パンのテーブル パンのテーブル

専門店から生まれるメニューバリエ―ション

パン、スイーツの世界では、独自の切り口でアイテムを絞った新しい専門店が続々と誕生しています。今回は「ソフトフランス」「ミルフィーユ」「サンドイッチ」「カレーパン」の専門店が展開するバリエーション豊かな商品メニューをご紹介します。

ソフトフランスパン専門店
PAIN DE PARIS(パンデパリス)

シンプルなパン生地を長さ60cmの大きさに焼いたソフトフランスパン「パンドミ」の専門店。トーストやサンド、フレンチトーストなど「パンドミ」を使ったバリエーションが常時10種類ほど揃います。

ソフトフランスパン専門店 PAIN DE PARIS(パンデパリス)

住所
愛知県刈谷市板倉町1-6-6 エンゼルハイム104
電話
0566-87-0093
営業時間
9:00~18:00
定休日
月曜、火曜
東刈谷駅から徒歩1分

長さ60cmのパンドミは、「やわらかな中身」を楽しめるパン

長さ60cmの大きな「パンドミ」900円(税込)
スタッフの皆さん

同店のソフトフランスパン「パンドミ」は、やわらかな食パンのようなフランスパンです。もともとパンドミとは「中身(クラム)のパン」という意味で、フランスのパン職人がイギリス風の食パンに倣ってつくったものが起源、ともいわれています。
いわゆるパンドミは、食パン型で焼いたものが一般的ですが、同店では直焼のフランスパンスタイル。長さ60cmと、大きく焼いてあるのが特徴です。オーナーにお話を伺いました。
「もともと私は会社員で、脱サラしてベーカリーを始めるにあたり、どこの店にもあるものではなく、何か1つのアイテムに特化して店をやっていこうと思いました。そこで出会ったのが、このスタイルのソフトフランスパン。おいしいですし、ほかにはあまりない珍しさもある。そのソフトフランスパンをつくっているシェフにご指導いただき、当店オリジナルの『パンドミ』ができあがりました」。

「めんたいトースト」240円(税込)

乳製品やハチミツなどは使わないシンプルな配合の「パンドミ」は、リッチな高級食パンとは異なり、ほんのりと感じる甘みと小麦の香りを楽しめる素朴な食事パンです。
クラムはふわふわ感ときめ細やかさがあり、クラストは薄く、歯切れよく、いろいろな具材をサンドしても食べやすい食感に仕上げています。
「焼き上げ当日は何もつけずにパンそのもののおいしさをぜひ味わっていただきたいです。焼きたてはもっちり感が強く、もちろんおいしいのですが、さらにおすすめなのが翌日。生地がよりしっとりと落ち着いて甘みも増し、いちばんの食べごろになります。そのまま食べてもトーストにしてもおいしいですし、サンドイッチにすると具材ともなじみやすくおすすめです」。

パンドミからさまざまなバリエーションが生まれます

「あんパンデバター」230円(税込)

自慢のパンドミは、1日に8本ずつを9~10回焼き上げています。
1本、またはハーフで販売するほか、サンドや菓子パンなどのバリエーションを展開。パンそのものはシンプルでクセのない味わいですから、惣菜パンにもスイーツ系にもサンドとしてアレンジがしやすく、1日当たり10種類程度を揃えています。

サンドは惣菜系の「クリームチーズバーガー」やスイーツ系の「生クリーム」「あんぱん」「あんパンデバター」をラインアップ。厚く切ったパンドミに切り込みを入れて、間に具材をたっぷりはさむスタイルです。
当初は、サンド用にはパンドミ生地を1個サイズのバンズの形にして焼いていました。ですが、大きく焼いたほうが水分も小麦のうま味も逃さず、よりおいしくなるため、レギュラーのパンドミをスライスして使う形に変更したそう。

「クリームチーズバーガー」は、ふんわりやさしい味わいのパンが、がっつり系のハンバーグとクリームチーズ、たっぷりの野菜をしっかりと受けとめます。

人気の「生クリーム」は自家製のカスタードクリーム、さらに生クリームをたっぷりと絞ったダブルクリーム仕様です。流行りのマリトッツォと同様に、切り口からあふれんばかりの具材が見た目にもインパクトを与えてくれます。

トーストのシリーズは、厚めにスライスしたパンドミに具材をのせて焼き上げています。目玉焼きをのせた「エッグトースト」の他、「めんたい」「ピザ」「ベーコンチーズ」のラインアップ。オープンサンドのように色とりどりの具材が華やかです。

「クリームチーズバーガー」330円(税込)
「生クリームパン」220円(税込)

デザート系の人気アイテムは、パンドミのフレンチトースト。スライスしたパンドミに生クリームを使用したアパレイユをたっぷりと含ませて、オーブンで10分弱焼きあげています。ずっしりと重みがあり、トロトロのプリンのよう。パンの中心には敢えてアパレイユを浸み込ませずに、パンそのもののおいしさも味わっていただけるようにしています。少し温めてからいただいてもよいですし、夏はアイスをのせるのもおすすめです。
また、フレンチトーストの上にフルーツなどのトッピングをすれば、華やかなスイーツのバリエーションが生まれます。定番の「チョコバナナ」に加え、季節のフルーツを使った限定品も登場。いちご、サクランボ、桃など、旬のフルーツを贅沢にデコレーション。フルーツの表面にはグラサージュを施して、ケーキのような華やかさに仕上げています。

「メニュー開発には製造にあたる女性スタッフたちの意見を尊重、女性目線を大切にしています。お客様はどんなものを求めているかを気にかけ、アイデアを出し合ってスタッフみんなが食べたいと思えるようなものをつくっています。フレンチトーストのデコレーションなども女性スタッフに任せて、目にも楽しくて思わず手に取って食べてみたくなるようなあしらいにしています。まだまだできたばかりの店ですが、うちならではのパンドミをどう生かすか、それを常に頭に入れて、お客様に喜んでいただけるメニューを考えていきたいです」

「フレンチトースト」250円(税込)
「季節のフレンチトースト」430円(税込)

GARIGUETTE表参道店(ガリゲット)

薄く繊細に焼き上げたパイ生地に具材をサンドしたミルフィーユの専門店。いろいろなシーンで気軽に食べていただけるように、商品、パッケージともに他にはない、おしゃれで新しいスタイルを提案しています。

GARIGUETTE表参道店(ガリゲット)

住所
東京都港区北青山3-7-2 FPG links OMOTESANDOⅡ 1F
電話
03-6805-0430
営業時間
11:00~19:00
定休日
なし
表参道駅から徒歩3分

手のひらサイズ、カジュアルに楽しめるミルフィーユ

スイーツ系の「ミルプレッセ」は定番8種類をラインアップ 900円(税込)~
パティシエの椿佳保里さん

表参道·青山通りから少し奥まった場所、話題のベーカリーやスイーツ店が点在するエリアに2021年11月にオープンした同店。オリジナルのミルフィーユ「ミルプレッセ」は、店内で焼き立てのパイ生地に具材やクリームをのせ、もう1枚のパイ生地でサンドした円盤状のミルフィーユです。パティシエの椿佳保里さんにお話を伺いました。

「スイーツの中でも特にミルフィーユはつくりたてのおいしさが格別です。そこで、当店では『つくりたてを提供』ということにこだわりました。また、ミルフィーユの可能性を広げていきたいという想いから、さまざまな具材でバリエーションを展開し、気軽にいろいろなシーンで楽しんでいただけるように、手に持って食べることができるサイズや形につくりあげました」(椿さん)。

「ミルプレッセ」は、特注のパイ生地をオリジナルのプレスマシンで薄くパリッと焼きあげます。通常のオーブンでは20分ほどかかるところを、上下から火を入れ、常に圧を掛けながら焼くことで約5分に短縮。バターの酸化が抑えられ、フレッシュで香ばしい薫りと、カリカリ、サクサクの食感を生み出します。パイ生地そのものには砂糖を使っていないので、スイーツ系にも食事系にも展開しやすく、バリエーションはスイーツ系が定番8種類に加えて季節限定2種類、甘くない食事系4種類を揃えています。スイーツ系は焼きあげたパイ生地の表面に粉糖をふりかけてキャラメリゼし、ほどよい甘さと芳ばしさをプラスして、よりパリッとした食感に。また、食事系は具材をサンドしてからチーズがとろける程度に温めて提供しています。

間口の広いシックなカウンターではパイ生地を次々と焼いていく様子、キャラメリゼの工程、そして、ターンテーブルに載せた生地にクリームやフィリングをのせていく様子などがお客様の目の前で繰り広げられ、ライブ感を楽しめます。「お客様は、ミルプレッセができ上っていく様子を眺めたり写真を撮ったりと、待っている間もアミューズメントパークのような感覚で楽しんでいただいています。また、パイを焼き上げるバターの香りが常にお店いっぱいに広がって、味わうだけでなく、視覚や嗅覚など五感まるごとで楽しんでいただくことも大切にしています」と椿さん。

ターンテーブルにのせて手際よくデコレ―ション
「ピスタチオ&フランボワーズ」1,200円(税込)

スイーツ系ミルプレッセのベースになるのが、毎朝店内で炊き上げているカスタードクリームです。メニューごとに、洋酒や果実ソースなどプラスαの素材を加え、フルーツやほかの素材とぴったりと合うクリームに仕上げているそう。いちばんシンプルな「クレーム ド リュクス」は、このカスタードにグランマルニエとバニラビーンズを合わせたクリームをサンドしたもの。「シャティ&カシス」は、フランス産の栗を使用したモンブランクリームとカシスコンフィチュールの組み合わせです。
「フルーツはもちろん、クリームや果実ソースもフレッシュさにこだわり、果実感をより感じていただけるようにつくっています。例えば、カシスソースにはホールのカシスの実を加えることで、プチプチした食感や酸味を楽しんでいただけます。また『ピスタチオ&フランボワーズ』は、ピスタチオペーストのクリームに刻んだピスタチオをトッピング。同じ素材でも形状を変えることで食感や香りにも複雑に変化が生まれます。単に具材を替えるだけではなく、それぞれの具材ならではの香りや味わい、食感を際立たせて、より繊細なバリエーションを生んでいます」(椿さん)。

蜂の巣をイメージしたチョコのトッピングも楽しい「シトロン&ミエル」1,100円(税込)

また、上に載せるパイ生地には丸い穴をあけて、ここからフィリングが見えるようにしています。お客様にも楽しんでいただけますし、スタッフがお渡しするときに確認しやすく、一石二鳥のアイデアです。自家製蜂蜜レモンとレモンクリームの「シトロン&ミエル」には、ホワイトチョコでつくった蜂の巣をあしらってあり、こちらもキュート。
バレンタインの季節メニューでは、ハート型の抜き型を使ったそう。
「フィリングに使う素材やクリームで季節感とフレッシュさを感じていただき、目でも楽しめるようなちょっとした工夫でお客様にバリエーションを楽しんでいただけたらと思っています」と椿さん。

また、お好きなスイーツ系のミルプレッセ2種類を組み合わせた「ハーフ&ハーフ」もオーダーでき、バリエーションがさらに広がります。

食事系や季節限定メニューでバリエーションを広げる

「ミルフィーユといえばスイーツなのですが、食事系もラインアップに加えているのが当店の強みの1つ。甘いものが苦手な方にも召し上がっていただけますし、今日は食事代わりに、という使い方もできます。カップルやお友だち同士で来店されて、スイーツ系と食事系をシェア、という方も多いです。メニューが豊富にあるとリピートにもつながります」(椿さん)。
食事系のミルプレッセは、十勝産のジャガイモを使ったクリーミーなピューレをベースに、ハムとグリュイエールチーズとモッツァレラチーズ·ブラックペパーの「ジャンボン&フロマージュ」、スモークサーモン·アボカド·サワークリーム·オニオン·ディル·マヨネーズ·パプリカパウダーの「ソーモンフュメ&アボカ」など4種類です。

「サラダニソワーズ」1,300円
持ち帰りにも便利なパッケージに入れてお渡しします
季節限定の「プランタンジャポネ」 1,350円(税込)

季節限定メニューは2種類を用意しています。販売時期は旬のフルーツが市場に出回る時期に合わせています。例えば冬から早春にかけては国産のキウイが旬。そこでこの時期はグリーンとゴールデンのキウイをたっぷりと使った「キウイのミルプレッセ」。もう1つは桜をモチーフにした「プランタンジャポネ」です。※現在は販売を終了しています。
桜と抹茶のクリームを半分ずつ。いちごのスライスをのせて、上に桜のクラッシュゼリー。パイ生地には塩漬けの桜の花と葉を焼きこみました。あんこは使っていませんが、さくらもちのような桜フレーバーで春を迎えるアイテムです。

「パイ生地と新商品の『バターサンド』以外は、すべて店舗でつくっています。これだけのバリエーションを揃えるには、毎朝開店前の準備も大忙しなのですが、お客様にできたてのフレッシュなおいしさ、季節感を感じていただき、お店で過ごす時間をまるごと楽しんでいただけるよう頑張っています」(椿さん)。

今後は、丸く型抜きした生地の利用法として「ミルプレッセダマンド」なども考えているそう。
「11月のオープン以来、おかげさまで平日も土日と変わらないくらいたくさんのお客様にご来店いただいています。オペレーションがもう少し落ち着いてきたら、つくりおきができる、こうした焼き菓子系のアイテムも少しずつ追加していきたいと思っています」(椿さん)。

ワンハンドフード専門店 AWESOME SANDWICHES
(オーサムサンドウィッチーズ)

吉祥寺にある肉バル居酒屋と比内地鶏料理店が手がけるサンドイッチを中心とした「ワンハンドフード」専門店です。1皿の料理のような具材をたっぷりはさんだサンドイッチが人気です。

ワンハンドフード専門店AWESOME SANDWICHES
(オーサムサンドウィッチーズ)

住所
武蔵野市吉祥寺本町1-8-14 六鳴館ビル2階
電話
非公開
営業時間
9:00~売り切れ次第終了
定休日
無休
吉祥寺駅北口徒歩3分。「六鳴館ビル」の2階で販売

「日替わり」で広がるバリエーション

BBQソースをからめたローストポークとたっぷり野菜マリネの日替わりサンド「サラダスパイスポークサンド」500円(税込)
総料理長の南雲幸晴さん

2021年10月のオープン時は、駅近のうどん屋さんの店先を間借りしてサンドイッチスタンドを設けていましたが、2022年4月からは売り場を母体の飲食店内に移転。ローストポークやジャークチキンなどの肉料理や、鶏そぼろ入りだし巻き卵などを具材にした定番サンドイッチ5種のほか、日替わり1種類をラインアップしています。2021年10月のオープンから、同じものはまだ登場していない正真正銘の「日替わり」を更新中だそう。オーナーの吉田辰樹さんと総料理長の南雲幸晴さんにお話を伺いました。

「実はこの店に先立ってフルーツサンドの店も展開しています。フルーツサンドはインパクトがあり、ブームに乗って好調ではあるのですが、より日常生活に密着した、しっかりとした食事のテイクアウト版、人々が『うわ~、すごい!』と驚く(awesome)ようなサンドイッチの店を出すことにしたのです。そして将来的にはパンだけに限らず、メニューに幅を持たせることもできるように『ワンハンドフード』としました」(吉田さん)。

日替わり「ポークビーンズと野菜のブリトー」500円(税込)

日替わりサンドのメニューを考えているのは総料理長の南雲さん。料理店で出している料理をベースに、具材に合わせて食パン、バンズ、コッペ、トルティーヤなどパンの種類を選び、サンドイッチやブリトーのレシピに落とし込んでいきます。
「毎日、今までに出したことのないメニューを考える、というのは結構なプレッシャーです。メニュー名やテーマが決まってしまえば、あとはどんどん楽しくつくることができるのですが、なかなかアイデアが出てこない時はつらい!」

本店で定番の肉料理や、数種の人気デリを組み合わせることもあれば、アヒージョ、ガパオ、ポモドーロといった料理をヒントに、具材の組み合わせや味付け、調理法を応用してお題に沿ったテイストのサンドイッチに仕上げていくこともあります。ときには「お好み焼き」「リゾット」「ミネストローネ」など、サンドイッチにするには難度の高いテーマに取り組んだ日もあります。

「もとの料理をそのままはさむわけではないですが、難しいメニュー名にするよりは皆さんがよく知っている料理名ならどんなサンドか、味をイメージしてもらいやすくなるかと思います。また、肉や卵などメインの具材の付け合せは、ラぺや酢漬けキャベツ、ブロッコリーサラダなど汎用性が高いものを使用。自家製のソースは明太子ソース、バーベキューソース、チーズクリームソースなど何種類かあり、組み合わせを少しずつ変えることで、また新しいメニューが生まれます」(南雲さん)。

定番メニューの1つ「ソーセージサンド」500円(税込)
日替わり「ガパオサンド」 550円(税込)

おいしくつくり、おいしく魅せることが大事

SNSにはオープン以来の日替わりサンドの写真が並んでいます

力を入れているのがSNSを通じた販促です。毎朝営業開始前に本日の「日替わり」メニューを投稿しています。
意識しているのは、店名のとおり「すごい!」というお客様からのリアクションがもらえるサンドイッチをつくること。SNSを見て来店されるお客様が多いので、写真を撮ったときにいかにおいしそうに見えるか、アメリカンなボリューム、断面の美しさを大事にしているそう。具材をはさむ順番や野菜などの水気はしっかり取り除くこと、切れ味のよいナイフを使うこともポイントです。断面には、ケーキなどに使うフィルムを巻いて型崩れを防いでいます。

「ハムサンドにしても、パンの間に薄いハムを1枚はさんだだけ、というのはやりたくない。おいしさとボリューム感、断面のインパクトも狙って、分厚いハムカツにしたり、薄切りハムの間にチーズクリームソースをはさんで何層にも重ねたハムのミルフィーユサンドなども試してみました。ハムのミルフィーユは手間がかかる割に、ハムもソースも白っぽい感じになってしまい、じつはインパクトとしては今一つなところもありました」(南雲さん)。

「店舗での購入層は30代以上の女性が多く、SNSのフォロワーも30~40代が多いです。その方々をメインのターゲットとして、食べた後に十分満足していただけ、多すぎて持て余すことのないボリューム感に調整しています。地域や客層に合わせたメニューを考えていくことも大切にしています」(吉田さん)。
エビを使ったメニューや「レモンチキンサンド」などは、この世代の女性に受けのよいメニューだったそう。

オープン以来の日替わりサンドの画像は、そのまま同店の商品見本であり、レシピのポートフォリオです。
「来店されるお客様に喜んでいただきたい、というのはもちろんですが、そのほかにも催事やロケ弁需要、コーヒースタンド等のドリンクメインの店にフードを提供するなど、卸販売に向けての販促拠点の役割も担っています。日替わりでメニューを開発してバリエーションを増やし、SNSで販促、このスタイルでどこまで広げていけるかトライしています」(吉田さん)。

日替わり「極ハムカツサンド」 500円(税込)
日替わり「レモンチキンサンド」 500円(税込)

カレーパン専門店 YES!(イエス) 大井町店

2021年12月にオープンした、カレーパンのテイクアウト専門店。カレーとトッピング具材の組み合わせで、20種以上のバリエーションを展開しています。店舗内のキッチンで生地にフィリングを包み、約2時間おきに揚げたてが並びます。

カレーパン専門店 YES!(イエス)大井町店

住所
東京都品川区大井1-2-18 ノアビル 1F
電話
03-6303-7373
営業時間
8:00~20:00
定休日
不定休
大井町駅から徒歩1分

ありそうでなかったバリエーション多彩なカレーパン専門店

「コラボ!ステーキ」400円(税込)
マネージャーの須藤直人さん

JRと東急線、どちらの大井町駅からも徒歩1分のロケーション、ターメリックカラーの外観が目印です。店内のカウンターに並ぶカレーパンは、見た目はどれも同じラグビー型ですが、中に包まれたフィリングは多彩。定番と週替わりを合わせて毎日13種類ほどのバリエーションが登場しています。マネージャーの須藤直人さんに、バリエーション豊富なカレーパン専門店が生まれたきっかけなどを伺いました。

「ベーカリーでもカレーパンは人気ですが、ラインアップは多くても2~3種類。カレー専門店のように、カレーの種類がたくさんあって、トッピングと組み合わせていろいろなカレーパンを揃えたら、お客様にも喜んでもらえると考えました」(須藤さん)。

オープンに向けて、数百種類の具材と数十種類のカレーをつくり、さまざまな組み合わせを試してみたそう。こうしてでき上った4種類のカレーフィリング(オリジナル、エスニック、キーマ、イタリアン)をベースに、相性のよいトッピング具材を組み合わせ、20種類以上のユニークなカレーパンが誕生しました。

その後も新商品の開発を続け、現在ではベースとなるカレーは、甘口、バターチキン、オマールを加えた7種類に。カレーの種類ごとに30種以上の香辛料や具材を合わせ、店内キッチンで仕上げています。
いろいろな具材と合わせやすい、基本のカレーフィリング「オリジナル」は、隠し味に炒めたコンビーフでコクを出しています。辛さは甘口と中辛の間くらいで、どなたにも食べやすいほどよい辛さです。「イタリアン」はドライトマトのペーストや唐辛子、オリーブオイル入り。「オマール」はエビの風味を加えて「欲張りシーフード」や「エビフライタルタル」などシーフード系のメニューに。お子様向けとしてマイルドに仕上げた「甘口」カレーフィリングを使った「お子様カレーパン」も好評です。
カレーを包むパン生地は、スパイスの香りを引き立て、具材の食感、小麦の香りも同時に楽しめる配合に。パン粉は粗めでザクザクした食感に仕上がるように独自にブレンドした生パン粉を使用しています。

「オリジナルカレーパン」230円 (税込)
店内で揚げたカレーパンが並びます

トッピングでカレーパンのバリエーションがさらに広がる

「福神漬けカレー」260円(税込)

そして、バリエーションを多彩に広げるのがトッピング具材です。丸ごと1個入りの半熟とろとろ卵、のびるチーズ、子どもに人気のコーンバターのほかエビフライやメンチカツ、唐揚げなど揚げ物系の具材。また、キムチ、納豆といった意外な具材や、カレーうどんなどの変わり種、系列の肉料理レストランとコラボしたハンバーグや牛肉のステーキなどを贅沢にトッピングしたカレーパンが登場します。「福神漬けカレー」は、カレーライスなら定番の福神漬けをカレーパンにもイン。

トッピングといっても、揚げたカレーパンの上に具材をのせるのではなく、例えばコロッケなら丸ごとをカレーフィリングと一緒に生地で包んでしまうスタイルです。薄めでサクッとした食感のカレーパン生地の中に、インパクトのある具材と、その具材にマッチするカレーがたっぷり包まれた、食べ応えのあるカレーパンが出来上がります。

定番の「のびーるチーズ」は、韓国グルメで人気のチーズソースを使用。冷めてもやわらかなチーズが長く伸びるので、インパクトがあり喜ばれます。週替わりメニューの「半熟とろ卵」は、トッピングの卵がやや淡白な味わいのため、カレーフィリングはコンビーフとガーリックでパンチをきかせた「エスニック」を合わせています。週替わりの新メニュー「コラボ!ステーキ」「コラボ!肉汁ハンバーグ」は、ごちそう感のあるボリューム満点の食べ応えです。

「のびーるチーズカレーパン」 280円(税込)
「半熟とろ卵カレーパン」280円(税込)
4個以上はオリジナルのボックスに入れてお渡し

店内キッチンでは、丸く平たく伸ばしたパン生地に、ディッシャーでカレーフィリングをのせ、さらにその上にトッピング具材をのせて全体を生地で包みこみます。粗めのパン粉をまぶして二次発酵をかけ、高温の油でからりと揚げています。朝からカレーを仕込み、包んでは発酵が上がったものから揚げていき、1日に500個ほどが売れているそう。ほぼ2時間おきにメニューのうちのいずれかが揚げたてで登場する出来立て感もお客様に喜ばれています。

「今もカレーに合うトッピング具材をいろいろリサーチしながら試作を続けています」と須藤さん。「イタリアントマト」は、イタリアンのカレーフィリングに水煮トマトを合わせています。水分を多く含む具材は生地を包むのが難しくなったりもしますが、生地の上に先にトマトをのせて、カレーフィリングをその上からかぶせることで汁気をもらさずにうまく包めるそう。

「まずは味ありき。この具材がカレーに合うと思ったら、多少難しい部分があるとしても工夫して形にしていきます。まだ商品にはなっていないですが、エビチリなども意外にいけるのではないかと考えています。カレーフィリングがそこまでトロトロではないので、エビチリのようにウエットな具材でもカレーと完全に混ざるわけではありません。サクッとパンをかじると、まずトッピング具材を味わっていただけて、そこにカレーの味が加わっていき、最終的に一緒になっておいしい!という感じですね。とはいえ、カレー味が強いので負けてしまう食材も多く、本当に試行錯誤の繰り返しです」(須藤さん)。

専門店だからこその、おいしさへのこだわりが詰まったバリエーション。商品にはそれぞれのお店ならではの知恵と工夫と情熱が込められています。各店舗でお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2022年4月)のものです

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