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旅行気分を楽しみたい! アジアのパン

コロナ禍で海外旅行が制限される中、身近な食でプチ旅行気分を楽しむのも1つの方法です。今回は、台湾·ベトナム·韓国の代表的なパンやサンドイッチをラインアップに取り入れているお店を紹介します。

阿美(AMEI)パン

台湾人店主の游政豪(ユ・チェンハオ)さんが切り盛りするベーカリー。バゲットなどフランスのパン、あんぱんなど日本のパン、そして台湾のパンを揃えています。台湾みやげで定番の焼菓子「パイナップルケーキ」や10年間種を継ぎ続けている自家製酵母を使った「カンパーニュ」も不定期に登場します。

阿美(AMEI)パン

住所
東京都品川区中延5-9-10 村本ハイツ 1F
電話
03-6426-4159
営業時間
10:00~18:00 ※売切れ次第終了
定休日
月曜、火曜
荏原町駅から徒歩2分

ふんわり菓子パン生地でつくる台湾のパン

台湾の代表的なパンをラインアップ
店主の游政豪(ユ・チェンハオ)さん

店主の游政豪(ユ・チェンハオ)さんは元パティシエ。日本のパンに出会い、台湾DONQで修業後に来日。10年間さまざまなベーカリーで腕を磨いたのち、2020年12月に同店をオープンしました。

台湾と日本のベーカリーを熟知した游さんに、まずは台湾のパンとは、どんな特長があるのか、お話を伺いました。
「日本でいう『台湾のパン』とは、昔からある伝統的なパンのことだと思います。現代の台湾のベーカリーは、日本と同じくフランスのものが中心ですが、ネギパン、ローソン(肉鬆=肉でんぶ)入りのロールパン、粉乳とバターの甘いペーストを入れたナイスなど、昔からあるパンも置いている店が多いですね」(游さん)。

売り場には、台湾のパン、日本のパン、フランスのパンが並びます

游さんの店でも、いずれは台湾のパンをラインアップの中心にしていきたいそうですが、いきなり食べ慣れないパンばかりでは日本のお客様が戸惑うかと、今は全体の2割程度に抑えているそう。

「昔の台湾のパン屋は、菓子パン生地だけを使っていろいろなパンをつくっていました。ほんのり甘くて食べやすいですし、同じ生地を使えば作業性もいいからです。当店の台湾のパンも菓子パン生地を使ったものが多いです。素材は極力現地のものを使い、どうしても手に入らない場合は、なるべく現地の味に近い、日本のものを探しています」(游さん)。

ネギパン230円(税込)

例えば「ネギパン」は台湾ではどこのパン屋にも置いてある定番中の定番で、菓子パン生地の上に刻んだ青ねぎをのせた、シンプルな塩味のパンです。
「台湾のネギは焼くと甘みが強くなります。日本のネギをいろいろ試してみましたが、どうしても辛味やネギくささが残ってしまいました。九条ネギを使うことで台湾の味に近づけています」(游さん)。

「台湾タロイモパン」は、游さんの故郷・台中大甲のタロイモでつくった自家製餡のあんぱんです。「タイやインドネシア産が日本のサトイモに近いねっとりした食感なのに対して、台湾のタロイモはほくほくした食感。沖縄産の田芋に白あんを混ぜたら、近い感じにはなりましたが、台中大甲から念願のタロイモが入手できるようになり、ほっこりとしたやさしい甘さのあんぱんができあがりました」(游さん)。

「葡萄奶酥(ナイス)」は、脱脂粉乳、バターと砂糖を練ったペースト(奶酥)とレーズンの入った菓子パンです。奶酥は現地の家庭でもよくつくられている、砂糖と粉乳の甘みが際立つペーストのことです。

「台湾タロ芋パン」260円(税込)
「葡萄奶酥(ナイス)」220円(税込)

台湾の最近のトレンドも、伝統的なおかずパンもご紹介

「ローシャ」280円(税込)

台湾の伝統的なパンの、もう1つの特長は生地にラードを使うことですが、近年は、健康志向や嗜好の変化に合わせてラードのかわりにバターを使う店が多くなっています。バターを使ってここ10年くらい台湾で新たなトレンドになっているのが台南発祥の「ローシャ」です。バターをたっぷり使った濃厚なパンで、有名店がこぞって手がけ、こだわりの「ローシャ」をつくっているそう。

「当店のローシャは、生地に水を使わず、バターや卵、牛乳を使ったリッチな味わい。さらに焼いている途中で、3回くらい表面にバターを塗ります。窯温度が下がらないようにスピード勝負でさっと塗ることが大事。パンの底のほうは焦がしバターの香り、上のほうは生地にしみこんだバターが香ります。ほんのり甘い生地に有塩バターの塩気のバランスもよいです」(游さん)。

ローシャはシンプルに生地そのもののおいしさを味わうのが基本ですが、最近の台湾では、チョコレートなどのフィリングを入れたり、チーズをのせて焼いたものなど、ローシャのバリエーションが増えているそう。

「ネギローソンサンド」360円(税込)

「ネギローソンサンド」のローソン(肉鬆)とは、ふんわりとしたそぼろ状の肉でんぶのこと。お粥やごはんにのせて食べる甘辛い味のおかずで、コッペパンに甘いマヨネーズを塗って、その上にローソンをのせて食べるスタイルも、台湾ではとてもポピュラーです。

「当初は中に具を詰めたロールパンにしていましたが、ローソンがポロポロこぼれて食べづらいので、菓子パン生地を大きく焼いて、三角形のサンドにしました。ローソンは数日かけて仕込む大変手間のかかるもの。やわらかくてスジの少ない豚ヒレ肉を使い、丁寧に下ごしらえしてから3~4時間やわらかく煮込み、冷ましてから手でこまかく裂いて、焦がさないようじっくりと炒って水分をとばしていきます」(游さん)。

パン生地づくりはもちろん、素材の選定から具材の仕込みまで、すべてを1人で手がけている游さん。台湾の焼き菓子「パイナップルケーキ」は不定期に店に並びます。1回につくるのは200個が限界ですが、SNSで告知するとあっという間に売り切れるそう。サクッとした一口目の食感のあと、口の中でスーッと溶けていくタルト生地を感じ、パイナップルのおいしさがギュッと凝縮されたコンフィチュールと混ざり合います。

「台湾のパンの代表的なものは揃えていますが、日本の皆さんに紹介したいものは他にもまだまだたくさんあります。粗びきの肉感たっぷりな、ちょっと甘い味つけの台湾のソーセージは、ハード系のパンと好相性。これも今後のラインアップにぜひ加えていきたいアイテムです。

バターが香る「台湾メロンパン」230円(税込)
「パイナップルケーキ」は不定期に登場

最近日本でも人気の『焼餅(シャオピン)』は、台湾では朝食の店で出す、どちらかというと点心に近いもの。パン屋では普通は出していないですが、日本で店をやるならそれもあったほうが、‟ザ・台湾” という感じにはなりますね。また、パイ風の焼き菓子『酥』も、ちょうどタロイモも手に入ったところですし、ぜひつくっていきたいです」 (游さん)。

四ツ谷一餅堂(よつやいっぴんどう)

四ツ谷駅からすぐの路地裏に、通りに面したウッドテラスのあるカフェが「四ツ谷一餅堂」です。毎朝、大豆をしぼってつくる自家製の豆乳や台湾のパン、焼き菓子で台湾式の朝食やティータイムを楽しめます。台湾夜市の名物「胡椒餅(フージャオピン)」の焼き窯を店内に備え、焼きたてを提供しています。

四ツ谷一餅堂(よつやいっぴんどう)

住所
東京都新宿区四谷1-17-8
電話
03-5639-9292
営業時間
8:00~15:00
定休日
日曜、月曜、木曜
四ツ谷駅から徒歩5分

専用の窯で焼く、台湾屋台の人気メニュー「胡椒餅」

「胡椒餅」テイクアウト486円/イートイン495円(各税込)
オーナーの浅古崇之さん

タピオカドリンクのブームを経て、台湾の食に注目が集まっています。観光で訪れて、すっかり台湾ファンになったという人も少なくありません。毎朝8時オープンの同店にも、自家製の豆乳や、朝食メニューの「焼餅夾蛋(シャオピンジャーダン)」、11時から提供の「胡椒餅」などを目当てに、たくさんのお客様が訪れています。

「実は私自身も台湾を50回以上訪れ、とくにはまったのが胡椒餅で、各地を食べ歩きました。コロナ禍で旅行にも行けない中、胡椒餅をはじめ、皆さんに台湾の食を楽しんでもらおうと、2020年10月に当店をオープンしました」とお話しくださったのはオーナーの浅古崇之さん。

胡椒餅は、タンドール窯を改造した窯で焼きあげます

同店の胡椒餅は、台湾南部の嘉義(かぎ)市の店の味を再現しています。数多くの胡椒餅を食べ比べた中で、浅古さんが「いちばん日本人の好みに近いのはこれだ!」と直感したもの。現地と同じく、窯で焼きたてを提供できるように、タンドール窯の業者に頼んで胡椒餅専用に窯を改造してもらいました。ナンと同じように窯の内壁にぺたりと貼りつけて250℃前後で16分ほどかけてじっくり焼きあげる、こだわりの一品です。

レシピ開発を担当しているのはスタッフの高野さんです。パンづくりには長年取り組んできましたが、実は胡椒餅は食べたこともなかったそう。台湾出身の方が公開しているレシピなども参考にしながら何度も試作を重ね、浅古さんのイメージどおりの胡椒餅に仕上げました。

生地は強力粉と薄力粉をブレンドしたイースト発酵生地です。ふんわりやわらかなパンよりも、むしろハード系に近い、ザクザクした食感をめざしたそう。こねた生地に油生地(小麦粉とラードを混ぜた生地)を合わせ、分割後、長く伸ばした生地をクロワッサンのように巻いてから両端を合わせて閉じます。

具材を包む前の生地の綴じ目
内側にして平たく伸ばし、具材を包み込みます
高温の窯でバリッと香ばしい焼きあがりに

具材の豚肉は、前日から下味をつけておき、五香粉などのスパイスは、香りを活かすために当日加えます。ほどよく発酵した生地に豚肉と青ねぎを目いっぱい包んでたっぷりゴマをまぶし、窯の壁にぺたりと貼り付けて焼きあげます。

「具材を包む前の生地を巻いて両端をあわせた形にするのは、肉汁がもれだすのを防ぐため。焼いている途中で具材から水分が出ると、窯の壁から滑り落ちてしまいます。これでもか、というくらいに具を詰めますから、生地の層がパンの表面に現われないように成形することと、発酵が進みすぎないようにタイミングよく窯に入れることが大切です」と高野さん。

一度に20個くらい焼きますが、生地のつくりおきはできないため、窯1回分ずつの生地を順次仕込んでいきます。ちょうど窯に入れたばかりだと、お客様は15~16分待つことになりますが、その分、熱々の焼きたてを召し上がれます。

朝食に「焼餅夾蛋」。ティータイムの焼き菓子も充実

「焼餅夾蛋」 テイクアウト324円/イートイン330円(各税込)

「焼餅(シャオピン)」は、薄く伸ばしたパン。こちらは中力粉のみを使い、熱湯で練ったもちもちの生地に、小麦粉とサラダ油の油生地を重ねて3つ折りにした、発酵をとらないパイ風の生地です。

細長く伸ばしてゴマをまぶした生地を窯で焼いた「芝麻焼餅(ジュ―マーシャオピン)」に、豆乳入りの卵焼きをはさんだ「焼餅夾蛋(シャオピンジャーダン)」は、練乳の甘みが特長の自家製台湾マヨネーズと、日本では入手困難な台湾産とろみ醤油が隠し味。朝食限定メニューのため提供は11時までです。

鹹豆漿(シェントウジャン)」テイクアウト540円/イートイン550円(各税込)

「鹹豆漿(シェントウジャン)」は、黒酢を効かせた塩味の豆乳スープ。同店の豆乳=豆漿(トウジャン)は、良質の国産大豆100%を使い、毎朝お店で絞っています。今の時期は滋賀県産大豆「福豊」を使用。台湾の豆漿より濃厚で、豆の甘みを楽しめます。

たっぷりの黒酢を加えた豆乳はトロトロの食感に。干しエビやザーサイ、ネギ、中国風揚げパンの油条(ヨウ ティァオ)をトッピングして、ネギ油とラー油の香りをプラス。油条は中力粉にベーキングパウダー、重曹、イスパタを混ぜ、一晩寝かせてから油で揚げたもの。「ドライイーストを使う方法も試しましたが、よりたくさん空気を含んで、サックリ軽い仕上がりをめざして、今のレシピになっています」と高野さん。

このほか、台湾茶のお伴に焼き菓子も充実。嘉義市の名物「方塊酥(ファンカイスー)」やピーナツヌガーの「花生酥(ホアシェンスー)」などのスクエアクッキー、餡入りの球形のパイ「酥(スー)」、パイナップルケーキの「鳳梨酥(オンライスー)」などが揃います。
「酥」は、バターを使った外生地にラードと薄力粉、天然由来の色素を使った油生地を折り込んでつくったパイ生地です。中に餡を包んで、全体的に甘さは控えめ、2色の淡い色彩の層が繊細な仕上がりです。主に金曜、土曜の販売で、この日は紫いも餡の「紫芋酥(ズーユースー)」やかぼちゃ餡の「南瓜酥(ナングァースー)」などが並んでいました。

オープンから半年余り、出勤前の朝食に利用される常連のお客様も増え、台湾の食と寛ぎの空間は、四ツ谷の街にしっくりと溶け込んでいるようです。

手前から「鳳梨酥」「紫芋酥」「南瓜酥」それぞれテイクアウト324円/イートイン330円(各税込)
台湾のスクエアクッキー

Hung's Kitchen (ホンズ・キッチン)

2021年2月にオープンしたフォーとバインミー専門店。バインミーはオープン当初からの4種類のメニューに、新メニューも随時加わっています。ベトナムビールの333(バーバーバー)や、ベトナムコーヒーもあり、店主とは日本語、ベトナム語、英語、広東語での会話も楽しめて、ちょっとした海外旅行気分を味わえます。

Hung's Kitchen (ホンズ・キッチン)

住所
東京都大田区西蒲田7-5-3 かわりやビル 1F
電話
03-6715-9584
営業時間
月曜~土曜11:00~20:00、日曜11:00~15:00  
定休日
不定休
蒲田駅から徒歩2分

自家製パテや肉のローストが魅力のバインミー

手前から「豚のチャーシュー・バインミー」「ベトナムハムのバインミー+ミックスハム」「レモングラスチキン・バインミー」
店主のホンさんと真奈美さんご夫妻

バインミーは、バゲットに具材をたっぷりはさんだベトナムのサンドイッチ。フランス統治時代を経たベトナムで、フランスとアジアの食文化が融合して生まれたメニューともいえます。オーナーシェフのホンさんはホーチミン市出身。10代、20代をアメリカで過ごし、複数のインターナショナルスクールのレストランで働く中、さまざまな国の料理に出会い、腕を磨いてきたそう。ホンさん、真奈美さんご夫妻にお話をお聞きしました。

「ベトナムでは街のあちこちにバインミーのスタンドがあって、日本で言ったらコンビニのおにぎりのような、いつも身近にある、日常の食べ物です。現地では、バゲットにチャールア(ベトナムのハム)やパテとなますをはさんだだけの素朴なものが多いですが、肉や魚介などを使ったさまざまな料理を具材に取り入れて、バリエーションを広げることができます。そして、小さな規模の店でお客様の反応を見ながらやっていくのにはうってつけのメニューでもあるのです」(ホンさん)。

また、ホンさんはアマチュアではありますがビリヤードの名手で、蒲田はビリヤード店が多く集まるエリア。蒲田駅から近く、店の目の前には東京工科大学蒲田キャンパスがあり、飲食店が多数集まる賑やかさも気に入って、通い慣れたこの土地での開業を即決したそう。

「豚のチャーシュー・バインミー」テイクアウト・イートインともに750円(税込)
具材を引き立て、パンの美味しさも味わえるものを厳選

バインミーのメニューは、オープン当初からの「豚のチャーシュー・バインミー」「レモングラスチキン・バインミー」「エッグ・バインミー」に、新たに「ベトナムハムのバインミー」「ミートローフ・バインミー」を加えた5種類です。

「パンは自家製ではありませんが、かなりこだわって選びました。フレンチバゲットではかみづらいし、ベトナムでバインミーに使うパンは、中がスカスカと軽すぎて、パン好きの日本の方には少し物足りないと感じたのです。温めるとパンの表面はパリッとして歯切れがよく、主張しすぎないけれどクラムのおいしさも楽しめる、そんな理想のパンを近くのパン工場でつくってもらっています」(真奈美さん)。

メインの豚肉や鶏肉のロースト、レバーパテ、大根とにんじんのなますなど、ほとんどの具材は自家製です。ベトナム本場の味を忠実に再現、というよりは、フレンチやイタリアン、中国料理など自身が経験してきた各国料理からいいとこどりをして味をつくっているそう。たとえば、パンに塗るレバーパテは、フレンチ風の繊細な口当たりに、ほのかにアジアン系のスパイスが香ります。また、バインミーの味つけには、ナムプラーの香りが強すぎると食べづらく感じる方も多いので、ほどよい加減に日本のしょうゆを使うなどの工夫も。

「レモングラスチキン・バインミー」テイクアウト・イートインともに750円(税込)
チャーシューやチキンは下味をつけ、オーブンでローストに

「豚のチャーシュー・バインミー」の自家製チャーシューは、豚肩ロース肉をアジアのスパイスに漬けこんでからオーブンでじっくりと焼きあげたもの。しっとりやわらかく、脂っこすぎないのが特長です。「レモングラスチキン・バインミー」のチキンは、鶏もも肉をレモングラスや各種スパイス、ヌクマムなどをペーストにした漬けダレに漬けこみ、オーブンで焼きあげています。オーブン料理は、とくにホンさんが得意とするジャンル。バインミーの具材は、ベトナムから離れすぎないようにしつつも、世界のいろいろな料理のエッセンスを取り入れて、よりおいしくて魅力のあるものにしていきたいそう。

お客様の目の前で具材をはさむライブ感も醍醐味

客席とキッチンのほどよい距離感

バインミーは、オーダー後にお客さんの目の前で具材をはさんでいく、ライブ感のあるメニューです。基本の具材は決まっていますが、レバーペーストのありなしや、ナムプラー強めなど、お好みに合わせて仕上げていきます。カウンター越しに、お客様とのこのやり取りが、ホンさんがバインミーの店を始めた理由の1つでもあるのです。

バインミーの大切な脇役であるなますは、大根とにんじんの千切りを塩・砂糖・酢とアジア系のスパイスで和えています。2~4ミリの太めの千切りにすることで、パリッパリッと口の中でクラッシュする食感が加わります。
パクチーやチリ(唐辛子)は、好みに合わせて抜くこともできます。 赤いチリはかなりの辛さですが、見た目にも、香りと味のアクセントとしても効いています。

新登場の「ベトナムハムのバインミー」は、チャールア(豚ミンチにスパイスを混ぜて練り、蒸しあげたベトナムのハム)のバインミーです。パンにはレバーペーストを塗り、醤油と自家製のチリソースなどで味付け。追加トッピングの「ミックスハム」をチョイスすると、ベトナムハムの白とコールドカットソーセージのピンクの彩りもよく、味に変化が生まれます。

バインミーと並んで、鶏ガラと野菜をじっくり煮込んだスープでいただくフォーも人気です。平日は、バインミーのハーフ、フォー(ハーフ)、生春巻き1本のランチセットも数量限定で提供しています。ホンさん自慢のアイテムを一度にいただけるとあって、このランチセットをめがけて訪れるお客様も多いとか。

「ベトナムハムのバインミー」テイクアウト・イートインともに650円に「ミックスハム」テイクアウト・イートインともに50円をプラス(各税込)
自家製オーブン料理がおいしさをつくります

「肉や野菜をふんだんにはさんだバインミーは、見た目も華やかでパーティーメニューにもぴったりです。事前のご注文で、ご希望に合わせたバインミーや生春巻きのファミリープラッターをおつくりしています」(ホンさん)。

オープン以来のお客様の反響にこたえつつ、得意のオーブン料理を活用しての、新しいメニューも随時登場する予定とのこと。常に新たなバインミーの探求を続けられています。

HAPPY EGG(ハッピーエッグ)

韓流のカルチャーや食が集まる街、新大久保に2020年2月オープン。「韓国トースト(トストゥ)」の新しいトレンド、「たまごサンド」のテイクアウト専門店です。チーズタッカルビの人気店「市場タッカルビ本店」入口にあるスタンドで、ビジュアルも華やかなスクランブルエッグのトーストサンドが人気です。

HAPPY EGG(ハッピーエッグ)

住所
東京都新宿区大久保1-16-16 祥栄ビル1F
電話
03-3202-2400
営業時間
9:00~18:00
定休日
不定休
新大久保駅から徒歩4分

パンからあふれる具材がインパクト大の「韓国トースト」

ふんわりスクランブルエッグ満載の「ハムエッグサンド」500円(税込)
店長の康君赫さん

「韓国トースト」とは、韓国では大手のチェーン店もある人気の屋台グルメ。鉄板でこんがり焼いた食パンにハムや野菜、チーズなどをたっぷりはさんだり、のせたりするホットサンドやオープンサンドが定番です。具材がたっぷり詰まったサンドの断面や、チーズがとろけて伸びるビジュアルが話題になりました。ここ数年の新たなブームは「たまごサンド」。厚切りの食パンの真ん中に切り込みを入れて、パンの間にスクランブルエッグなどの具材をいっぱい詰めたホットサンドです。パンも卵もふんわりボリューム感があり、専用の紙製ボックスに入れて自立するので、あふれんばかりの具材の俯瞰が「映える!」とSNSで拡散され、話題になっています。店長の康君赫さんにお話を伺いました。

「以前ここは、タッカルビのテイクアウトのスタンドでした。近年、新大久保に若い女性がたくさん訪れるようになり、よりカジュアルでビジュアルも華やかなたまごサンドの店にリニューアルしました」(康さん)。

メニューは「ハムエッグ」「ベーコンエッグ」「プルコギエッグ」「ブルタック(辛口のタッカルビ)」と4種類あり、すべてワンコイン500円(税込)のたまごサンドです。
一番人気の「ハムエッグサンド」のつくり方を見せていただきました。使っているのは約10cm角のやや小さめサイズの業務用の角食パン。パンの厚みに切り込みを入れて、底までは切り離さないのがポイントです。

まずはたっぷりの溶かしバターでパンの両面をこんがり焼き、具材のハムもソテーします。スクランブルエッグは、ミルクと塩と砂糖を混ぜたかなり緩めの卵液を鉄板に流し、周辺から巻きこんでいきます。「卵は焼き過ぎるとパサついてしまうので、ふんわりトロトロの半熟状態に仕上げます」(康さん)。

パンの両面をこんがり焼きます
トロトロふわふわのスクランブルエッグ

マヨネーズに甘酸っぱいレモンソースを混ぜたサワーソースとチリソースをパンにかけて、チーズ、卵、ハムの具材をはさみ、仕上げのサワーソースとパセリをかければできあがりです。自立してこんがり焼けたパンの表面も、パンの間に満載した具材も、立体的に「魅せる」ホットサンドです。

ビジュアルのかわいらしさが女子の心をつかむ

思わず写真を撮りたくなるビジュアル

「お客様は10~20代の若い女性が圧倒的です。卵の黄色はかわいらしく、ボックスに入れたスタイルもおしゃれ。お客様から見て楽しいですし、写真を撮りたくなるようなビジュアルが重要です。できあがったエッグサンドを持って、皆さん写真を撮られるので、スタンドの側面は背景に使える白い壁にしています」(康さん)。

専用のボックスはトレードマークのたまごのイラストにビビッドなイエロー。厚さ5×幅10×高さ6cmはサンドにぴったりのサイズで、お客様への受け渡しもスムーズですし、台の上に置いて写真を撮るにも便利。そして手を汚さずに食べやすいです。

店頭に並ぶ実物大サンプル
ふんわり、しっとりのスクランブルエッグがたっぷり

「ブルタックエッグ」は、本家のレストランで調理したタッカルビをエッグサンドの具材に取り入れています。辛口に味つけをした「プルコギエッグ」は特製のたれで韓国料理らしい味つけです。
「2年前くらいは、チーズが長く伸びる『ハットグ (韓国式チーズドッグ) 』が流行していました。見た目にもインパクトがあり、ワンコイン以下で手軽に楽しめて、おいしくてボリュームのあるアイテムが受けているのだと思います」(康さん)。

店頭の冷蔵ケースには、韓国マカロンの「トゥンカロン」もお目見え。日本でも各地に専門店がオープンしている、話題のスイーツです。パステルカラーのマカロンにフィリングたっぷりのかわいらしいスイーツをたまごサンドと一緒に手軽に楽しめます。

「プルタックエッグ」500円(税込)
カラフルな韓国風マカロン「トゥンカロン」各400円(税込)

昔ながらのパンと朝食屋台の台湾のパン、ベトナムのサンドイッチ、そして韓国のトーストと、身近なアジアの国々のパンで、旅行気分を楽しんでみてはいかがでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2021年08月)のものです

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