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懐かしくて新しい! 揚げパン&ドーナツ

台湾ドーナツや韓国ドーナツ、生ドーナツ、チュロスなど、さまざまな揚げタイプのパンやお菓子が人気となっています。そこで今回は「揚げパン」をテーマに、ドーナツや揚げパンを専門としているお店を取材しました。商品の魅力やこだわりのポイントをご紹介します。

揚げサンド専門店 Age.3(アゲサン)

福岡で人気のフルーツサンド専門店による、「揚げサンド」をメインとしたテイクアウト店。2023年12月のオープン以来、カリっと揚げたてのパンに低糖質のひんやりホイップをたっぷり詰めた新食感のスイーツが話題です。

揚げサンド専門店 Age.3(アゲサン)

住所
東京都中央区銀座1-24-11 杉浦ビル 1F
電話
070-1317-7334
営業時間
11:00~19:00
定休日
月曜
銀座一丁目駅から徒歩3分 

カリっと揚げたパンにふわふわの低糖質クリームの新食感

揚げサンドの人気TOP3。手前から「いちごジャム」「生チョコ抹茶」「クレームブリュレ」各450円(税込)
スタッフの宮川さん

同店の母体は、福岡にある行列の絶えないフルーツサンドの人気店「FRUITS SAND THREE」。同店代表の松下幸平さんにお話を伺いました。

「揚げサンドは、福岡の店で“今ある材料を使って、誰にでも手間をかけずにつくれて、どこにもない新しいものをつくろう!”というところから生まれました。揚げた食パンのカリっとした食感にふわふわのクリームを合わせて、ありそうでなかった揚げサンドができたのです。揚げサンドの多くのアイテムに使っている白いホイップクリームは、砂糖は一切使わず、砂糖と同じ甘さでカロリーはゼロのラカントを使用しています」(松下さん)。

パンは、薄めにスライスした角食パンを200℃のフライオイルで45秒ずつ、両面をこんがりと揚げて、半分の三角形にカット。カット面から切り込みを入れ、奥までたっぷりとホイップクリームを詰め、新鮮なフルーツなどのトッピングやソースでデコレーションします。薄い食パンが何ともボリューミーで華やかなビジュアルのサンドに変身!

ラインアップはスイーツ系と惣菜系があり、レギュラーメニューは22種類でどれも450円ですが、低糖質ホイップクリームのみのシンプルな揚げサンドは100円です。(各税込)
人気の「ジャムいちご」は、ホイップクリームに新鮮ないちごをオーダー後にスライスしてトッピング。オリジナルのストロベリーソースをかけて出来上がりです。ソースをチョコに替えた「いちごチョコ」、いちごをスライスバナナに替えて「チョコバナナ」と、バリエーションを展開しています。

高温・短時間でサックリと揚げます
レギュラーメニュー22種類をラインアップ

「フルーツサンドに使っているクリームやフルーツなどの具材もほぼそのまま揚げサンドに応用できるので、レシピは限りなく広がりますし、スイーツとしてクオリティの高いものをつくることができます」と松下さん。 クリームは、ほかにもチョコホイップ、抹茶ホイップ、カスタードホイップなどがあり、フルーツやジャム、チョコや抹茶など、クリームやソース、トッピングの組み合わせで、期間限定アイテムや新しいメニューも続々登場します。

「モンブラン」は、ホイップクリームの上にモンブランクリームと、栗の甘露煮をトッピング、「生ピスタチオ」は、ピスタチオホイップにカリカリのピスタチオクランチと、甘酸っぱいフランボワーズソース、「大学芋」は、ホイップクリームの上にゴロゴロの大学芋。カスタードホイップ&カスタードに薄切りリンゴをのせて、シナモンを香らせた「アップルパイ」もあり、ビジュアルはまるでケーキのような華やかさです。

ホイップ山盛りの揚げサンド「ホイップ」100円(税込)
ピスタチオクランチが香ばしい「生ピスタチオ」450円(税込)

シンプルな揚げサンドに、斬新なアイデアがいっぱい

シンプルに素揚げしたパンは、スイーツ系だけでなく、たまごサンドやポテトサラダ、バーガー風の月見照り焼きなど、惣菜系にも展開できます。

自家製キーマカレーを詰めて、トッピングのチーズをバーナーで炙る「焼きキーマカレー」や「焼きチーズシチュー」、スイーツ系の「クレームブリュレ」は、オーダー後にバーナーで炙りたてを提供しています。
カスタードホイップの上にカスタードクリーム、表面にグラニュー糖をまぶしてバーナーで炙る「クレームブリュレ」は、お店イチオシの人気アイテムです。

「ラカントは、今のところではキャラメリゼができないのが難点ですが、いずれキャラメリゼ可能なラカントが開発されたら、低糖質のご要望にお応えしていきたいです」(松下さん)。

パンが見えないくらいに具材たっぷりの「月見照り焼き」450円(税込)
「クレームブリュレ」は香ばしくキャラメリゼして提供

ひんやりホイップを詰めた揚げサンドは、できたてをいただくのがおいしいのはもちろんですが、時間がたってもパンのサクサク食感とふんわりクリームの食感はキープされます。お持ち帰り用に、4個がちょうど入るサイズのボックスも用意。箱の中敷きが逆山型で三角形のサンドにぴったりフィットします。箱を開けたときのビジュアルも華やかで、手土産にしても喜ばれること間違いなしです。

カリカリと香ばしい揚げパンでクリームをディップしていただく、新感覚のカップデザート「揚げサンドディップ」も好評。揚げた食パンの新しい楽しみ方を発見できるお店です。

お持ち帰り用のボックスは4個がジャストサイズ
「揚げサンドディップ黒蜜きな粉」450円(税込)

このほか、福岡から毎日直送のフルーツサンド、マカロン、銀座限定アイテムの「クッキークリームサンド」や「パンケーキ缶」などアイデアにあふれる商品を展開しています。

「店名のAge.3は、もちろん“揚げサンド”の意味でもあるのですが、福岡でフルーツサンドの店をはじめて3周年、銀座店は3店舗目、そして3世代でお店に来て楽しんでもらえたら、という願いを込めています。毎月1種類は、新しいアイテムを追加して、フルーツサンドと同様にいろいろなおいしさを楽しんでもらえたらと思っています」(松下さん)。

COCO-agepan Harajuku(ココ アゲパン ハラジュク)

原宿キャットストリートを拠点に、2014年から続いているフードトラックスタイルのあげパン専門店。各地のイベントや、パンフェス、お花見シーズンの公園などに出店することもあります。

COCO-agepan Harajuku(ココ アゲパン ハラジュク)

住所
東京都渋谷区神宮前5丁目 原宿キャットストリート
電話
050-5899-5031
営業時間
12:30~18:00
定休日
月曜、火曜、雨天時 ※営業日時、所在地はSNSで確認を
明治神宮前駅から徒歩4分

ココナッツオイルで揚げたての、シンプルな“あげパン”

海外からの観光客にも “agepan”は大人気

渋谷と原宿を結ぶ、旧渋谷川遊歩道路(通称キャットストリート)から小路を入ってすぐのロケーション。お店の前に立てた看板には、「ココナッツオイル100%で揚げています」の文字と、白い砂糖がかかった、おいしそうなあげパンの画像。通りすがりにパッと買ってその場で揚げたてを食べられるという、なんとも甘い誘惑です。

オーナーの高木ゆきさん

民家脇のスペースに構えたスタンドは、よく見れば移動可能なフードトラックです。 原宿という好立地でも、実店舗に比べて低コストで店を構えることができるというのが、フードトラックを選んだいちばんの理由だそう。 2014年からこの場所でお店を切り盛りしているオーナーの高木ゆきさんに、長く愛されている「あげパン」についてのお話を伺いました。

「前職ではオーガニック美容関連のメーカーに勤めていました。会社を辞めて、何か始めようと思った時にひらめいたのが、昔からなじみのあるあげパンです。油で揚げてお砂糖をたっぷりまぶして、罪悪感はあるけれど、やっぱりおいしい! 時代に合わせてあげパンを少しでもヘルシーに楽しめたらいいな、と思い、会社で取り扱っていたスーパーフードの1つ、ココナッツオイルを揚げ油に使ってみたのです。ココナッツオイルには、MCTをはじめとした中鎖脂肪酸が豊富に含まれ、素早く吸収されて身体のエネルギーに変換されるため、食後すぐに満腹感が得られる、といわれています。」(高木さん)。

見た目は昔ながらの揚げパン王道スタイル。「プレーン」350円(税込)

あげパンのバリエーションは、シンプルに砂糖(てん菜糖)をかけた「プレーン」や、フレーバーの砂糖をかけた「シナモン」「ココア」「きなこ」「抹茶」のほか、期間限定で「黒ゴマきなこ」などのフレーバーも登場します。あげパンにホイップクリームをたっぷり絞ったのが“原宿スペシャル”です。

窓越しにオーダーを受けたら、コッペパンをこんがり揚げて、砂糖をたっぷりふりかけます。できたての温かいあげパンが手渡されると、その場ですぐに召し上がる方がほとんどです。出来上がるのを待つ間も、食べているときも、食べ終わった後も、皆さん、なんだかしあわせそう。キャットストリートにはいろいろなお店が並び、そぞろ歩きが楽しい街。歩き疲れたところに、パンとココナッツオイルとお砂糖の甘さが、シンプルにストレートに心もおなかも満たしてくれるようです。

シンプルな砂糖がけとホイップクリーム入りがあります
揚げたてをお客様に手渡し

揚げパンは、コンパクトなフードトラックでの営業にぴったり

フードトラックならではのフットワークで、ときには公園などに出店

素材も調理もシンプルな揚げパンは、フードトラックの限られたスペースで営業するにはぴったりなうえ、常設店舗に比べたらコストはかなり抑えられる、と高木さん。フードトラックは基本的にはいつも同じ場所に常置して、各地のフェスなどイベントに出店するときだけお店ごと目的地まで車で移動しています。その身軽さもフードトラックならではのメリットです。

「当初から原宿でお店をやろうと思い、物件を探しましたが、当然のことながら賃料は高い! ならばフードトラックもありかな、と考えて、車を置くのにぴったりのこのスペースを見つけて、家主さんを説得してお借りすることができました」(高木さん)。

商品のあげパンは、パン屋巡りをして買って来たパンをココナッツオイルで揚げて試作を重ね、納得のいくものをつくりあげたそう。

「ココナッツオイルで揚げると、カラッと揚がりそうなイメージがあるかもしれませんが、実はその逆で、水分が残る感じ。ですから、使うパンは、しっとりモチモチしてリッチなものよりもシンプルな配合で軽めの方が向いています。『原宿スぺシャル』や『いちごのスペシャル』などホイップクリームを合わせるアイテムは、パンにもさらにこだわって、よりサクッと歯切れのよい特製のパンを使用しています」(高木さん)。

同店の要であるココナッツオイル、オープン当初は未精製のエクストラバージンオイルを使っていたのですが、ココナッツの甘い香りが立ちすぎて好き嫌いが分かれてしまいがちに。そこで、精製したココナツオイルに切り替え、風味もあっさりと仕上げました。
「ココナッツオイルは一般的な植物油に比べて高価ですし、昨今の値上げも痛いですけれど、ココナッツオイル100%が当店のアイデンティティですから、ここは絶対譲れません。また、植物性ですが常温で固まるオイルなので、買ってすぐに食べていただくのがいちばんおすすめです。まさに、この街で味わうストリートフードなんです」(高木さん)。

フードトラック内のコンパクトなキッチン
季節限定「いちごのスペシャル」 680円(税込)
「原宿スペシャル」500 円(税込)

高木さんが「あげパン」一筋で店を続けている約10年の間に、世の中ではいろいろなフードが流行しました。
「爆発的にわーっと盛り上がると、消えるのも早いのかな、という気がします。あげパンは、あまり目立たず地味な存在でいいと思っています。原宿のこの場所に、おいしいあげパン屋があるね、とたくさんの方に知っていただけるように、これからも息長く続けていきたいです。
この街に住んでいる人、働いている人はもちろん、ショッピングや観光に来た皆さんに、当店のあげパンでほっとひと息ついてもらえたらうれしいですね。そして、このフードトラックを走らせて、違う場所に出店することもありますから、“ココナッツオイルで揚げたcoco-agepan”の看板を見かけたら、ぜひ気軽に立ち寄ってください」(高木さん)。

THE MALASADA TOKYO 吉祥寺(ザ マラサダ トウキョウ)

ハワイのローカルフードとして愛されている揚げ菓子、マラサダの専門店。下北沢の本店に次ぐ2店舗目として2023年9月に吉祥寺にオープンしました。素材にこだわり、毎日生地からお店で手づくりし、つくりたてのマラサダを提供しています。店内でイートインもできます。

THE MALASADA TOKYO 吉祥寺 (ザ マラサダ トウキョウ)

住所
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-12-5 共立ビル 1F
電話
0422-27-2203
営業時間
11:00~19:00、土曜、日曜、祝日10:00~19:00
定休日
月曜
吉祥寺駅から徒歩4分

素材にこだわり、店内で丁寧に手づくりしています

ハワイの定番スイーツ、ふっくらもちもちのマラサダのほか、オールドファッションもラインアップ
ふっくら揚げたてのマラサダ

マラサダは、発酵生地を丸く成形して揚げたお菓子で、一般的なドーナツのような穴はなく、揚げたあとに砂糖をたっぷりまぶすのが特長です。
もともとはポルトガル生まれと言われており、同じような穴のない発酵生地の揚げ菓子は、ドイツの「ベルリーナープファンクーヘン」、フランスの「ベニエ」、イタリアの「ボンボローニ」などがあります。
同店を手がける株式会社ヴィガーアンドルックス役員の川口貴也さんに、専門店出店のきっかけやマラサダの魅力についてお話を伺いました。

「ハワイにはどの街角にもマラサダのお店があり、ハワイに行ったらマラサダははずせない!という日本の方も多いですね。最近は、クリーム等のフィリングを詰めたものも人気です。コロナ禍を経て、現地に行かなくても、いつでもおいしいマラサダを楽しんでもらおう!というのが出店のきっかけです」(川口さん)。

発酵生地を揚げて表面はカリカリ、中はふんわり、もちもちとした食感も楽しめるのがマラサダの魅力です。
「現地では、形も大きさも不ぞろいだったり、油っこくて砂糖もこれでもかっていうくらい、たくさんついています。その素朴でラフな感じもよいですが、当店のマラサダは日本人の好みに合わせて、より丁寧に仕上げています。油っこくない、さっぱりとした揚げ上がり、表面にまぶすグラニュー糖もサラサラッとほどよくまとわせる感じです」(川口さん)。

平日、週末の限定商品でラインアップも充実

ラインアップは、定番のマラサダが「プレーン」「きなこ」「シナモン」。中にフィリングを後詰めしたプレミアムは、「オリジナルカスタード」、カスタードにホイップした生クリームを合わせた「リッチクリーム」「特製カレー」のほか、平日と週末それぞれに限定が加わります。スパイシーなカレーフィリングのマラサダにもグラニュー糖をまぶしてあり、甘・辛の絶妙なコントラストです。

また、オールドファッションは「プレーン」「チョコ」「抹茶」「ストロベリー」の4種類。プレーン生地にはバナナを練り込んで、シンプルながらしっとりとやさしい甘さです

「プレーン」330円(左)「オリジナルカスタード」400 円(税込)
「オールドファッションストロベリー」220円(税込)

いずれも生地は、毎日店内で粉から仕込み、カスタードクリームやカレーなどのフィリングも素材にこだわって自店で丁寧につくりあげています。

「なるべく揚げてから時間のたっていないものを提供したく、平日は11時、14時、17時、週末は11時、13時、15時、17時の揚げ上がり予定にあわせて生地も仕込んでいます。その日の気温や湿度によって発酵の進み方にも違いがありますが、いつも同じ仕上がりになるようパティシエはじめスタッフがタイミングを見極めています。そのため、揚げ上がりの時間は多少前後することもあります」(川口さん)。

「特製カレー」400円(税込)
マラサダとオールドファッションのラインアップ

「1つ1つ手作業で成形するときに生地表面をしっかりと張らせ、2次発酵後は表面の水分を少しとばすことで、揚げたときの油の吸い込みが抑えられます。真ん中にホワイトラインが現われて、ふんわりもちもちのマラサダができ上がります」(川口さん)。

1つ1つ手作業でつくっています
揚げの工程で、さらにふんわりと膨らみます

小麦粉、卵、バター、砂糖、イーストなどごくシンプルな素材でつくる、生地そのもののおいしさを実感できるプレーンをまず味わってほしいと川口さん。プレーンや、きなこ、シナモンのフレーバーをプラスした定番マラサダのほか、限定アイテムで、いろいろなバリエーションを展開しています。

取材時の平日限定は「小倉クリーム」。ホイップした北海道産生クリームに小倉あんを合わせたクリームがたっぷり。週末限定は、「バナナクリーム」「バナナカスタード」、オレオをトッピングした「クッキークリーム」のうちから1種類を提供するほか、季節の素材を使ったスペシャルなマラサダも随時登場します。

「現在、本店と当店、大阪の3店舗がありますが、今後は店舗を増やして、より多くの皆様に当店のマラサダのおいしさを知っていきたいですし、今後も限定という形でマラサダの新しいメニューを提案していきたいと考えています」(川口さん)。

月替わりで平日限定のマラサダが登場。「小倉クリーム」450 円(税込)
週末限定の「クッキークリーム」450 円(税込)

油で揚げたアイテムには、ついつい手を伸ばしたくなる魅力があります。低糖質のクリームに特長のあるバリエーションも豊かな三角形の揚げサンド、素材にこだわり生地から丁寧につくったマラサダ、ココナッツオイル100%で揚げるあげパンと、3店舗それぞれに際立つ個性が印象的でした。 気になるお店に出かけてみてはいかがでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2024年1月)のものです

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