竹谷さんだから聞けるパン職人の理想と挑戦 お客様の生活に溶け込んだ「地域密着」の店づくりを目指しています ネモ・ベーカリー 根本 孝幸さん

前編 後編

竹谷
 ネモ・ベーカリーは東急目黒線武蔵小山駅から徒歩3分程の立地ですが、この地に開店した理由を教えて下さい。
根本
 300件近くの物件を見てまわりましたが、オフィスや学校が近くに無い事が魅力でした。
竹谷
 オフィスや学校に近い立地の方が来店を期待出来るのではないですか?
根本
 オフィスや学校のお客様は平日昼に偏ってしまいます。武蔵小山のような住宅街の駅前立地であれば、お客様の生活に溶け込む事が出来ます。私は地域密着の店づくりを目指しており、お客様にこの店を育てていただいています。
竹谷
 開店当初のエピソードがあれば教えて下さい。
根本
 パンの事をお客様に知っていただきたくて、自分が店頭でパンについて説明するようにしました。20人のお客様の顔と名前を覚えて、そして食べ方をアドバイスしてお客様から感想を聞けるようにしました。自分とお客様をつなぐのはパンですから、お客様のパンに対する評価を知りたかったのです。開業から2年間は、プライベートな休みは無かったですね。
竹谷
 まさに地域密着を実践してきたのですね。
根本
 店はカフェスペースと厨房をあわせて35坪です。スタッフは通常厨房4人、カフェ4人で運営しており、2013年12月で丸6年になります。軌道に乗ったのは3年目ぐらいですね。

ベーカリーだけでなく和菓子店でも技術を習得

竹谷
 製パン技術はどのように学んだのですか?
根本
 私はマザーグース、ピーターパン、ポンパドゥル、オーバカナル、アトリエ・ド・リーブで経験を積んできました。早く退社する日は他のベーカリーや和菓子店の厨房にも入り込んで色々学びました。
竹谷
 他のお店からはどんな事を学びましたか?
根本
 厨房で話を聞くだけでなく、あんパンやクリームパンを買って帰り、フィリングと生地それぞれを計量しました。割合の違いだけも、店それぞれのパンの個性が際立つものだと感じました。
竹谷
 和菓子店からも学ぼうというのは素晴らしいですね。
根本
 和菓子店ではベーカリーのように焼成を中心とした工程ではありません。例えば、蒸す工程や包餡技術を深く学ぶ事が出来ました。今でも黒糖は、粉末でなく和菓子店が使用する、より風味がある塊で使用しています。

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