竹谷さんだから聞けるパン職人の理想と挑戦-対談vol.26 行列のできる人気店を生んだ気鋭のシェフ~元ボクサーというバッググランドも武器に~
boulangerie JOE 間々田 雄一さん

「葛西」への出店からわずか3年で行列店へ







竹谷
 開業にあたってこの立地を選ばれた決め手はなんでしたか?
間々田
 葛西には20年以上住んでいて、お店の前のケヤキ並木通りの雰囲気がとても気に入っていました。本当は葛西に出店するつもりではありませんでしたが、たまたま、並木通り沿いのいい物件を見つけられたので出店することに決めたんです。元からマンションも多かったのですが、ここ数年また増え始めたので今では出店して正解だったと思っています。
竹谷
 実は私もドイツに修業へ行く前に働いたのが葛西でした。今は閉店してしまいましたが、『大塚パン』で働いていたことがあったんです。
間々田
 そうだったんですね! 私が葛西に住み始めたばかりの頃はまだ『大塚パン』があったので、よく通っていました。葛西では有名店でしたね。
竹谷
 「boulangerie JOE」は今では、行列のできるお店として有名ですが、オープンして何年目で行列ができはじめましたか?
間々田
 3年目から徐々にお客様は増えていったと思います。
竹谷
 一見したところ、小さなお子さんを連れたお母さんが多いように思えましたが、お店の客層はどんな方が多いですか?
間々田
 確かにお子さん連れの女性も多いですが、土日には男性のお客さまだけでお店がいっぱいになることもありますね。比較的、客層の偏りはないように思います。
竹谷
 パン職人としてのこだわりはありますか?
間々田
 長時間発酵のアイテムが多めですね。また、多加水、高温で焼くこともこだわりと言えるでしょうか。
竹谷
 どんなパンを増やしていきたいと考えていますか?
間々田
 バゲットやドイツパンなどを増やしていきたいと思っています。
竹谷
 「チーズブール」という商品がありましたが、とてもユニークで、かっこいいアイテムですね。
間々田
 チーズの壺をイメージしてつくったオリジナルアイテムです。私自身、チーズが大好きなので、チーズ入りのフランスパンをやりたいと思ったんですが、クッペや巻いているものだと他店との違いが出ないと思い、生地でチーズを包んでみました。
竹谷
 新商品はどのように考えているんですか?
間々田
 私はもちろん、社員、パートスタッフも考えてくれます。別の場所で家庭製パンの先生をやっているスタッフもいて、私が思いつかないようなパンを提案してくれます。調理パンでは、主婦のパートさんのアイディアがとても参考になりますね。
竹谷
 プライスカードも手書きで読みやすく書かれていますね。奥様が書かれているんですか?
間々田
 はい。プライスカードは妻が書いています。看板はスタッフに得意な人がいるのでその方に書いてもらっていますね。

ハード系のパンの普及に向けて。ユニークな試みも



竹谷
 最近ではパンのイベントが各地で開催されていますが参加されていますか?
間々田
 『世田谷パンまつり』に参加しています。その日だけは、お店をお休みにしてスタッフも連れて参加しますね。
竹谷
 イベントに参加する一番の理由はなんでしょう?
間々田
 『世田谷パンまつり』の会場の熱気はとても高いので、スタッフへのいい刺激になるのではと考えています。また、ずっと同じ環境で販売しているよりも違った環境も味わって欲しいと思って参加していますね。
竹谷
 そういったメリットもイベント参加にはあるんですね。お店では何かイベントは開催されていますか?
間々田
 クリスマス前に「バゲットデー」と称してハード系のパンのみを販売することがあります。ハード系のパンを広めたいと思い始めたイベントですが、思ったよりも多くのお客様に来店していただけていますよ。
竹谷
 それは面白い試みですね。今後はどんな展開を考えていますか?
間々田
 これからもこの一店舗で頑張っていきたいですね。目標としては、イートインスペースをつくりたいと思っています。
竹谷
 イートインスペースができたら近隣の方に喜ばれそうですね。今、盛り上がりを見せている「パン文化」を広めるために考えていることはありますか?
間々田
 まだ、日本へ、世界へ、と大きなことは言えるところまでいけていません。だからこそ、地域の方へはハード系のパンのおいしさを知ってもらえる販売の仕方をしていきたいと思っています。

プロフィール

【間々田 雄一さんプロフィール】
埼玉県出身。1996年にボクサーを引退。その年から5年間、『ホテルオークラ』で修業。その後町のパン屋に6年間勤める。2008年に「boulangerie JOE」をオープン。「ジャパン プロフェッショナル ベーカーズカップ2015」で最優秀賞を受賞という輝かしい経歴も。

対談場所

営業時間:8:00~19:00ごろ(なくなり次第閉店)(定休日:月曜、火曜)
https://www.panportal.jp/joe/

東京メトロ東西線葛西駅から徒歩18分ほどの住宅街に位置する同店。駅からは離れた立地でありながら、行列のできる繁盛店として有名です。おすすめはチーズの壺をイメージしてつくったという「チーズブール」(360円、ハーフ180円)。チーズ好きの間々田さんが考案したオリジナルのアイテムです。愛読書である『あしたのジョー』にちなんだ商品にも注目。他にも、「バゲットミュール」(260円)や「バゲット JOE」(280円)など常時約40~50種のアイテムが揃います。パートスタッフも意見を出し合うという新商品も毎月登場。いつ訪れても新鮮なおいしさに出会える場所です。

前編 後編

対談を終えて

お話を頂いたとき、嬉しい気持ちと一緒に「ええ~っまさかウチに!!」と驚きと緊張が走ったのを憶えています。今までも何度かお目にかかる機会はありましたが、自分にとって心の準備をしなければ話しかけられないほどの存在である竹谷先生が、行ってみたいとおっしゃって下さったということで、頑張ってやって来て良かったと思いました。
これから先もずっと、より美味しいパンをお客様に食べて頂けるように「ブルーコーナースピリット」であり続けたいと思ってます。今後もアドバイスよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

竹谷さん 葛西駅から歩いて約18分、住宅地の中に繁盛店「boulangerie JOE」があります。元プロボクサーと聞いていたので、体力と根性の方かと思っていました。しかし、この立地の選択、店舗のエクステリア・インテリア、商品デザイン、プライスカード等に豊かな感性を感じ、親しみやすさの中に一段上のグレードをイメージさせる雰囲気をかもしだしています。
間々田さんを意識したのは「MOBAC SHOW」での実演の時にスタッフと一緒に最初から最後まで熱心に聞いてくれた時。その後、「JPB・ベーカーズカップ2015」で最優秀賞を受賞されました。お聞きすると6回目の挑戦で栄冠を手にされたとのこと、日々、美味しいパンづくりに挑戦される熱い情熱を感じました。これからも、葛西のお客様にパン食文化を浸透させることを願っています。

※店舗情報及び商品価格は掲載時点(2016年4月)のものです

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