パン屋さんで活躍する女性たち
パンとお店と“私”のストーリー

小さなお子さんからご年配の方まで、皆さんに喜んでいただけるパンをつくっていきます
Pain fermier 穂の香 自由が丘店 店主 吉田 由華里さん

Pain fermier 穂の香 自由が丘店 店主 吉田 由華里さん

自由が丘駅を背にメイプル通りを8分ほど進むと、閑静な住宅街の一角に「穂の香」があります。
店名のPain fermier はフランス語で「農家のパン」という意味。ヨーロッパの農家で家族のために焼かれるパンをイメージして、素朴なパンや焼き菓子を小さな店にたくさん並べています。

私がパン職人になろうと思ったきっかけは、学生時代にカナダでホームステイした先が、朝早起きしてパンをつくる家庭だったこと。お手伝いしながらパンづくりの楽しさに一気にのめり込みました。
帰国後は大手リテイルベーカリーでアルバイトを始めました。そのまま社員に、という選択肢もありましたが、将来は自分で店を持ちたかったので、目指すパン屋の形にいちばんぴったりくるベーカリーを必死で探しました。当時はベーカリーに関する情報は少なくて、やっと見つけたのが「ベッカライブロートハイム」でした。改装する前の、木のぬくもりと手づくり感のある小さなお店で、パンづくりが丁寧で接客も温かくて……。1人で独立するつもりだった私は、「ここしかない!」と思って、何度か断られてもあきらめず、半ば強引に入れてもらった感じです(笑)

8年ほど働いて、販売から厨房の作業もひととおり身につけることができました。途中、「一度外に出てヨーロッパのパン屋さんを自分の目で見てみよう」と思いたち、いったん店を離れて2カ月ほど一人旅もしました。そして、ブロートハイムで出会った夫と共に2004年に横浜・あざみ野に「Pain fermier 穂の香」をオープン。2012年に2店目となる、ここ自由が丘店を立ち上げ、念願だった自分の店でパンをつくっています。

パンへのこだわり

余計なものは加えずに、シンプルな材料を使って、食パンやフランスパン生地は低温で1晩熟成させてうまみをひき出しています。グラハムブレッドなどに入れるライ麦粉は、ドイツで買ってきた製粉機で、前日にライ麦の粒から挽いたものを使っています。挽き立てはライ麦の風味や香りのよさが全然違うんです!フィリングも、あんこは小豆から煮て、カスタードクリームももちろん自家製です。
自慢のカスタードクリームを使った「カスタードホーン」は、注文後にクロワッサン生地のホーンにクリームをしぼっています。しぼりたてがいちばんおいしいですから、お客様には「どうぞ気軽にこの場でかぶりついて!」とおすすめしています。

パン屋の売上げが落ち込む夏場は、思い切って長い休みを取り、夫とともによその国のいろいろなベーカリーやパン、食スタイルを訪ね歩きました。ヨーロッパの田舎町のパン屋さんは朝早くから店を開けています。お客様と雑談を交わしながらバゲットやプレッツェルをひょいと手渡し、お客様は素手で抱えて朝食のテーブルに持ち帰る……パンがこんなにも自然にさりげなくやり取りされ、毎日の生活に欠かせないものとしてあることがとても印象に残っています。フランスのパン、ドイツのパン、イタリアのパン、オーストリアのパン、アメリカのパン……世界で出会ったいろいろな国のパンや焼き菓子、私たちがいいな、おいしいなと思ったものを穂の香の味にしてお出ししています。

三日月形の「ミルヒ」は、ドイツ語でミルクの意味。オーストリアのパン「クレッセント」を使った、一味違う「ミルククリーム」のパンです。 自家製粉したライ麦粉25%使用のカンパーニュは「パンフェルミエ」。ハード系を気軽に味わっていただけるよう、スライス1枚から量り売りに。
吉田夫妻の「世界パンと食の紀行」を綴ったアルバムも置いてあります。 売り場と厨房の間の小窓に、クリームをしぼる前のホーンがお客様の注文を待っています。

女性ならではの苦労

私がベーカリーでアルバイトをしていた当時は、どんなに頼んでも女性には窯の仕事をさせてもらえなかったです。事故などを防ぐための配慮でもあったと思います。今は厨房機器の進化もあって、女性でもどんどん仕事を任されて、女性のパン職人が本当に増えましたね。

独立してからは、夫がつくり、私が販売という分担にしていました。夫のパンづくりを全面的に信頼していますし、根本的なところは2人共通しています。それでも時たま、男女の差なのか、感性の面で違いを感じることがあります。とくに販売をしていると、どうしてもお客様目線になって、例えば「焼き色がいつもよりほんの少し濃いからこれはロス」と私が言うと、「え?これが?」と夫。パンに関しては、お互い譲らないところもあって、職人同士の夫婦って結構面倒です(笑)。

自由が丘にちょうど居抜きで使えるベーカリー物件が出て、まだ子どもが生まれたばかりでしたが、2店目を出店することを決断。準備に1年半ほどかけてオープンしました。本当は仕込みから全部自分でやりたいのですが、子どもが小さいうちは時間的な制約もあり、本店で早朝夫が仕込んだ生地を運んでもらっています。開店も9時からと少しゆっくりめ。
でも、今は限られた時間の中で、夫、そして店を一緒に切り盛りしてくれる黒石直美さんに助けてもらいながら、自分でパンをつくるということが本当に楽しいです。もっともっと店でやりたいことがいっぱいありますし、次々と出てくるパンのアイデアはノートに書き留めて、いつか形にしようと温めています。

どんなお店にしていきたいですか?

もう少し若いころだったら、迷わず「ハード系の充実!」が目標になったと思いますが、今は「お客様に求められるパン=つくりたいパン」です。あざみ野の本店のお客様は、車で来店される若いファミリー層が圧倒的でしたが、この店はお子さんからお年寄りまでお客様の年齢層が幅広く、とくにご年配の方が多いです。ですから、昔からみんながよく知っているドーナッツやコッペパンなどをぜひやりたいです。いまどきの、おしゃれなパンとは真逆でも、「『穂の香』のは生地が違うね、おいしいね」と皆さんに喜んでもらえるパンをつくっていきたいです。

子どもができると、「目の前にいる人が喜んでくれる」というのを1日に何度も体験させてもらえます。おかげで私もすっかりカドが取れたというか……(笑)。以前の私ならありえなかったキャラクターのパンだって、喜んでもらえるならつくっちゃおう!と思えるくらいの柔軟さを身に着けることができました。

お客様に「この店に来ると、なんだかほっこりする」とよく言っていただけます。パンのおいしさもお店の雰囲気も、最終的には人がつくるもの。とくに対面販売が主体の個人店は、接客が重要です。パン職人であり、焼き菓子も得意な黒石さんは、接客の達人でもあります。お客様とのやりとりや、さりげない気配りは、厨房で聞いている私までも温かな気持ちにさせてくれます。心強い相棒と二人三脚で、街の人たちの暮らしにしっかりと根づいた店をつくっていきたいです。

「お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい!」

吉田 由華里さん お気に入りのパン

キャロットケーキ 378円(税込)キャロットケーキ 378円(税込)
黒石さんのスペシャリテ。イギリスでは定番の素朴な焼き菓子です。全粒粉やふすまを混ぜた生地に、すりおろしと千切りしたにんじんをたっぷり、くるみとレーズンなどドライフルーツも混ぜ込み、シナモンやクローブなどの香りを効かせました。上にのせたクリームは、クリームチーズとレモン汁を混ぜたもの。ホロホロした食感のスパイシーなケーキにクリームのやさしい酸味がよく合います。

コーンブレッド 302円(税込)コーンブレッド 302円(税込)
テキサス生まれのアメリカンなパンです。小麦粉にコーンミールをブレンドし、粒コーンも混ぜ込んで焼き上げました。本場では、チリコンカンに合わせて食べることが多いですが、コーンの自然な甘みで、おやつにも食事に添えてもおいしいです。ベーコンなどとも相性がよく、軽く温めても。

チョコパン 194円(税込)チョコパン 194円(税込)
低温長時間発酵でうまみをひき出したフランスパン生地のチョコパンです。焼き込んでも溶けにくいバトンショコラ(棒状のチョコレート)を細かく刻んで、生地に何回も折り込んで、四角い形に。どこを食べてもチョコがたっぷりです。

以上が私のお気に入りパン3点です。こうしてみると、どれも子どもに食べさせたい素材づかいや、子どもが喜びそうなパンですね! 今まで意識していなかったけれど、子ども目線・母親目線でものを考えるようになったのかもしれません。

店舗情報

店名/Pain fermier 穂の香 自由が丘店
郵便番号/〒158-0083
所在地/東京都世田谷区奥沢7-53-2-101
最寄駅/東急東横線・大井町線自由が丘駅
アクセス/自由が丘駅から徒歩8分
電話番号/03-5707-0888
営業時間/9:00~18:30、水・金 9:00~19:00
定休日/月曜、第1・第3火曜

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2017年3月)のものです

<オススメパン>ミルヒ 205円(税込) カスタードホーン 238円(税込) 食パン 319円(税込)

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