竹谷さんだから聞けるパン職人の理想と挑戦-対談 大ヒット商品「珈琲あんぱん」を生み出した歴史と経験 ~地域の人への感謝と関わりを大切に~ エスプラン 塩田 一善さん

「竹谷さんだから聞けるパン職人の理想と挑戦」、今回は神奈川県鶴見区の名店「エスプラン」の代表・塩田さんにお話しを伺いました。大人気の「珈琲あんぱん」は、2009年に「パングランプリ東京」にて東京都知事賞を受賞し、TVや雑誌など数々のメディアに紹介されています。そんな大ヒット商品の生みの親である塩田さんにパン作りに対する想いを語っていただきました。

前編 後編

江戸時代から脈々と続く偉人の血筋





竹谷
 本日はお忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
塩田
 こちらこそ、ありがとうございます。竹谷さんとお話させていただけるということで、朝から緊張しておりました。
竹谷
 早速ですが、お店の歴史からお伺いしたいと思います。約400年の歴史ある家柄とお伺いしました。
塩田
 江戸時代に「覇王樹(さぼてん)茶屋」として歴史が始まります。先々代からは庭師や種の販売なども開始。実家がベーカリーである母が昭和27年(1952)にパンを買い売りする「シオダベーカリー」をスタートさせました。茶屋としては11代目、パン屋としては2代目となりますね。
竹谷
 由緒正しい家柄なんですね。
塩田
 日本で初めてイーストによる製パン法を開発した丸十の始祖・田辺玄平さんは私の母の叔父にあたります。
竹谷
 そうなんですか!こんな身近に偉人の血を引く方がいたとは驚きました。
塩田
 私も最近知って本当に驚きました。そして45年前に「エスプラン洋菓子店」となり、当時はまだパンと洋菓子を一緒に販売するというスタイルが珍しく、とても繁盛しました。
竹谷
 では、「シオダベーカリー」から数えると63年の歴史があるんですね。お店をリニューアルされたのはいつですか?
塩田
 10年前にリニューアルオープンし、現在の店構えになりました。現在は洋菓子を含め常時80種類を揃えています。

今の私を作っている出会いの数々



竹谷
 塩田さん自身がパン作りを始められたのはいつからですか?
塩田
 私は学生時代に長期休みを利用して「伊藤製パン」で修行しました。卒業後は阿佐ヶ谷の「ピーターパン」でも勉強させていただきましたね。当時工場長だった西村さんや、「Pasco」の土屋さんなどいろいろな人に出会えたことが、今の私を作っていると思います。
竹谷
 そうなんですね。私も西村さんは存じ上げていますが、勉強熱心でとてもいい方ですよね。
塩田
 はい、勉強と言えば竹谷さんの講習会はとても勉強になりました。毎回欠かさずに出席していました。
竹谷
 そう言っていただけるとうれしいです。ありがとうございます。従業員さんは現在何名いらっしゃるんですか?
塩田
 現在はパートを含めて18名です。一番長い職人は8年間勤めていますね。長く働いているパートさんにはお客さんがついてくれています。
竹谷
 とてもいい従業員さんが揃っていますね。とくに長く働いてくれるパートさん、職人さんはありがたいですよね。新しい商品はどのように開発されているんですか?
塩田
 ミーティングの時に試食を出します。それを従業員全員で食べてみて、意見を言ってもらいます。製造側と、販売側の意見を合わせて、販売するかしないかを3代目の息子が判断します。
竹谷
 販売側の意見を大事にすることをおすすめします。どうしても製造側の意見は面倒な工程を排除してしまいがちですよね。
塩田
 はい。ときおり厳しすぎる意見も出ますが、貴重なことだと思いしっかりと受け止めております。
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