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“焼きたて、揚げたて、
つくりたて”の味
ここにしかないパンを届けたい
vol.37 ダンマルシェ朝霧台店 中市 晃成氏

明石市、神戸市エリアで10店舗を展開するダンマルシェ。明石市郊外の住宅街にある朝霧台店は、平成16年にオープン。朝霧台店の自慢は、本場スペインの職人が組み上げた石窯。その石窯で焼き上げたハード系パンや、食パン「大地」を求めて多くの常連客が車でやってくる。天気のよい日は外のテラス席で“焼きたて、揚げたて、つくりたて”のパンを味わうのも楽しみのひとつだ。

3つの「たて」と材料にこだわり

ダンマルシェではパンは“焼き立て”、ドーナツ類は“揚げたて”、サンドイッチなどは“つくりたて”の新鮮な美味しさにこだわり、1日に3~7回の“3たて”商品が売場に並ぶ。また店舗内で生地から焼き上げまでの工程を一貫して行うスクラッチベーカリーであることにも、誇りとこだわりを持っている。手間も人手もかかるが、お客さまがいつ訪れても満足できるように、毎日職人たちが愛情を注いでパンづくりに取り組んでいる。

材料へのこだわりもダンマルシェならでは。小麦粉は安定した味が提供できるようカナダ・アメリカ・オーストラリア産の良質な粉に、国産小麦・フランス産小麦などをブレンド。ダンマルシェの看板商品ハード系食パン「大地」には、高野山の湧き水「金水」と温泉水「銀水」をブレンドしたミネラルウォーター「月のしずく」を使用している。
さらにカレーフィリング、カスタードクリームや餡、ピザソースなどは自家製造。すべてのパンにミネラル豊富な淡路島の藻塩を使用し、ソーセージやベーコンは、ドイツのマイスターを習得した職人に特別につくってもらっている。

ルーツは淡路島の和菓子店

ダンマルシェのルーツは、大正13年に淡路島の洲本市で創業した和菓子店。中市氏の曾祖父が和菓子の移動販売を始め、祖父の代で明石市へ進出。その後、現在の社長と専務兄弟がパンを焼き始め、昭和60年に西明石駅前に初めてのベーカリー「ダンマルシェ」を出店した。以来明石市・神戸市を中心に事業を拡大してきたが、法人名は今も「中市大福堂」のままだ。
「パン屋を始めた理由は聞いていませんが、和菓子だけでは厳しかったのではないでしょうか」と中市氏。社長の三男にあたる中市氏の現在の肩書きは、朝霧台店の製造チーフ。専務である叔父はダンマルシェのパン職人のリーダー的存在。上の兄は銀行員を経て会社の経営を、次の兄も本社で事務を担当し、家族で会社を支えている。
「後を継いで欲しいと言われたことはないけど、兄ふたりがパン職人にならなかったので、自分が継ぐしかないかなと思いました」と話してくれた。

祖父の言葉で、パン職人の道へ

大学進学を控えていたとき、祖父から「大学を出たらその先どうするんや?」と聞かれた中市氏。大学で「これをやりたい」ということもなかったため、神戸製菓専門学校・製パン本科に進んだ。
「専門学校は楽しかったです。初めてのことばかりで新鮮でしたね。けれど最初に先生から『ダンマルシェの社長の息子』と紹介されてしまって、ハードルが高くなって困りました。それまでパンどころか、料理も一切していなかったので」と中市氏は笑う。
卒業後3年間、ホテルオークラで働いた。ホテルの朝食に間に合わせるため、深夜12時に起きて仕事に行くのはつらかった。披露宴など大きな宴会が入ると、前日の夜11時から準備に入ることもあった。
最初のころは仕事ができなくて、シェフに「センスがない!早くしろ」と叱られてばかり。複雑な思いで働いていたが、「任されること、できることがひとつずつ増えていくことで、モチベーションを保つことができました」と当時を振り返る。
オークラでは食パン生地の丸め方が独特で、先輩をつかまえて居残り練習もした。シェフに「できたな」と言われたときのうれしさは、今も心に残る。厳しかったシェフの言葉が、今になってとても理解できるという。

ここにしかない味、ここにしかないパン

ダンマルシェ朝霧台店の人気No.1は、「牛肉ゴロゴロカレーパン」180円(税別)。コトコトと3時間煮込んだ自家製カレーが詰まったカレーパンは、1日に何回も揚げているので、いつでも揚げたてが味わえる。
人気No.2のハード系食パン「大地」1本460円(税別)は、ミネラルウォーター「月のしずく」100%で仕込んだ看板商品。石窯を使って短時間で焼き上げるので、外はパリッ、中はもちっとした食感だ。
「塩バターパン」150円(税別)は人気No.3。食パン「大地」の生地を使い、淡路島の藻塩とたっぷりのフレッシュバターの風味がたまらない。

焦がしバターを使った少し茶色っぽいビス生地に、バターエッセンスを加えて香ばしさを引き出した、「焦がしバターのメロンパン」は160円(税別)。窯をあけた瞬間、バターの香りがふわりと広がる。
「窯焼き明太子」1本360円(税別)、ハーフ180円(税別)は、昨年末からの新商品。外さっくり、中ふんわりに焼き上げたフランスパンに、明太子バターを挟み、上からも塗っている。注文を受けてから焼くサービスも好評だ。

中市大福堂では、今も和・洋菓子の製造販売を続けており、ダンマルシェの店頭でも季節の和菓子や洋菓子が販売されている。桜もちをまるごと1個デニッシュで包んだ「もっちりまるごと桜もち」190円(税別)など、和菓子とパンのコラボにも挑戦している。

ひとりのパン職人としての挑戦は続く

中市氏は自身の性格を負けず嫌いだという。「朝霧台店の商品がいちばんキレイに焼き上がっていると、わざわざここまで買いに来てくださるお客さまもいます」焼きでは誰にも負けないと、自分の仕事に絶対の自信を持ちたいし、チャレンジしないといけないと思っていると話してくれた。
技術を磨くために、パングランプリ兵庫のパンコンテストに参加したり、2014年10月の第5回モンディアル・デュ・パンにも挑戦した。モンディアル・デュ・パンでは日本代表を決める最終選考会に残り、休みの日も一生懸命、飾りパンの練習をした。大変な経験だったが、得るものも大きかった。審査員を務めたパリゴの安倍竜三シェフとも縁を深め、今も講習会の案内などが届く。

「叔父は福盛シェフの“ムッシュf製パン技術訓練塾”で、安倍さんと同期だったんです。そんな縁もあって福盛先生も梅田にうちの店があったとき、ときどき顔を出してくれました」
福盛氏の紹介で、叔父と一緒にランス地方のパン屋へ勉強に行ったこともある。
「本場に行ってみて、製法も全然ちがうし、職人の手早さにも驚きました」1日にバゲットを1000本も焼く工房や、街中で普通にバゲットをかじっている人がいる環境は、中市氏にとって刺激的だった。

製造チーフとして
「ここにしかないパン」を目指す

朝霧台店で窯の担当になって約5年。「窯担当は店の全体が見えるポジション。店舗にパンを運ぶのでお客さまの様子がわかるし、焼く前のパンを見ると製造の状況も見えるんです」と中市氏。大手メーカーと勝負するには、極力手づくりにこだわって、大量生産したパンとの差別化が必要だと考えている。
「製造チーフとして、ダンマルシェのパンを進化させていきたい」と夢を語る中市氏だが、「職人たちはみんな個性を持っていて、元有名チェーンの店長から、高校時代からバイトをしていた人もいます。10店舗もあると品質の統一も難しいですね」とも。

朝霧台店の名物である石窯は火通りがいいので、ハード系のパンに向いている。石が出す遠赤外線により、小麦のもつ旨みと香ばしさを引き出し、もっちりとしたパンが焼ける。燃料はガスなので一定の温度を保つことができる一方、成型したパンが一定でないと焼き上げの見極めが難しくなる。
石窯のパンを求めて、遠く神戸三宮から来るお客さまも。「やっぱり他とは違うね」「昨日のパンは美味しくなかったね」と常連さんから声をかけられることもある。リピーターの多い食パン「大地」を毎日買う人には違いがわかるのだ。そんなときは「どこが違いましたか」と聞いて改善につなげている。
目標は「ダンマルシェに来たらこういうパンがある」と言われるお店。会社の将来を担う若きリーダーの活躍から目が離せない。

中市 晃成氏

パン・和菓子・ケーキの製造販売を行う株式会社中市大福堂の4世代目。神戸製菓専門学校製パン本科を2007年3月に卒業し、19歳から働き始め現在32歳。ホテルオークラで修業の後、ダンマルシェに入社。店名のダンマルシェは、フランス語の「マルシェ(市場)」と「ダン(○○の中へ)」を合わせ「さあ市場の中へ」という意味。フランス語で「中市」の姓を表現している。
第5回モンディアル・デュ・パンの日本代表を決める大会に出場、最終選考会に残る。現在は朝霧台店の製造チーフとして、ダンマルシェの味を守っている。昔はパン屋めぐりを兼ねた旅行が楽しみだったが、今は3歳の子どもと公園で遊ぶのが至福の時間だという。

ダンマルシェ朝霧台店

郵便番号
673-0028
住所
兵庫県明石市朝霧台3783-136
最寄駅
JR山陽本線「朝霧駅」または「明石駅」
アクセス
朝霧駅から徒歩約20分、または明石駅からバスで約10分
電話
078-555-7711
営業時間
月~金 8:00~19:00、土・日・祝 7:00~19:00
定休日
無休

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2020年5月)のものです

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2020年5月)のものです

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