストが加わり、見た目にも変化が生まれます。

春限定の「桜あんいちごクリームチーズ」518円(税込)
糸唐辛子をトッピングした「チーズダッカルビ」378円(税込)

「生地の色を生かしたシンプルなものもいいですが、上に何かのっているとかわいらしいし、楽しさも加わります。たとえば桜の季節の限定ベーグルは、桜パウダー入りの桜色の酒種生地に自家製桜あんとイチゴのセミドライ、クリームチーズを巻き込んで、トッピングには桜の塩漬け。トッピングが味や食感のアクセントにもなり、中身も想像しやすくなります」(佐々木さん)。

黒ゴマ生地に焼き芋を巻き込んだ「黒ゴマおさつ」はトッピングもさつまいも。かぼちゃ生地のベーグルにはかぼちゃの種をトッピング。季節のフルーツはコンポートにしたり、イチゴなどはコンポートにしてから100度のオーブンで乾燥させて、フィリング具材やトッピングに使っています。また、「紅麹リンゴカスタードダマンド」など表面にダマンドをかけて焼いたもの、ブラックカカオ生地の黒に粉糖をたっぷり振りかけてコントラストをつくったり、表面にひと工夫を加えることで、アイテムごとに違う表情が生まれます。

おいしくてインパクトもあり、カロリーや脂質、糖質は抑えめに

左から時計回りにレモン酵母生地の「ココナツパインサンド」「抹茶ガトーショコラきなこ大納言サンド」「バナナオレオケーキサンド」

バリエーションを展開するにあたり、こだわっているもうひとつの点はカロリーや脂質、糖質量を抑えめにしていること。
「おいしくて高カロリーな食べ物ならほかにいくらでもあります。うちでは白砂糖の代わりに天然甘味料の『ラカント』を使ってカロリーや糖質量を抑えたり、クリームチーズを豆腐クリチ(クリームチーズに水切り豆腐を混ぜたもの)にしたり、ベーグルの中に入れるチーズケーキやガトーショコラなどのケーキ系には大豆粉を使うなどで、なるべく種類の違う食材をバランスよく取り入れるようにしています」(佐々木さん)。

サンドは半分に切ったハーフサイズにして販売。間に具材やクリームをたっぷりはさんだボリューミーな断面はインパクト抜群です。フィリングを分厚くして、満足感ありつつも、豆腐クリームチーズにすることで重たすぎることがなくあっさりと食べられます。

「今後は、クリームチーズが苦手な方や、ヴィーガンの方にも食べてもらえるように、水切りした豆乳ヨーグルトとココナツオイルのバージョンもつくっていきたいと思っています」(佐々木さん)。

「ほうじ茶ティラミス」は、中にスイーツを巻き込んだベーグル。ほうじ茶生地の中に、自家製のおからシフォンケーキと粒あん、クリームチーズ、ホワイトチョコレート。いわば「和のティラミス」です。
「こうしたレシピのアイデアは、ケーキ屋さんやコンビニの人気のスイーツなどからもヒントをもらっています。『みんなが食べたいのはこういうスイーツなんだな、これをベーグルにしたらどうなるかな』とベーグルのレシピに落とし込んでいきます」(佐々木さん)。
白玉だんごや求肥、ずんだあんなど和の素材ともベーグルはとてもよく合います。

「いろいろな具材を巻き込んだり、サンドにしたりで、ベーグルの可能性は無限大。巻き込み系のベーグルは、ボリューム感と中にどんな具材が入っているかをお伝えしたくて、SNSには巻き込む前の画像も載せるようにしています。生地の上にたっぷりと具材をのせた状態もデコレーションの見せ方の1つ。どんなベーグルなのかイメージしやすく、食べてみたい!と思っていただく効果もあると思っています」(佐々木さん)。

「ほうじ茶ティラミス」518円(税込)
「ほうじ茶ティラミス」の具材

ME BAKE 平塚店(エムイーベイク)

辻堂と平塚、渋谷に店舗のあるマフィン専門店。ペーストや具材をふんだんに生地の中や、上にものせたマフィンは、スイーツ系と食事系合わせて90種以上あるメニューの中から1日に25~26種類が店頭に並びます。ラインアップは前日午後からウェブサイトとSNSでお知らせしています。

ME BAKE 平塚店(エムイーベイク)

住所
神奈川県 平塚市代官町10-14 ネオシティ湘南平塚1F
電話
0463-79-5099
営業時間
10:00~18:00 ※売り切れ次第終了
定休日
月曜、火曜
平塚駅から徒歩3分

あふれんばかりに具材を満載したマフィンたち

工房併設の店舗に、できたてのマフィンが並びます
平塚店スタッフの皆さん

朝10時のオープン時、カウンターには当日のラインアップがほぼ出揃います。さまざまな表情をしたマフィンがずらりと並ぶ光景は圧巻!どのマフィンも生地が見えないくらいにたっぷりの具材が盛り込まれています。代表の塩塚康太さんにお話を伺いました。

「一般的なマフィンは、生地に素材を混ぜて型に入れて焼きあげて出来上がり。混ぜる素材は違っても、見た目にはどれもあまり代わり映えしません。もともとうちはカフェを営んでいて、マフィンはカフェのメニューの1つでした。イベントへの出店依頼をきっかけに、見た目にもインパクトがあり、バリエーションがあって楽しい!と感じてもらえるマフィンを目指しました。通りがかった人が思わず立ち止まってしまうようなファーストインプレッションを大切にしてつくりこんでいます」(塩塚さん)。

長い時を刻んだような内装で、マフィンがより魅力的に映えます

見た目のインパクトだけなら、例えばレインボーカラーなどで派手にすることもできます。
「ただ、それだけではリピートにはなかなかつながりにくいと思います。まず、食べておいしいことは大前提です。そのために、生地はしっとりとした食感にとことんこだわってつくっています。具材はたっぷり使い、生地とのバランスがよく、罪悪感なくペロッと完食できること。そして素材の自然な色合いを生かしながら、いかに美しく見せるかを大切にしています」(塩塚さん)。

ベースとなるマフィン生地は、フランスパン用小麦粉「リスドオル」と国産小麦粉をブレンドし、パンに近いもっちり・しっとり感、表面はサクッとした食感を出しています。甘い系のマフィンに使う生地はプレーン、チョコレート、アールグレイ、抹茶の4種類。プレーン生地を使った食事系マフィンは、日替わりで3種類をラインアップしています。

「具材は自由な発想で、意外性があって思わず食べてみたくなる、興味をひく組み合わせにしています。味と見た目、両面からの完成度を上げるために、例えばトッピングのクランブルはアイテムに合わせて配合や大きさ、食感の異なるものをつくるなど工夫しています。うちのマフィンは1つ1つ、できあがるまでの工程がものすごく多いんです」(塩塚さん)。
「ダブルチョコレートオレオ」は、チョコレート生地の中に自家製チョコペーストを入れた、同店一番人気のマフィンです。トッピングのクランブルはココアを混ぜて大きめのゴツゴツした存在感のある形にし、さらに丸いオレオクッキーをアクセントに使っています。チョコレートの濃淡のある色合いに、仕上げに振った粉糖の白が映えます。
「温めるとフォンダンショコラのようにチョコがとろけ、マフィンを崩してチョコをからめながらお召し上がりいただくときのビジュアルもインパクト抜群です」(塩塚さん)。

「ダブルチョコレートオレオ」518円(税込)
食事系は日替わりで3種類

スタッフみんなで意見交換しながらつくりあげています

「メニュー開発は商品開発部が担当しますが、製造や販売スタッフとの意見交換も大切にして、みんなでつくり上げていきます。そして、つくり手たちに製造のシーンの動画や写真をどんどん撮ってもらっています。レシピやマニュアルに加えて、客観的に画像を見て共有することで、誰がつくっても同じ仕上がりにできますし、新しいアイデアも生まれます」(塩塚さん)。

食事系の「ホワイトフィッシュフライマフィン」は、アーモンドダイスを散らした白身魚フライに卵サラダとポテサラのタルタル、そこに塩レモンバターで酸味とコクを添え、ディルと赤いパプリカパウダーをアクセントにあしらいます。パプリカパウダーのラインの出し方も動画や写真で共有し、1枚の絵画のようにマフィンのビジュアルがつくられていきます。

「ハニーゴルゴンゾーラノワマフィン」は、プレーン生地の中にクルミとゴルゴンゾーラをたっぷり入れ、クランブルとプレッツェルをアクセントにのせて焼き上げてから、ハチミツをかけ、仕上げに添えたローズマリーの香りを効かせています。
「クルミとゴルゴンゾーラとはちみつ、甘じょっぱい黄金の組み合わせです。だけど、やっぱりここにはブラックペッパーがいるよね、どこに使おうか、とみんなで検討した結果、ブラックペッパー入りのクランブルを新たにつくることに。こうしてまた工程が増えていきますが、トータルでのおいしさを完成させるためには妥協できません」(塩塚さん)。

「ホワイトフィッシュフライマフィン」594円(税込)
「ハニーゴルゴンゾーラノワマフィン」594 円(税込)

人気の焼き菓子キャロットケーキをマフィンで表現したのが「キャロットケーキマフィン」です。生地にたっぷりの人参、自家製ラムレーズン、クルミやココナッツに食感のアクセントにイチジクを加え、ナツメグ・クローブ・シナモンの風味を持つ オールスパイスで癖になる味わいに。さらにカルダモン入りのレアチーズホイップに人参のシロップ漬けをのせて、スパイス香る、見た目にもかわいいマフィンに仕上げています。

「うちのマフィンは具材たっぷりで既製品のマフィンカップには収まりきらないため、1つ1つ、オーブンシートを型に敷いて焼いています。『ホワイトフィッシュフライ』のように、シートの両端をキュッとひねっているものは焼き上げ後に包んでいます。こんなところからも、人の手がかかったあたたかみ、見た目のかわいらしさを感じていただけたら、と思っています」(塩塚さん)。

「キャロットケーキマフィン」594 円(税込)
ボリューム感とともに、素材の美しさを引き出します

シナモンロール専門店 代官山uzu(ウズ)

2022年3月、代官山にオープン。素材にこだわった自慢のオリジナルシナモンロールをベースに、見た目がかわいくて華やかな、8種類のシナモンロールを揃えています。店頭で、いろいろなバリエーションの中から選ぶ楽しさがある、シナモンロールの専門店です。

シナモンロール専門店 代官山uzu(ウズ)

住所
東京都渋谷区代官山13-8
電話
03-6455-0939
営業時間
10:00~19:00 ※売り切れ次第終了
定休日
不定休
代官山駅から徒歩4分

渦巻が美しいシナモンロールのバリエーション

おいしさと見た目の楽しさもにもこだわった、シナモンロールが揃います
店長の青木慈正さん

店長の青木慈正さんは、アメリカ・シアトル発のシナモンロール専門店で長らくシナモンロールづくりに携わってきた「渦巻職人」。手のひらにおさまる、やや小さめのコロンとした丸い形、トップにかかったフロスティングから見え隠れする渦巻、見た目にも食感にもこだわったシナモンロールをつくっています。同店のシナモンロールのバリエーションとその魅力についてお話を伺いました。

「店名のとおり、こだわりは美しい渦巻と食感。ベースの生地は、仕込んでから一晩寝かせることで生まれる、しっとりもっちりとした食感が特長です。焼き上げたときにトップがきれいな山の形になるように、香り高いシナモンシュガーをたっぷりまぶした生地を締めながら巻いていきます。こうすることで、発酵過程で生地が絶妙な塩梅で空気を含んでほどよく膨らみ、ふんわりとして重すぎず、食べ応えもあるもっちり感が生まれるのです」(青木さん)。

生地に巻き込むシナモンシュガーは、カルダモンをプラスすることで香り高く、フロスティングは、粉糖にバターとクリームチーズをたっぷりと使い、濃厚な味わいに。焼きたての表面にフロスティングを塗って全体に浸透させ、冷めてからもう1回塗っていきます。
「2度塗りすることで、表面のフロスティングが見た目にもきれいに出ますし、より濃厚に。うちのシナモンロールは、召し上がる前にぜひ電子レンジで軽く温めていただきたいです。フロスティングが溶けてジュワッと生地にしみて一層おいしくなります。店頭では、すぐに召し上がるお客様には温めてお渡ししています」(青木さん)。

ラインアップは、定番がオリジナル他6種類。季節限定アイテムを2種類揃えています。「アップルシナモン」は、リンゴのコンポートをシナモンシュガーと一緒に中にも巻き込み、天面にもトッピング。リンゴの甘みがあるので、フロスティングは分量的にはやや控えめに、ラインを描くようにかけています。オリジナルの次に人気のアイテムです。

「コーヒー」は、フロスティングもコーヒーフレーバーに。アクセントに砕いたコーヒー豆を加えて、コーヒーが香り、ほろ苦いテイストに仕上げています。もともとシナモンロールはコーヒーとの相性がよく、絶妙なフレーバーです。

「オリジナルシナモンロール」380円(税込)
「アップルシナモン」420円(税込)

「いちごみるく」は、いちごジャムを混ぜたフロスティング。トップにはフリーズドライのイチゴをのせています。
「当店のシナモンロールは、常温で翌日までおいしく召し上がっていただけるように、生のフルーツではなくドライをトッピング。仕上げに粉糖を振りかけ、キュートなビジュアルに」(青木さん)。

「くるみ」は、ラインアップの中で、唯一フロスティングを掛けていないアイテムです。ローストしたくるみを中にも巻き込んで、表面にもトッピング。ラインアップの中では、甘さは控えめ、カリカリのくるみの食感と香ばしさを楽しめます。

シナモン風味のビスケットをトッピングに使った「ロータス&キャラメル」は、ギフトボックスに詰め合わせたときのアクセントにもなるアイテムです。

3個入り、6個入りのギフトボックスがあり、手土産にもぴったり
「くるみ」380円(税込)

季節限定には和風アイテムが登場

定番に加えて、季節ごとに変わるアイテムが2種類登場します。取材時は初夏限定の「抹茶ホワイトチョコ」と「黒蜜きなこ」。
「オープン時の春限定が『桜』と『あんバター』の和風路線でしたので、続く季節も和で揃えてみました」(青木さん)。
「『抹茶ホワイトチョコ』は、新茶の季節にちなんで、抹茶テイストのフロスティングを2度塗りしたあと、モンブラン風に線描きし、ホワイトチョコのコポー(薄く削ったもの)をトッピング。また、シナモンロールに『黒蜜きなこ』は、意外な組み合わせに感じるかもしれませんが、黒蜜はフロスティングとのなじみもよいですし、シナモンは意外となんにでも合わせることができる万能アイテム。『シナモン+〇〇』、いろいろな可能性が広がるのがシナモンロールの魅力であり、そこをうちの売りとしていきたいと考えています」(青木さん)。

「抹茶ホワイトチョコ」「黒蜜きなこ」各420円(税込)
「黒蜜きなこ」は黒蜜フロスティングを2度塗りしてから仕上げます
どれにしようか迷う楽しみも

「シナモンロールは、これまで白いフロスティングがたっぷりかかったすごく甘い食べ物!というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。選ぶ楽しさのあるラインアップを揃え、また、甘いだけじゃない、バター感やチーズ感も楽しめるバランスのよい味わいが当店の目指すシナモンロールの新しいスタンダードです。これまでシナモンロールはどちらかというと苦手、と思っていた方にも、ぜひ試していただきたいですし、そうした方も惹きつけるバリエーションとビジュアルの楽しさがあると思っています」(青木さん)。

シンプルなスコーン、マフィン、ベーグル、シナモンロールから、さまざまな工夫と斬新な発想で驚くほど多彩なアイテムが生まれています。各店のこだわりが詰まったバリエーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2022年5月)のものです

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