パンのテーブル パンのテーブル

中国 台湾 香港 東アジアのパン&スイーツ

日本のお隣にある、中国、香港、台湾。これらの国や地域で人々に愛され、日常的に食べられているパンやお菓子を、ほぼ現地のままのスタイルで提供している人気店をご紹介します。

劉記 中華面食
(りゅうき ちゅうかめんしょく)

2022年5月にオープンした、中国式パンの専門店。揚げる・蒸す・焼くの加熱法を使い分けてつくる中国のパンは40種類以上の品揃え。1つ1つ手で包んだ餃子も冷凍で販売しています。

劉記 中華面食(りゅうき ちゅうかめんしょく)

住所
東京都江戸川区松島3-14-3
電話
03-5661-3080
営業時間
8:00~20:00
定休日
なし
新小岩駅から徒歩5分

中国のパンを約40種以上ラインアップ!

店内には中国のパンが40種類以上。お客様とコミュニケーションしながらスタッフが棚から商品を取るスタイル

新小岩駅の南口商店街にある同店は、中国料理店のような色彩鮮やかな看板が目印です。店名の「面食」は、中国語で麺類・饅頭(マントー)・ギョーザ・パンなど小麦粉を使ってつくる食品の総称です。店主の王敬賢さんは中国料理が専門で、日本でレストランシェフ、企業での商品開発や研修の講師などで活躍した後、同店を立ち上げました。

店主の王敬賢さん

「もともと中国では、南の方は米作が盛んで米食中心。粉食は北の方が盛んです。日本の方は小麦粉でつくった食べ物がお好きで、餃子もラーメンも肉まんも、とても喜んでもらえます。そこで、おいしいものがまだまだたくさんある中国のパンを一堂に集めた店をつくりました」(王さん)。
売り場には、パイや揚げパン、あんまん、肉まん、蒸しパンに同店名物のお焼きなどがずらりと並んでいます。

「中国料理店で饅頭(マントウ=具材なしの肉まんの皮)を料理に添えたり角煮をはさんだり、おかゆに油条(揚げパン)をトッピングするなどはおなじみですが、肉まんやお焼き、中華菓子、ドーナツなどは、中国でもそれぞれ専門店が手がけることが多いです。1つの店に面食をこれだけ多種類集めたのは、おそらく日本初ですし、中国にもこうしたスタイルの店はないと思います。1度のご来店で満足していただけるように、中身のあんを替えるなどでバリエーションを増やしています」(王さん)。

同店でいちばんの人気はお焼きです。中国ではお焼き専門のお店や屋台で売られていることが多く、食事にもおやつにも、ファストフード感覚で気軽に食べるそう。イースト少量を使用し、水分の多い生地にあんをたっぷり包み、鉄板で下から火を入れて焼き上げます。生地はもちもちの食感で、王さんの料理の腕を生かした豚肉や牛肉のあんや、エビ入り、白菜を発酵させた酸味のある漬物「酸菜」入りのあんの4種類をラインアップ。
「持ち上げると流れるくらいの生地を薄く伸ばし、あんをたっぷり包んでいます」(王さん)。

「豚肉・エビ・ニラのお焼き」275円(税込)
肉あんをたっぷり包んだ「お焼き」が人気

「ねじねじ揚げ(麻花:マーホア)」は発酵生地のドーナツ。生地にハチミツを練り込んだ「蜂蜜ねじねじ揚げ」のほか、棒状の生地の中心にあんを巻いた「ドリアン餡入り」「ヨーグルト餡入り」「あずき餡入り」の4種類。また、「ミルフィーユねじねじ揚げ」は、同店では唯一バターを使った折込生地でつくるサクサクの揚げパンです。

「日本の長崎にも『ねじねじ』『よりより』という名のお菓子がありますね。中国から伝わった麻花をもとに、クッキー状にかたく焼き上げたものです。一方、当店の『ねじねじ揚げ』は、やわらかで、もちもちした食感を出しています」(王さん)。
サイズは大きく、一般的なツイストドーナツの2倍以上。細長く棒状に伸ばした生地を2つに折り返してねじりながら巻いています。
「揚げパン(油条:ヨウティヤオ)は、強めのミキシングでグルテンをしっかりつくり、発酵の加減をよく見極めて揚げることで、フワッと膨らみ、ひきのある独特の食感が生まれます。そのまま食べてもおいしいですし、おかゆのトッピングのほか、牛乳や豆乳に浸して食べるのもおすすめです」(王さん)。

「ねじねじ揚げ」は長さ約24cmの大きさ
「揚げパン」2本220円(税込)
「海苔入り豚肉フレークのマヨパン」600円(税込)

「海苔入り豚肉フレークのマヨパン」は、ベーコンとねぎを練り込んで焼きあげたパンにコンデンスミルクとマヨネーズを塗り、海苔と豚肉フレークをふりかけた、甘じょっぱさとコクを楽しめるパンです。
「肉松(ロウソン)」と呼ばれる肉のフレークをまぶしたパンは、中国ではポピュラーな惣菜パンの1つです。

中国のパイ菓子や肉まんなども種類が豊富です

中国のパイ菓子(酥:スゥ)は、一般的にはバターやラードを使うことが多いですが、同店では大豆油を使用。脂っこさがなく、小麦粉の味わいを楽しめます。サクサクの食感を生かしたパイは、小豆あん入りや黒ゴマペースト入り、上白糖のシャリッとした食感を楽しめる砂糖入りのほか、山椒風味の塩を振りかけた「山椒塩」は、シンプルにパイ生地そのもののおいしさを楽しめます。

甘じょっぱくてコクのある「あんこと塩漬け卵黄入りパイ」と、甘さ控えめの「3種もち米・ナツメ・ナッツ・豆入りパイ」は、生地の食感をよりやわらかく仕上げたパイ菓子です。同じ生地を使い、黒ゴマ餡や緑豆餡、山査子(サンザシ)餡やパイナップル餡を包んだミニパイもあります。パイ生地にあんこではなく甘い求肥を包んだのが「老婆(ラオポー)餅」です。

「3種もち米・ナツメ・ナッツ・豆入りパイ」200円(税込)
「あんこ入りサクサクパイ」220円、「山椒塩サクサクパイ」350円(各税込)

蒸しパンが並ぶケースには、おなじみの肉まん各種のほか、あんなしの「四方饅頭」や「花巻」。白く、つやつやっとした生地は、アイテムごとに包み方や形を変えることで、見た目や食感にも変化が生まれます。
トウモロコシ粉入り「とうもろこし蒸しパン」や「四方饅頭」は、塩味はごく控えめで、おかずがあるときの食事パンとして食べたり、具材をはさんで食べるのにも向いています。
「黒糖とナツメの蒸しパン」には、干したナツメをたっぷり使用。
2日に1回焼き上げているサクサク食感のクッキーはゴマ入りとクルミ入りの2種類あり、ティータイムのお供に人気だそう。

「おいしく食べて健康にもよい商品づくりを志向しています。ゴマやナッツ、豆類などは栄養価の高い食材。ナツメは、鉄分や葉酸を豊富に含み、女性にはとくにおすすめです。小麦粉を使った『面食』のバリエーションの豊富さや奥深さをぜひ味わってみてください」(王さん)。

肉まん系は形もさまざま
「黒糖とナツメの蒸しパン」(左)350円、「とうもろこし蒸しパン」300 円(各税込)

guenin(グエィニン)Taiwan zakka cafe

2022年8月にオープンした「台湾ホットサンド」と「台湾ガレット」をはじめとする台湾の軽食を楽しめるカフェ。店名は、結婚後に里帰りする台湾の習慣「歸寧(グエィニン)」から。実家に帰ったようにくつろげる店にしたいとの想いを込めて、台湾茶やスイーツ、お酒にも合う屋台料理などを揃えています。

guenin(グエィニン)Taiwan zakka cafe

住所
東京都渋谷区恵比寿1-22-23
電話
070-1266-6789
営業時間
11:30~23:00(LO.20:00)
定休日
月曜
恵比寿駅から徒歩3分

甘ピリ辛のホットサンドは台湾の朝食の定番

台湾の定番朝食は「台湾ガレット」と「台湾ホットサンド」
店主の陳煥竣さん

台湾出身の店主、陳煥竣(チン・ファンジュン)さんは、日本の大学で学んだ後、食を通じた人とのコミュニケーションや台湾と日本の文化交流を図りたいと、同店をオープン。台湾で「早餐(ザオツァン)=朝食」専門の老舗店で働いた経験を生かし、台湾の朝食の定番「台湾ホットサンド」と「台湾ガレット」をメインに提供しています。

「台湾では、朝ごはんをつくって家で食べる人は少なく、9割くらいの人は外で済ませます。バスやバイクで通勤・通学する人も多く、途中で買って職場や学校で食べる、というのがスタンダード。そんな台湾人の最もポピュラーな朝ごはんがホットサンドと蛋餅(ダンピン)です。台湾の朝食というと、豆乳のスープ鹹豆漿(シェントウジャン)がよく知られるようになりました。鹹豆漿を台湾おにぎりや小籠包などと一緒に、ゆっくり時間をかけて食べるのは伝統的な台湾の朝食。当店では、忙しい現代の台湾人の日常に欠かせない、朝昼晩の軽食を日本の皆様にご紹介しています」(陳さん)。

「台湾ホットサンド ベーコンチーズ」790円(税込)

「台湾ホットサンド」は、トーストした食パンに具材をはさんだもの。日本でもよくあるサンドイッチと見た目にはあまり変わりはありません。
「いちばんの違いは、甘いマヨネーズソースと胡椒の効いた甘ピリ辛の味わいです。台湾の味を完全再現しています。味の決め手になるのがこのソースで、台湾ではホットサンド専用として業者向けにつくられていて、どの店でもこのソースを使っています。台湾の人たちは、子どものころからこの味で育ってきたのです」(陳さん)。

日本では手に入らないため、メーカーの方にレシピを教えていただき、ご自身でつくっているそう。マヨネーズといっても卵は使わず、酸味もなく、塩と甘みとオイルを乳化させた、半透明の白いソースです。

ごくシンプルな食パンをトーストして、この甘いソースをたっぷり塗り、これが味付けとバターの代わりになります。基本の具材は目玉焼きと細くきざんだキュウリ。これでもか、というくらいに白コショウをたっぷり振りかけます。具材はお好みで、ハムやチーズ、ベーコンなどを追加することができます。

ホットサンドに欠かせない自家製の台湾マヨネーズ
基本の具材は千切りのキュウリと目玉焼き

もちもち、プルプルの食感が人気です

「台湾ガレット」は、小麦粉、片栗粉を溶いたネギ入り生地を薄く焼いたもちもちの蛋餅です。卵ともやしなどの具材を巻いて甘辛のたれでいただく、台湾では朝食や夜食でおなじみのメニューです。
「他店ではクレープと呼ぶ店もあるようですが、クレープだと甘いタイプのイメージがあるので、日本向けに『台湾ガレット』と名づけました」(陳さん)。

「台湾ガレット ベーコンチーズ 790円(税込)

「台湾ガレット」は、強力粉「カメリヤ」を約8割、タピオカ粉を約2割使い、冷めてももちもちとおいしく食べていただけるようにつくっているそう。水は粉の2倍以上でかなりゆるめの生地です。
長方形のプレートに生地を薄く流し、その上に卵を割り入れて全体にのばし、具材をのせて焼き上げたら端から巻いていきます。具材は卵と茹でたもやしが定番ですが、お好みでハムやベーコン、チーズ、コーンなどを追加できます。
仕上げにとろみのある、ちょっと甘めの台湾しょうゆをかけて提供します。

「台湾の人たちは、プルプルや“QQ”と呼ばれるもちもちの食感が大好きで、タピオカ粉はそうした食感を出すのに欠かせません。昔から、タピオカは安価でたくさん手に入りましたから、タピオカを使ったいろいろな食べ物が工夫されてきました。幼いころから食べ親しんできたからこそ、プルプル、もちもちの食感が愛されるのだと思います」(陳さん)。

たとえば屋台料理の「肉圓(バーワン)」は、タピオカ粉などでつくったトロトロの生地に肉あんを包み、低温の油で揚げた透明なゼリー状の肉まんじゅうで、甘めのたれをかけて食べます。

また、陳さんが今、注目しているのが台湾のドーナツ屋さんで人気のもちもちドーナツ「雙胞胎(シャンバオタイ)」。
「雙胞胎は “ふたご”という意味で、発酵生地の真ん中をねじって揚げることで、左右に開いて2つのドーナツがくっついているような形に。昔から屋台などで売られていた素朴なおやつドーナツの1つですが、日本でもブームが来るかもしれないですね」(陳さん)

生地を焼き上げ、端から巻いていきます
台湾では蛋餅のほか豚角煮の味付けなどにも欠かせない台湾しょうゆ

同店では、日本ではなかなか出会えない台湾スイーツもラインアップしています。コーンスターチで固めたミルク餅にたっぷりココナッツをまぶした「雪花餅」や秋限定の金木犀入りゴマ餡の「華舞餅」は、どちらもプルプル食感のデザート。金木犀のドライを浮かべた烏龍茶などにもよく合います。

「店舗の営業時間は、朝食を家でとる方が多い日本人のライフスタイルに合わせて昼からですが、最近では『月1回従業員の方に朝食を提供』といった取り組みをされる企業向けのデリバリーが好評です。台湾式の朝ごはん、というイベント感も楽しんでいただいているようです。日本では、タピオカミルクティーや台湾カステラがブームになりましたが、台湾でみんながいつも食べている、長く愛されてきた食べ物や飲み物を紹介していきたいです」(陳さん)。

「雪花餅」550円(税込)
テイクアウト用のおしゃれなパッケージ

八十港(はちじゅうみなと)

80年代の香港をイメージした「茶餐廳(チャーチャンテン)」スタイルのお店。「避風塘(Typhoon Shelter)料理」をはじめ、屋台麺、飲茶料理、洋食系と多彩に揃う同店のメニューは、日本人向けのアレンジがほとんどなく、香港の街の人々が日常食べている料理や喫茶を楽しめます。香港式のワッフルやフレンチトーストなど、おやつ系も充実。

八十港(はちじゅうみなと) ※2023年6月25日に閉店

住所
神奈川県横浜市港北区綱島東1-6-2
電話
070-1266-6789
営業時間
火曜~木曜12:00~15:00、17:00~21:30(LO.21:00)、
金曜12:00~15:00、17:00~22:00(LO.21:30)、
土曜、日曜12:00~15:30、16:30~22:00(LO.21:30)
定休日
月曜
綱島駅から徒歩1分

ワッフルは香港で人気のストリートフード

手前右から時計回りに「エッグワッフルオリジナル」「香港式ワッフル」「香港式フレンチトースト」
オーナーの鄭󠄀 冠業さん

店名の「八十港」は、活気に満ちた80年代ごろの、古き良き香港を意味しています。店内には、当時のポスターや雑貨類が置かれ、レトロ香港のイメージ。オーナーの鄭󠄀 冠業さんにお話を伺いました。

「『茶餐廳』とはイギリス統治時代の香港が発祥で、街の人たちが気軽に立ち寄って、朝昼晩の普段の食事や喫茶も楽しめる大衆食堂的な飲食店のこと。最近、日本でもこのスタイルのお店が登場しています。当店は、お客様の半分くらいは香港や中国出身の方で、ほぼ現地のままのメニューが好評です」(鄭さん)。

麺とスープ、具材を選べる「車仔面(屋台麺)」など、香港人御用達の魅力的なメニュー満載の同店では、「エッグワッフル」や「香港式フレンチトースト」などの香港名物のおやつもあります。1階のカウンターにはワッフル専用の鉄板が置かれ、お客様の目の前で焼きあげる屋台の雰囲気を楽しめます。

「エッグワッフル」は、昔からある香港のストリートフード。タコ焼き器のような丸いくぼみが並んでいる六角形の鉄板で生地を焼き上げます。ポコポコのふくらみが並んだポップなビジュアルは、いわば羽根つきベビーカステラ。焼き上がりは金網にのせて風を当てるため、表面はカリっとした歯触り、中はベビーカステラよりももちっとした食感があり、エバミルク入り生地のミルキーな甘みが特長です。

六角形の専用プレートで焼き上げ
風を当てて表面はカリっと
「エッグワッフルオリジナル」イートイン、テイクアウトともに500円(税込)

イートインの場合は金網にのせたときのアーチ状のフォルムで登場し、インパクトがあります。テイクアウト用には紙の袋に入れますが、片手でちぎって食べやすい形です。「エッグワッフル」は、プレーンタイプのオリジナルのほか、チョコレートソースをかけた「チョコ」もあります。

ピーナツバターと練乳・砂糖の甘じょっぱさがクセになる

エッグワッフルと同じ生地を一般的な丸いプレートで焼いたものが「香港式ワッフル」。2つに折りたたんだ生地の間にはピーナツバターと練乳、バターと砂糖が入り、振りかけた砂糖のシャリッとした食感にチャンクピーナツのポリポリ食感が加わり、甘じょっぱさが味の決め手となっています。

ピーナツバターの食感と甘じょっぱいテイストが特長の、もう1つの定番スイーツが「香港式フレンチトースト」です。ビジュアルはまるで厚揚げのよう。食パン2枚の間にピーナツバターをたっぷり塗って、表面に溶き卵(牛乳などは入れずに卵のみ)をつけて約180℃の油でこんがりほどよい色に揚げていきます。揚げたての上にバターをのせて、お好みではちみつをかけていただきます。ピーナツバターに揚げた後の追いバターがのり、トリプルなこってり系ですが、揚げた卵の香りにピーナツの粒々感とナッツの香り、甘じょっぱい味わいが一体となり、クセになるおいしさです。

食パンを使ったメニューは、このほかトーストに練乳&バターを塗った「練乳バターサンド」、練乳&ピーナツバターの「練乳ピーナツサンド」などがあります。

洋風のフレンチトーストやワッフルを甘じょっぱいテイストにアレンジした香港のスイーツ。どれも身近にある食材の組み合わせですが、見た目にも味わいにもインパクトがあります。

「香港式フレンチトースト」550円(税込)
「香港式ワッフル」500円(税込)

同店で楽しめる「香港料理」とは、イギリス統治時代を経て、中国の食にイギリスやフランスなどからのさまざまな要素を取り入れてアレンジされたもの。
香港ならではの料理の1例が「避風塘(Typhoon Shelter)料理」で、避風塘とは、台風が近づいたときに船や船乗りたちが避難するところの意味。嵐が過ぎるのを待ちながら食べたという、スパイスを効かせた魚介料理がメインです。

「車仔面(屋台麺)」は、麺とスープ各6種類に具材19種ほどの中から好きなものを選んでカスタマイズできる香港スタイル。自慢の自家製スープに、香港人が好んで食べる各種モツ料理やつみれ、自家製水餃子などの具材をたくさん揃えて、組み合わせは無限大に。迷ったときのために、お店おすすめの車仔面メニューもあります。

分厚いメニュー帳には、料理の写真付きで中国語と日本語が併記され、スタッフは日本語OKな香港出身の方が多く、ちょっとした異国情緒を味わえます。

「中国料理とは違う、いろいろな要素がクロスオーバーして出来上がったのが香港料理。おやつ系も含めて、どのメニューも終日オーダー可なので、気ままに立ち寄って香港料理と雰囲気を楽しんでくださいね」(鄭󠄀さん)。

2階客席には80年代の香港の風景も
ミニカスタードまん、チャーシューパイなど香港飲茶メニューも

連珍人形町店

2021年12月にオープンしたタロイモスイーツ専門店。台湾・基隆にある100年以上続く老舗菓子店「連珍餅店」の支店です。台湾産のタロイモを使ったスイーツは、売り場の奥にある厨房で丁寧に手づくりされ、生菓子は当日つくってその日のうちに売り切る、という本店創業以来のスタイルを守っています。

連珍人形町店

住所
東京都中央区日本橋人形町2-10-11
電話
03-6810-9189
営業時間
11:00~18:00
定休日
不定休
人形町駅から徒歩1分

日本ではまだ珍しい、タロイモを使ったスイーツが揃います

タロイモを使ったスイーツ。左手前から時計回りに「タロイモボール」「タロイモプリン」「タロイモロールケーキ(小)」「タロイモシュークリーム(小)」
店舗スタッフの皆さん

日本橋人形町の甘酒横丁にある同店は、1912年創業の「連珍餅店」3代目にあたる程家旭さんが店舗デザインから手がけた店。ショーケースには淡い紫色が印象的なタロイモスイーツ各種が並んでいます。同店マネージャーの王亭雅さんに、タロイモスイーツについてお話を伺いました。

基隆にある本店は、台湾コンビニのタロイモスイーツ監修も手がけるなどで、台湾では「タロイモスイーツといえば連珍!」そんなイメージのあるお店です。タロイモは、日本ではあまりなじみがなく、どんな芋なのか想像がつかない、という方も多いかもしれません。台湾産のタロイモを使った、連珍ならではのタロイモスイーツのおいしさを日本の皆様にもっと知ってほしいと、台湾国内外で初の支店をこの地に構えました。

タロイモとは、熱帯アジアやオセアニアなどで栽培されているサトイモ科の芋の総称です。その地域でよく食べられている品種がその地域の「タロイモ」になります。日本の里芋もタロイモの一種で、最も北方で栽培されている品種の1つです。

台湾のタロイモは、日本のサトイモに比べるとぬめりが少なく、さらりした食感と味わいが特長です。温暖な台湾では一年中タロイモが採れ、野菜として鍋などの料理に使ったり、スイーツをつくったりと、とてもポピュラーな食材です。同店のお菓子に使うタロイモはすべて台湾産のもの。冷凍したものを空輸しています。

小ぶりで上品な味わいの「タロイモボール」
「タロイモロールケーキ」1カット 550円、1本1,620円(各税込)※ホールは要予約

看板商品の「タロイモボール(芋泥球)」は、蒸したタロイモにバターと砂糖を混ぜたペーストを丸めたもの。淡い紫色をしたシンプルなビジュアルのとおり、しっとりとやさしい口当たりにあっさりした甘さで、よく味わうと微かなお芋の風味を感じます。

原料のタロイモは、アクは少なく、蒸すことでタロイモのうまみがぎゅっと凝縮され、自然な色合いも生まれます。繊維は多めですが、丁寧な製法によりやさしく滑らかな食感で、タロイモのおいしさをダイレクトに味わえるペーストに仕上げています。

同店ではこのタロイモペーストをベースにしてさまざまなスイーツを展開しています。
「ロールケーキ」は、生地は台湾カステラのイメージで、しっとり軽い食感に焼き上げ、タロイモのペーストに生クリームを合わせたクリームをたっぷり巻いています。甘さもほどよく、くどさや重さのないやさしい味わいです。
「シュークリーム」は、サクサクのシュー生地にカリッとしたクッキーをのせて焼き上げ、タロイモのクリームを詰めています。
三角形のカップに入ったスイーツは「タロイモプリン」。上は生クリームベースのババロア、下は小粒のタピオカを混ぜたタロイモのペーストの2層になっています。タロイモボールと並ぶ、台湾本店でもいちばんの人気商品だそう。

「タロイモボール4個入り」 600円(税込)
タロイモスイーツ各種がショーケースに並ぶ

タロイモホットサンドや本店からの焼き菓子も好評

タロイモホットサンド」は200円~。写真は、ハム、もちをプラスして300円(各税込)

タロイモペーストはパンとの相性も抜群です。食パンにチーズとタロイモのペーストをはさんで焼き上げるホットサンドは、上品な甘じょっぱさを楽しめます。オーダー後に焼き上げるため、お好みでハムや餅もプラスできます。外のベンチで焼き立てを召し上がるお客様も多いようです。

各地の催事への出店にも力を入れ、4月には大阪にて連珍としては初の関西圏への出店をしました。台湾でタロイモスイーツに出会い、ぜひまた食べたかったというお客様の声も多かったそう。同店のタロイモスイーツをはじめ台湾のスイーツの多くは、新鮮な素材を使い、手間をかけて丁寧につくっていることが特長です。台湾スイーツはヘルシーというイメージも、そこから生まれているのでしょう。

余計な添加物などは使っていないため、生菓子は当日中に召し上がっていただくことを基本にしています。せっかく来たからいろいろな種類を味わってみたい、というお客様の要望に応え、ロールケーキやシュークリームは小さいサイズのものも用意しています。

「台湾のタロイモはクセがなく、素材そのものの味わいを生かしていろいろなスイーツに展開できます。台湾旅行でタロイモスイーツにはまった方も、まだ一度も食べたことがない方も、当店や各地での催事などの折に、ぜひ召し上がっていただけたらと思います」(王さん)。

「タロイモシュークリーム 400円(税込)
ロールケーキやシュークリームはひとまわり小さいサイズも

「面食」「台湾日常の朝ごはん」「タロイモ」「香港式」をキーワードにした中国、台湾、香港発のパンやお菓子。ぜひお店を訪れてみてはいかがでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2023年05月)のものです

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