紹介してくれた人

株式会社新橋玉木屋
企画担当 酒井 和歌子さん
新橋本店 店長 河鍋 知平さん


「新橋玉木屋」は、江戸時代の天明2年(1782年)から続く江戸前つくだ煮の老舗。近年では、つくだ煮づくりの技を生かした半生タイプのふりかけなど新しい商品も次々に登場し、話題を呼んでいます。新橋本店には、昔ながらの量り売りのつくだ煮を始め、200種類以上ある同社商品すべてを揃えています。お2人とも同社で10年以上のキャリアを重ねた、つくだ煮・ふりかけの達人。ごはんのお伴だけにとどまらない、つくだ煮やふりかけの魅力とおいしい食べ方をお客様にご紹介しています。

おすすめの組み合わせ

シンプルなチーズトーストに、しっとりミートソースのふりかけがコクをプラス
世界のふりかけ イタリアントマト+食パン+溶けるチーズ=ピザトースト

当店は、ここ30年にわたって毎年新しい商品をラインアップに加えています。9代目に当たる現社長自身が主婦としての経験や女性目線を活かして商品企画を行っています。時代の流れに合わせて、新しいライフスタイルにマッチした商品をつくっていくことが必要ですし、昔からのお客様に愛されているつくだ煮の味も大切に守っていきたいと、全体のバランスを見ながら少しずつ新しいものを加えてきました。中でも半生タイプのふりかけは、つくだ煮と並ぶ人気商品の1つになっています。

今回、パンと合わせるおすすめの1品は「世界のふりかけ イタリアントマト」です。当店のふりかけは、素材を煮詰めてほどよく水分をとばした後、乾燥をかけて保存性を高めつつも、しっとりした食感を残してあります。手づくりした料理のおいしさをそのままぎゅっと凝縮したようなふりかけです。
「イタリアントマト」は、昔懐かしいミートソースのテイスト。家庭でミートソースをつくるのと同様に、スライス玉ねぎをじっくり炒め、肉と野菜とイタリア産のトマト、ドライトマトを合わせて煮込んだ後、半生状態に加工。2種類のトマトがやさしい甘みと酸味を醸し出し、隠し味にピリ辛の豆板醤がアクセントを添えています。
食パンに溶けるチーズをのせてトーストし「イタリアントマト」をトッピング的にふりかけてみてください。シンプルなチーズトーストがコクの深いピザトーストに早変わりします。

実は、発売当初は、あさりや山椒しらすといった定番の和風ふりかけの商品棚に、ポンと1つだけ「なぜか洋風のミートソースが紛れ込んでいる?!」といった風情で、なかなかお客様に受け入れてもらえませんでした。商品を中止にしようかという話も出ていたところ、2010年に雑誌のふりかけグランプリで紹介されたのがきっかけになり、一気にブレーク。現在までに「世界のふりかけシリーズ」として、ベーコンエッグやグリーンカレー、トムヤンクンなど10種類をラインアップしています。いずれも世界の料理のおいしさをそのままに半生のふりかけにしてあり、「サッとふりかけるだけで、白いごはんが世界の料理に変わる」がキャッチフレーズです。ごはんの代わりにパンやパスタ、サラダのトッピングなど、アイデア次第でさまざまなメニューを楽しんでいただけます。

パンにもパスタにも合う「世界のふりかけ」シリーズ

私のお店のおすすめ

つくだ煮づくりの技を生かした、いちじくのグラッセ
「いちじくグラッセ」ふっくらとグラッセした大粒のいちじくが2個入っています
店内には約300種類のつくだ煮、ふりかけ、魚の姿煮などを揃えています

伝統の技法でつくる当店の江戸前つくだ煮は、キリリと辛口に炊きあげてあるのが特長です。その昔、ノーベル賞受賞直後に来日された物理学者アインシュタインさんが、料亭のお弁当に添えてあった当店の細切り昆布の佃煮を召しあがり、いたくお気に召された、というエピソードも伝えられています。北海道産の昆布でつくる「細切昆布」のつくだ煮は、パッケージ入りのほか、新橋本店では量り売りもしています。

「江戸時代から続くつくだ煮屋」というと、お醤油色のつくだ煮が並んでいる地味なイメージがあるかと思いますが、店内に入られたお客様は、パッケージもカラフルに、さまざまな商品が並んでいることに驚かれます。現代の健康志向に合わせて、素材のおいしさを活かしたうす味・淡い色合いに仕上げたつくだ煮も揃えていますし、鮎や姫ニシン、鯵などを尾頭付きで煮あげた「姿煮」なども好評です。北海道で水揚げされた新鮮なサンマを筒切りにし、トムヤンクンペーストを加えた特製トマトソースでちょっとアジアンテイストに仕立てた「秋刀魚トマト」などは、クラッカーやバゲットにのせてお酒のおつまみにもぴったりです。

そして、ぜひお試しいただきたいのが「いちじくグラッセ」です。つくだ煮屋でフルーツのグラッセとは、意外に思われるかもしれませんが、2003年の発売当初の商品名は「いちじくの甘露煮」。国内の産地から取り寄せた、旬の新鮮なイチジクの果実をシロップでふっくらと炊きあげてあります。当社の商品は、原料調達から製造、パッケージまでをすべて自社で行っており、自然な素材を工場の大鍋で、保存料は一切使用せずに煮あげています。鍋の前に職人がつきっきりになって、大きなヘラで鍋をかき混ぜながら素材の姿を崩さないように丁寧に、中までふっくらと味を含ませていく、昔ながらの手づくりです。つくだ煮づくりの技はグラッセにももちろん生かされています。風味付けにワインやブランデー、蜂蜜、レモン果汁、リンゴ果汁を使って洋風にし、「甘露煮」から「いちじくグラッセ」としてリニューアルしました。
このままスイーツとして召し上がっていただいてもいいですし、イチジクは酸味のあるものと相性がいいですから、フレッシュチーズに添えていただくと、チーズの濃厚な味わいにイチジクのやさしい甘さが絡み、よりふくよかな味わいになります。また、クロワッサンに薄切りにしたいちじくグラッセとクリームチーズをサンドするのもおすすめです。

残ったシロップは、ヨーグルトにかけたり、炭酸水で割ると爽やかなドリンクに。暑い季節には、パッケージごと冷凍庫に入れて、シャーベットのようにしてもいいですし、乳製品全般とも相性がいいので、アイスクリームや生クリームを添えるだけで、おいしく、素敵なスイーツになります。
「いちじくグラッセ」は使い道が本当に幅広くて、過去にはベーカリーとのコラボでパンの具材になったり、和菓子屋さんといちじく大福をつくったこともあります。
フレッシュいちじくの旬はとても短いですが、グラッセをストックしておけば、いつでもアイデア次第でいろいろなメニューを楽しんでいただけると思います。急なお客様のおもてなしにもおすすめです。

昔ながらのつくだ煮量り売りも お酒のおつまみにぴったりの「秋刀魚トマト」

店舗情報

店舗外観写真
店名
新橋玉木屋 新橋本店
住所
東京都港区新橋1-8-5
TEL
03-3571-2474
営業時間
10:00~19:00(7月、12月は~19:30)、 土曜・日曜・祝日 10:00~18:30
定休日
なし
URL
http://www.tamakiya.co.jp/

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